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技術より「理念」を選択した日


全料理人必読!!

今日の記事は多くの人が「面白い」と思えます!!!

ここ最近でWebサイトの大規模リニューアルを行いました。

商品ページは変えていませんが、スクロールが多くなり商品ページにたどり着く時間が長くなりました。

簡単に言うと商品を見たい人にとっては「見にくく」なりました

それをすることによって売り上げが下がるかもしれません。

購入者が見てくれなくなるかもしれません。

でもなぜそんなことをしたのか?

今日はそこをさらけ出したいと思います。

技術の高さはお客様に「伝わっているのか?」


誤解がないように言います。

料理人である以上、より高いレベルの調理技術や専門的な知識、果てしない知的好奇心は死ぬまで重要ですし、それをしないという話ではありません。

以前職場でこんなことがありました。

賄いの場でシェフとスタッフが急に「キャロットヴィッシー」をお代に料理対決を始めました。

これをご覧の方はキャロットヴィッシーが何かは分からないと思いますので説明しますと、ハンバーグなんかについている人参の甘く似た「アレ」です。

伝統もあります。ヴィッシー地方の硬質温泉水(飲料用)を使って煮込まないと「キャロットヴィッシー」とは呼べない。などです。

本来はスタッフがまかないでキャロットヴィッシーを付け合わせとしてつける中、ちょうどヴィッシー地方の水が手に入ったので伝統的に作ろうとしたところ、シェフのやる気に火が付き、なぜか料理の腕の自慢対決が始まりました。

どや顔をして「人参のみ」をさらに置き提供してくるシェフに対して、肉の付け合わせとして考えているスタッフの提供。

キャロットヴィッシーというものをどうとらえるかによって違いますが、スタッフの方が断然に美味しかったです。

というより人参に関してはどちらも同じくらいでしたが、皿として完成されているスタッフの方が満足度が高かったのです。

これから私は何を感じたか。

私たち料理人は職人気質であることから「技術の高さ」に焦点を当ててしまいがちですが、食べ手の気持ちを考えているのかということ。

人参のみを盛られたさらに興奮を覚え、想いを吸収できるのは「料理人」

皿全体の味や美しさを楽しむのは「多くの人」

私たちはこんな些細な「当たり前」のことも私たち料理人はたまに忘れてしまうのです。

そこで改めて自分に振り返ったときに、私もECサイトで同じことをしているのではないか?インスタグラムで「技術の高さ」を披露してはいないか?

やっていたかもしれません。

ですので変えました。

私たちはお客様に「何を提供できるのか」


私たち料理人がお客様に対して提供していることは何でしょうか?

「食事」です。質の高いレストランに行けば行くほど「価値の高い食事の時間や空間」も提供しています。

料理に技術が高いことはそれを構成する一部でしかなく、プロモーションや見せ方、説明の仕方など料理人以外の多くの方のサポートがあって成り立ちます。

お客様からすると目的は「料理」でも、非日常の空間や洗練されたサービスなど楽しめるポイントは数多く存在し、その楽しめたと思うポイントの多さが次につながるきっかけになります。


私たち料理人は小僧時代からとにかく技術を高めることに必死でした。

高い技術があって初めて上へ登れるし、当時のシェフたちが高いパフォーマンスをしているのは「高い技術」を使っているからだと思い込んでいました。

多くの料理人がそうだと思います。

技術を高めることのみしてきた料理人にとって、来店されるお客様の関心が他にもあることを知ってはいるけれども「料理でしかアプローチできない」ので、必然的に「高い技術」を見せつけようと努力します。

その行為は「お客様のため」ではなく「自分の自尊心を満たすため」でした。


私がなぜ料理技術以外のことをお客様に伝えようと思ったのか。

どのみち私程度の技術は素晴らしい技術を持ったパティシエにはかないません。戦うなんておこがましいです。それは理解しています。

ただ、これまで多くのお客様から商品を食べた感想を聞いていると、私の作る「薫り」を主張としたお菓子はお客さまの興味を食べる前から引き、食べた後も余韻を与えれていることに気が付きました。

私が提供できる能力は「圧倒的に高いスキル」ではありません。

香りや食材の独特な組み合わせを通じて「驚きや癒し」を提供できることでした。

今行っているHPや営業方法の改革もすべて「お客様」から教えて頂いたことでした。

先輩料理人や過去のシェフからは一切学んでいません。

実際に食べてくれる方がいて初めて知ることが出来た私の貴重な経験です。


*伝え方をいつも間違う料理人(ぶっちゃけここ読んだら大事なこと全部わかる)


料理人は料理における全てをWhatから始めがちです。

作る料理は何なのか(what) → どうやってその料理をつくるのか(How) → なんでこの料理を作るのか(Why)

簡単に例を出すと、私はパスタを提供します(What)  

そのパスタは旬の食材をたっぷり使いイタリア産の高級スパゲッティを使って作ります。(How)

私がパスタやをやる理由は、多くの人に旬の食材をパスタという身近な料理を通じて楽しんでほしいからです(Why)

私の伝え方は違います。

なぜこの料理を作るのか(Why) → その商品を作るためにどんな食材を見つけ出すのか(How) → そこで出来上がったものは何なのか(What)

多くの方に旬の食材を楽しんでもらいたい。味わってもらいたいと私は考えます。(Why)

そのために旬の食材に現地で触れ、風土を感じ、歴史を学びます。(How)

そのおかげでできた料理は皆さんが身近に楽しめるパスタです。(What)

多くの料理人は伝え方が間違っています。

それは決して理念が間違っているわけではないのです。

前者も後者も考えていること伝えたいことは同じです。

私たち料理人は料理を通じてお客様の生活を楽しくしたい、笑顔を増やしたいと思うことを常に考えているからです。

ですがずっと料理でしか自分を表現してこなかった私たちは前者のように「料理」でしかその気持ちを表現できずにパスタの価値が「安く」感じられます。

今のことを聞いてどう感じたでしょうか?

理念は人を動かします。理念がないと人は動かされません。

その料理技術に理念があっても伝わらなければわかりません

購入してくれるお客様にとっては私がどんな思いをしてその焼き菓子を作っているかなんて関係ありません。

ですが私たち"料理人はそれを押しつけがましく「アピール」"しているのです。

人を動かすのはwhat we doではなくwhy we doです。

またお客様にとって私たちが何をしてあげれるのかという「買う理由」をこちらから提供することはビジネスにおいて、人としてとても重要な要素だと思います。



働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。