〈〇〇フリー深掘りシリーズ1〉そもそもグルテンフリーって何だろう?


1 グルテンフリーとは

グルテンフリーは小麦、大麦、ライ麦などに含まれるグルテンと呼ばれるタンパク質が入っていない食品のことです。グルテンとは、小麦粉に含まれる「グルテニン」と「グリアジン」という2つのタンパク質が水を加えてこねることで合わさってできるタンパク質のことです。パン生地の粘りはこのグルテンの作用によるものです。

2 グルテンフリーが広まった理由


グルテンは小麦アレルギーやセリアック病、グルテン不耐症などを抱える人の体調悪化を引き起こす要因となることから、これらの患者数が多い欧米を中心に「グルテンを使用しない、除く」グルテンフリーの考え方が広がりました。グルテンフリーは「〇〇フリー」という「フリーフロム食品」の中でも一番歴史が長い考え方といえます。

もともとグルテンに対して上記の要因から体調悪化につながる人に向けた食事法や食品として考案されたグルテンフリーですが、2010年以降、プロテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手をはじめ海外の一流スポーツ選手やセレブの間でグルテンフリーを実践している人が増えたことで世界的にその考えが広がりました。また、「グルテンフリーが健康やダイエットに良い」と考え実践している人々の存在もさらに広がる要因となりました。(※1)

(※1)日本調理科学会誌 2016 年 49 巻 5 号 p. 320-323「グローバル時代における多種多様な食のニーズへの対応」橋本玲子 著DOI https://doi.org/10.11402/cookeryscience.49.320

3 グルテンフリーのメリット・デメリット


(メリット)

①肌や身体の不調が改善される
グルテンフリー食品を取り入れることで、身体に起こる肌荒れ、消化不良などの身体の不調が改善されることがあります。しかし、あくまで「グルテンに対して不耐性を持つ人々において、その原因となるグルテンが取り除かれるため」という点は注意が必要です。現段階では、健康な人がグルテンを摂取しないことによる身体機能への有用性については完全には証明されていません。グルテン自体が身体に悪い成分ではないという点は留意してください。具体的な診断名がなくても、グルテンが体質的に合わない人も一定数います。そういう人にはグルテンフリーは身体の不調を改善する手段の1つとして有効です。(※2)

②体重の減少につながる
グルテン自体に体重を増加させる作用はありませんが、グルテンフリーを実践することで健康や食生活への意識が高まり、結果として体重減少へつながることがあります。(※2)

(デメリット)


①食物繊維の摂取量が減る
小麦をとらないことで食物繊維の摂取量が不足してしまいます。食物繊維は血糖値の上昇をおさえたり、高血圧を予防する効果が認められるなど生活習慣病の予防に効果がある成分です。グルテンフリーを行う場合には、意識して果物、きのこ、海藻、野菜など他の食品から食物繊維を補いましょう。(※2)

(※2)A Review on the Gluten-Free Diet: Technological and Nutritional Challenges
Dalia El Khoury, Skye Balfour-Ducharme, Iris J. Joye. Nutrients. 2018 Oct; 10(10): 1410. Published online 2018 Oct 2. doi: 10.3390/nu10101410 PMCID:PMC6213115
(閲覧日2023年12月20日)

4 日本での広がり


日本でも小麦アレルギーやグルテンが合わない体質の人を中心にグルテンフリーを生活の中に取り入れる人々が増えています。ごはんを主食とする日本では比較的、グルテンフリーを取り入れやすいというのもフリーフロム食品の中で数多く展開されている理由の1つでしょう。販売されている商品も多く、小麦粉の代わりに米粉やそば粉などを使った商品が開発されるなど広がりをみせています。


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