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四国.アゲイン

四国の高速道路から見える景色が好きすぎる。
生きててよかった。
これを求めて、四国に来るときは乗り換えありの夜行バスを選んでしまう。
乗り換え後のシャトルバスには、カーテンがついていないから。

朝6時。四国に入ってすぐの場所、鳴門でシャトルバスに乗り換える。

まだ空は真っ暗。頭上には満ち欠けの月が輝いている。

時間をかけてゆっくりと空の色が変わり、人が活動し出す様子を車内から見守る。まるで山と一体化してしまったような気分だ。

空が藍色になっていく。

山の隙間から見下ろせる街並み。東京に慣れた私には、ちょっと暗く感じる。でもだからこそ、走りゆくトラックやたまに行き交う車の明かりが際立つ。
東京のように目まぐるしくない、ゆったりとした時間のなかで。

空が水色になってきた。
月がどんどん白くなっていく。

すごいものを見た。山をバックに見下ろす街並み、その街並みの上に、濃い霧が一面に広がって、まるで真っ白な絨毯みたい。背後の山も一役買って、おとぎ話の世界に迷い込んだみたいだ。

トンネルを抜ける。霧はいくらか薄くなり、ミストのように淡い。家や田んぼがやさしい輪郭で姿を現し、妖しい雰囲気を醸し出す。

まだ目的地には着いてないけど、さっそく来てよかったな、という気持ちになる。四国が好きだ。生まれてからずっと首都圏に住んでいる私に、知らなかった世界を教えてくれる。日本は思っているより広いのだ。自分の住んでいるエリアを基準に、この国を知った気になってはいけない。まだまだ知らないことがたくさんある。これからたくさん、旅をしよう。時間はたっぷりあるのだから。