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オマージュ小説 『逆光のみクジラ』 #毎週ショートショートnote


「これいつの写真?」

僕の家に初めて訪れた彼女はポロライド写真を指さす。

「これは…」

海辺でいじめられていたクジラを助けたところ竜宮城まで連れていってくれ、タイやヒラメの舞い踊りに魅了された時の記念写真だ。


「こんなにはしゃいでる太郎くん、初めて見た」

と彼女は口を尖らせる。

実際には羽目を外し、呑み過ぎた証が逆光となって写し出され、乙姫の指示で逆光のみクジラという送り返す専門のクジラに乗せられ地上に戻されたのだが…

もしかしてヤキモチ?と頬を緩めかけたが、彼女の興味はすぐ別の物への向かう。

「この箱は?」


一応、手土産も持たされたけれど、絶対に開けるなと言いながら渡してくる、乙姫の心情がわからず、怖くて開けていなかったその箱を彼女が何のためらいもなく開けた。

ぽわわ~ん

と煙が立ち昇るとともに彼女の体に変化が起きた。



「太郎くん!私、足が生えた!」

そう言ってぴょんぴょん跳ねながら喜ぶ彼女は地上に打ち上げられた時に出会った人魚だ。


 昔話とアンデルセンをミックスしてみました。海の作品を書くのにためらいながらも、今回はめでたしとしめくくれるような作品にしてみましたとさ。

他のお魚・クジラ作品もよかったらどうぞ🙋

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