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追悼 キダタローさん


【ふるさとの話をしよう 考察】

昨日、キダタローさんの訃報が入ってきました、衷心よりお悔み申し上げます。関西ローカル以外の方々には馴染みが薄いかも知れませんが、我々関西人にとっては血の中に染み込んだギタ・メロディがミャクミャクと流れています・・ww

数年前に書いた駄文を「追悼の意を込めて」再掲させていただきます。

僕くらいの年代ならリアルタイムで知っている、北原謙二さんのヒット曲、というよりも浪速のモーツァルトことキダタロー先生の会心作。元は呉羽ホームソングという、朝日放送が主体となったシリーズ作品の1曲だったそうです。

今回はこの曲のコード進行について考えてみます。

コード進行にはパターンという、いわゆる定番のスタイルがあって、この曲にはそのパターンの中でも「コレは美味しい❗️」という進行が、実に上手く使われていました。

まずは・・・

「砂山に、騒ぐ潮風」
このパートは C Caug F C G7です。

いきなりこのオーギュメントの進行、ドとソの完全5度の綺麗なハーモニーから、ソ#で増5度の不協和音を4度上のFコードに解決する進行が素敵です。まるでビートルズみたいですね。

「かつお船、入る浜辺の」
ここは無難な1-5-1で、いわゆる「起立・礼・着席」の C G C ですが

つぎは最初の聞かせどころ・・・

「夕焼けが、海を、彩る」
C -  E と3度上ってF C G7

この3-4度進行は、先ほどのオーギュメントと同じくソ#音を介して4度の和音のラに繋がる進行ですが、増5度を形成するド音はEコードには無いので、不協和音から綺麗な和音に導くのではなく、1度から3度上の和音へ移動した不安感を4度和音へ解決して、安定感を感じる効果を持たせています。例えばブルーグラスなら「Old home place」という名曲のように使われる場合があり、この3-4の進行は日本人ウケが良いとか・・・以前、NHKで「夏の思い出」をサンプルに心理分析をやってましたが、なぜか懐かしい感じを受けるそうなのです。

「君の知らない、僕のふるさと」
ここは1-6m-2m-5 という、これも定番の進行で、C Am Dm G7 です。

さあ、最後の1行は・・

「ふるさとの、はなしを、しよう」
C-Caug-F-F#dim-G7-C

申し訳ありません!! キダタロー先生のセンスを疑っていましたが、コレには参りました。実に素敵なコード進行です。
オーギュメントで4度の和音へ繋いで、半音をディミニッシュで緊張させた後に、ホッとさせる5度からルートへの帰着。

昭和の歌謡曲には、このように美味しいコード進行の名曲が数多くあり、ヒットした曲を分析してみると、とても面白い発見がありますね。

【追記】
探偵ナイトスクープかフレッシュ9時半か?どちらかの番組でキダタローさんご本人が、この曲について言及されておられたのを、聞いた記憶はありますが、残念だけど詳しいことは覚えていません。

確か、何度か録音をしたことがあり、その度に「アレンジャーが勝手にコード進行を変えてしまった」と、話していたようなことだった筈です。

確かに、オーギュメントの部分を単純なセブンスに置き換えたアレンジ盤もあるみたい。

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