アコハモ・マスター

アコースティックハーモニー 代表 弦楽器奏者兼修理屋・釣師 ・中古車査定士

アコハモ・マスター

アコースティックハーモニー 代表 弦楽器奏者兼修理屋・釣師 ・中古車査定士

最近の記事

12弦ギター

最近では見かけるのがとても少なくなった12弦ギター、フォークソング全盛期には結構多くのバンドやシンガーに使われていました 楽器としては重いし、押さえにくいし、調弦は面倒だし、何ひとつ良いところが無いように思えますが・・ やはり複弦楽器が持っている独特のサウンドが魅力的なんですね 強烈なインパクトでデビューしたルーフトップ・シンガーズはなんと12弦ギターを左右に配していました 60年代は12弦でイントロを弾く曲が多かったように記憶しています シーカーズの大ヒット曲もその

    • 500マイル

      へディ・ウエスト作の名曲、アメリカン・フォークソングを歌う方なら殆どの人がレパートリーにされているのではないでしょうか? 例によってオリジナルを聴いて、ちょっとお勉強しました。 歌詞がたくさんあって、PP&Mもキングストン・トリオも其の中から歌い易い、内容が普遍的な部分を抜き出して(適度に短縮して)いるのが分かります。 とこで、一口に500マイルと言ってもどのくらいの距離感なのか?マイルに慣れてないキロ表示の日本で、分かりやすく考えてみましょう。 私の住んでる神戸から

      • Did She Mention My Name?

        Gordon Lightfootの名曲で沢山のカバーがあり日本人でも持ち歌にされている方は多いです、ただし歌い回しに気になるところがあって、例えば1番の歌詞だと・・ It's so nice to meet an old friend and pass the time of day And talk about the hometown a million miles away Is the ice still in the river? Are the old fo

        • Vega Long Neck Banjo 第5回

          Martin社からVegaを買った韓国のギャラクシー企業体ですが、此の期間のことは分からないところが多くて、つまり書くことも殆どありません。 外見的な特徴は「VegaのロゴはMartin期と同じ斜体」なので、パッと見たら分からないのですが、じっくり観察すると塗装や仕上げなど、何となく「違うなぁ〜」というのが分かると思います。 このギャラクシー期のVegaに関して何か情報をお持ちの方が居られましたら是非宜しくお願いします。 さて、Deering Banjoの元社長Greg D

          Dooley

          昨今、話題になっているTony TrischkaのEarl Jam Projectで取り上げられた「Dooley」ですが不思議ことに何年かのブランクをおいてゾンビのように復活する曲なんですね・・・ もちろんオリジナルはDillardsが1963年に発表したBack Porch Bluegrassのアルバムに収録されていました。 BanjoのDoug Dillardが弾く個性的な演奏はMIMT MIMTとかTIMI TIMIのような指遣いから発生しているように感じます。 5

          Keith Tunerと互換品(追記あり)

          バンジョーの弦のチューニングを故意に変えてメロディにする奏法、これはEarl Scruggsが彼の名を冠した「Earl’s Breakdown」で披露してから知られるようになったのですが、最初は普通の糸巻きを操作しチューニングを下げては元の音程に戻して、という作業を曲中に(まさに曲芸ですが)行っていました。 その後・・ 此の動画のようにカム式のチューナー(チェンジャー)が開発され、曲芸の必要性は無くなったのですが、カム式のチェンジャーについての詳しいお話は下記を参照してく

          Keith Tunerと互換品(追記あり)

          Vega Long Neck Banjo 第4回

          ではMartin社はどのようにVegaを作っていたのでしょうか? やはり伝統を大切にするMartinですから、あちこち継ぎ剥ぎ合わせのようにモデルチェンジしたVegaを「元のA.C.Fairbanks時代に戻るのが正しい方向」と考えたのではないか?と思われます。 1970年5月に C.F. Martin Co. が Vega社を買収したときには数百の部品がボストン近郊のニーダム ハイツ工場から引き継がれました。数年間、Vega by Martin Banjosはマサチュー

          Vega Long Neck Banjo 第4回

          Vega Long Neck Banjo 第3回

          5〜60年代にVega社が発売していたバンジョーは、第1回にも書いたようにBluegarssではGibsonに押されて販売が振るわず、廉価な機種は東洋の国からピアレスやナルダン(輸出用は別ブランドでしたが)のようなモデルが入ってきて、唯一の稼ぎ頭がTom Dooleyの大ヒットで当時人気急上昇のキングストントリオが使う「Pete Seeger Model」だったようです。キングストントリオの影響はギターでも同様で、C.F.Martin社のMike Longworth氏によれば

          Vega Long Neck Banjo 第3回

          Vega Long Neck Banjo 第2回

          Pete Seeger氏の話によると、戦前の古いVega(最初はWhyte Ladie Model)に長いネックを取り付けようとジャズギター製作家として名が知られているJohn D'Angelico氏に相談して、通常より2フレット延長したネックを作ってもらったそうなのです。これは非常に具合が良くてG keyでは高くて歌いにくかった曲がF keyで声が出し易かったので楽に歌えた、と語っていましたが、残念ながら盗難に遭い行方不明になったのだとか・・ そこで次は、3フレット延長し

          Vega Long Neck Banjo 第2回

          Vega Long Neck Banjo 第1回

          今回、バンジョーについての話はGibson系ではなくVega(しかもLong Neck)ですが、その前にVega Banjoについて少しおさらいをしておきましょう。 1875年 ボストンの北東部、19世紀は産業地区だったチェルシーでアルバート・コナント・フェアバンクス氏がA.C.Fairbanks Banjo社を創業しバンジョーを作り始めました。 時代的には日本では明治8年で、新島襄が同志社を開校し、ロシアではチャイコフスキーがピアノ協奏曲第1番を初演したのが此の年です。

          Vega Long Neck Banjo 第1回

          MTAの考察

          MTAというキングストントリオのヒット曲があります。カバーバンドの定番で勿論私たちも持ちネタなんですが、内容はと言うと、チャーリーという男がボストンの地下鉄に初乗り運賃で乗って(出口精算システム)値上を知らずに降りる駅で「あと5セント」と言われて地下鉄から出れなくなって延々と乗り続けることになってしまい、奥さんが毎日サンドイッチを窓から手渡す羽目になった・・という曲です。 市会議員選挙で「値上げ反対派の候補者に投票しましょう」と呼び掛けたPRソングでしたが、キングストントリ

          オーディオ彷徨

          オーディオという魔界の、怪しき伝道師たちには長岡鉄男とか瀬川冬樹、江川三郎、菅野沖彦とか(敬称略)独特の世界観を持った評論家が多く、其々の伝道師の信者たちは他の宗派を「異教」と排他し、我々こそオーディオの本流とJBLにはマッキントッシュのアンプでないと駄目だ、とか・・いやタンノイで聴くフルトベングラーが最高、とか・・スピーカーはメーカー製などではなく自作が最高、とか・・教義が様々で伝道師の著書はバイブルの如く敬われ崇められ、例えばたかだか数メートルの古い電線が「ヴィンテージ・

          追悼 キダタローさん

          【ふるさとの話をしよう 考察】 昨日、キダタローさんの訃報が入ってきました、衷心よりお悔み申し上げます。関西ローカル以外の方々には馴染みが薄いかも知れませんが、我々関西人にとっては血の中に染み込んだギタ・メロディがミャクミャクと流れています・・ww 数年前に書いた駄文を「追悼の意を込めて」再掲させていただきます。 僕くらいの年代ならリアルタイムで知っている、北原謙二さんのヒット曲、というよりも浪速のモーツァルトことキダタロー先生の会心作。元は呉羽ホームソングという、朝日

          追悼 キダタローさん

          Banjo Set-Up 番外編

          後編で既に雑談的な内容になってしまったのですが、番外編はまさに思いつくままに書きつけています。暫くお付き合いください・・ 1: 結構難しいレグボルト さて、バンジョーの修理ではネックのレグボルトが抜けない・折れた・根本がグサグサになった・・などのトラブルが多いです。此処は素人さんには結構大変なので専門業者に任された方が安心安全ですが、比較的マホガニーのネックに多く見られるので気をつけてください、またバーチというカバ系の木材もメイプルなどに比べるとヤワいのでボルトが抜けやす

          Banjo Set-Up 後編

          さて、これからは応用ですが前編では楽器のパフォーマンスを最大に、という目標で自然に響くよう(余計なチカラを掛けず)に調整しました しかしバンジョーの音が「うるさい」のは仕方がないとして、余計なサスティーンは要らない、とか個性的なトーンを探したい、というのもアリだと言う視点も見逃せません 1: ドラムの張りを不均等にしてみる 弦と平行な向きでテンションを掛ける張り方をしてみます(いわゆる縦張り)これは某楽器店のリペアスタッフ氏から教わった方法ですが 図の8個のフックを若干強

          Banjo Set-Up 前編

          5弦バンジョーのセットアップ方法などを書き留めておきます ちなみにアール・スクラッグスの楽器を調整されていたカーティス・マクピーク翁やオールドギターショップの故大森康弘氏、などから教わった手法が基になっているので本流と思って頂いても大丈夫かと・・ まず最初は其の楽器の持っているパワーをロス無く完全に出せるようにすることから始めましょう 1: ドラムの張り具合 Gibsonなどの主要メーカーの製品は24個のフックとナットで太鼓を張るようになっていてゆっくり均等な強さで張るよ