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ミステリーブルーの旅へ~青のリゾートを巡る(関東近郊)~
1. 青の残像
「青、蒼、碧……」
どこまでも透き通る空と海のブルー
眩い光に包まれて
眼下には一面の白い壁と青い屋根
潮風が鼻をかすめて、Paradiso?
(近くのスマホ)♪♪♪~♪♪♪~♪♪♪
(遠くの時計)リリリ~ン!!!
わぁ、あ~ッ! 夢か
(あれは確かに、エーゲ海のサントリーニ島)
天国のような青の残像が朝の光の中へ消えてゆく
一筋の青を残して……
夢に見る青のリゾート
そのイメージを、かつてnoteにアップしていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1721392488227-8OMGYJdQmx.jpg?width=1200)
その旅は、まだ現実になっていない。
それどころか、海外にそう簡単に行けなくなってきた。
円安、物価高騰で日常生活さえお財布も厳しい。
行き場を失った欲望が、夢にでてきたのか。
でもそれは、「灯台下暗し」かもしれない。
多くの外国人観光客が、日本のリゾートを求めて
次々とやって来る。
日本の青のリゾート?
すぐに南北の海や空が浮かんできた…が、
「もっと近く、足下を見よ!」と、声がした 。
そして、関東近郊の青のリゾートを巡ることに。
その青は、夢の中のリゾートとは違う
深くミステリアスな青だった。
この記事は、関東近郊の名リゾート(保養地)を巡り、
コレクターのように青の写真を集めた旅日記です!
(道すがら、ほぼスマホで撮影)
<青を巡るミステリーツアー>
➀葉山(マリンブルー)
➁富士山と河口湖(スカイブルー)
➂四万温泉と奥四万湖(ミステリーブルー)
2.マリンブルー葉山の海とあじさいの丘
青と言えば、幼少期の夏休みを思い出す。毎年のように家族で田舎の海へ。あの眩しく揺れるさざ波、淡いマリンブルーが心を揺さぶった。美術の授業で絵を描けば、何かと海が定番になっていたように思う。
それは、大人になっても変わらない。デパートに行けば、あの「ティファニーブルー」に目が釘付けになる。コマドリの卵から着想したという色だが、個人的にはトルコ石のようなマリンカラーのイメージがある。色の好みはTPOでも変わる、暖色系も好き。でも、夏の光に照らされたあの明るい海の色に、いつも心を揺さぶられる。
「なぜだろう?」
そんな懐かしさに駆られて、自分探しの続きを求めた。余暇にぷらっと、海のリゾートを目指す。
海、青(青春)をイメージ……「葉山」ビーチリゾートへ
葉山は車で通りすぎることはあっても、海で泳いだり、旅目的で訪れたことはない。同じ神奈川でも鎌倉ほど観光客で混みあうこともなく、西海岸風のお洒落なお店や、和洋老舗が点在。閑静な住宅地のイメージもある。
そして、葉山の象徴と言えば「海」!
この日は夏休みシーズン前で、海水浴やマリンスポーツをする人はまばらだったが、海を輝かせるような灼熱の太陽に恵まれた。
まずは、その雰囲気を水着なしで楽しめる「葉山マリーナ」へ。
![](https://assets.st-note.com/img/1721452545892-56Oz4kcQSr.jpg?width=1200)
ここで「江の島・裕次郎灯台周遊クルージング」を申込み、
待合室へと向かいながら、マリングッズを売るショップや
飲食店などを覗いてみることに。
通路にはギャラリーも。
アート展「逸話」
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マリンブルーのアートを鑑賞し、心も爽やかに
そして、海の香りにも出会う。
「HAYAMA AROMANCE」
AROMA(香り)とROMANCE(物語)をマリアージュさせて生まれた新しいブランド。
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天然香料100%のルームフレグランス
葉山海岸の香りを南仏コートダジュールのイメージにあわせた香料を使って、マリンノートで仕上げたという香り。上品で優しい海の香りに気分もあがる。
そして、いざ出港!
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さまざまなタイプのクルーズ船
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しぶきあげて広がる波の醍醐味。涼しい~!
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昭和大スターの三回忌に捧げられた「裕次郎灯台」
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船内から
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次は、海から見た森戸神社の本堂へ。
赤と青の絶景を前に一枚。
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個人的には、赤と青は夏の色。
昔、海で遊んだスイカ割を思い出し、急に喉の渇きを覚えた。
鎌倉時代創建の歴史のある本堂に到着。
神聖な場所に飾られたさりげない演出に涼を感じる。
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赤と青の旗に一瞬で心も潤う
かき氷もそそられるけど、そろそろお昼にしよう!
そして、海岸沿いの国道を歩きながら、マリンカラーの看板や建物をあちこちで目にする。
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オランダでもフランスでもないトリコロール旗
滝のように流れる汗を拭きながら、「葉山 うみのホテル」の中へ。
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レセプションとラウンジを兼ねた「SANDBAR」でランチ休憩。
Cozy!目にも爽やかな空間で、一瞬で暑さを忘れる。
海の風が体に浸み込んでいくよう。
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マリンブルーのオブジェ
海のアートが飾られたラウンジから海岸が見える。
自然を感じながらランチを味わう。
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逆光で手元が暗いけどリアルな風景
食欲が止まらない。
「葉山日の出園」の茶葉を使ったという抹茶アイスクリームを追加。
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この選択が後で身を救うことに
生気を取り戻したところで、海岸沿いの公園へ。
ホテルの前には、SEA-Board(電動キックボード)ステーション。
三浦湘南エリアの各所で貸し出されている。
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歩くことにしよう。
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富士山も見えるそうだが、今日は陽炎が揺らめきそうな空。
見えるのは、青、雲、飛行機…だけ。
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葉山 しおさい公園に到着。
葉山御用邸に隣接。
松の木と芝生、海が織りなす公園は、和モダンといった雰囲気。
紫陽花は、日陰に隠れるようにひっそり咲いていた。
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海岸に降りる前に、少し足を伸ばしてあじさい公園へ行こう!
バスは暫く来ないため、緩やかな坂道に挑むことに。ただ、異常な蒸し暑さに息も粗くなってきた。熱中症を経験してないだけに不安も襲う。水も底をついて、とうとうギブアップ。タクシーを呼ぶことにした。
「ここは坂が多いし、今日はスモッグ注意報もでて危険ですよ。無理しないでくださいね」と、諭されて我に返る。あの抹茶アイスを補給してなかったら、倒れていたかもしれない…。
あじさい公園に到着。タクシーを降り、高台へと登る。
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さらに高台へ
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タクシーの運転手さんは「少し足を伸ばせば、名所がまだまだありますよ」と、にっぽんの里100選「上山口の棚田」を勧めてくれた。でも、残念だが今日は時間がない。坂の下で、タクシーを降りた。
ゆっくり美術鑑賞でもしよう!
その前に、水分と栄養補給をと、庭に紫陽花が咲く一軒の古民家へ。
「葉山茶寮 六花」
ガラガラと引き戸を引けば、和やかな木の香りに包まれて、一瞬で心涼やかに。(建物は、由緒ある旧・塚原伊勢松別邸)
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紫陽花の花びらのようなお皿も涼やか
ここから歩いて数分、山口蓬春記念館で美術鑑賞。
「夏季企画展、祇園会と古都の情景」
日本画家の山口蓬春が戦後過ごした旧邸宅にある記念館。木版をはじめ素描、模写やコレクションが展示。やまと絵による祭礼図など、伝統を継ぐ雅な古典的作品や、あじさいや花菖蒲を好んだ蓬春の花の貴重な作品を鑑賞。夫婦が愛でたという庭園には紫陽花が咲いていて、作品とあわせて花や自然も楽しめた。
そして、一色海岸へとつづく葉山のこみちへ
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フォトジェニック!
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汗の蒸発が激しい……喉を潤そう!
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ここからも海岸を眺められる
そろそろ夕陽をと、バスで鐙摺へ。
海が見えるレストラン「レストラン・ラ・マーレ」や「日陰茶屋 菓子舗」などの名店も近くにある。夕陽が綺麗なスポットの一つでもある。
でも、まだ少し早い時間帯。スモッグで富士山も見えない。
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優しく淡いブルーのひととき
サンセットでフィナーレを!
バスで向かった先は、小坪漁港の近くにある「リビエラ逗子マリーナ」。
そこまでの道のりが長かった。アイスコーヒーを飲んでから一滴も水を口にしていなかった。ペットボトルは、タクシーを呼ぶ前に空になっていたことに気づく。でも心配ない。自販機はどこにでもある。バスを降りたら水を買おうと。でも、それが誤算だった。
バスを降りて自販機に駆け込むも、現金しか使えない。あっちも、こっちも……。うぅ……乾く。スマホ決済に慣れきっていた自分。万が一のため持っていたお札も使い切って底をついていた。
周囲は、米西海岸を思わせる高い椰子の木と高層レジデンスやホテルに囲まれたエリア。夕暮れどき、区画整備されたストリートに人気はなく閑散としている。ビルのドアはどこも暗くcloseの看板ばかり。バスも暫く来ない。
数人のすれ違う人も、足早に過ぎ去っていく。
喉の渇きは限界値に。初めて訪れたリゾートに押しつぶされそうになりながら、本能が叫んだ。海へ行け!と(海の水を飲むしかないと)。そして、ひたすら椰子の木を目指しうぅ……。ムシムシした水蒸気を含む空気に息を切らせながら、余計なエネルギーを使わぬよう早歩き。無表情かつ頭を空にしてただ水を求めた。うぅ……うぅ……ん?
♪♪♪♪~♪♪♪♪~♪♪♪♪~(陽気なメロディー)
レゲエの音楽?
灯りも見えてきて……。助かった~!ガラス窓の向こうに人もいる。そこは、まだ営業していそうなお洒落なレストラン。そして、窓を叩き、店員さんを呼んだ。
「すみません、まだ入れますか?」
「はい、もうすぐラストオーダーですけど、どうぞ~」
「ありがとうございます!」
「マリブファーム 逗子マリーナ」 (MALIBU HOTEL内)
LAにある マリブで大人気の日本初上陸のレストランだった。
そして、出されたグラスの水を一気に飲み干し、落ち着きを取り戻すと……
マリンブルーの絶景が目の前に!
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お洒落なムードいっぱい
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ピンクとブルーのグラデーション
「マジックアワー」
日没前後の時間帯の空のグラデーション。刻々と変わるブルー。そして、それを表現したというドリンクをオーダー。
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一皿プラスしてお腹も満足
そして日没後、目の前にドリンクのような景色が現れた!
「ブルーアワー」が。
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夏空の下は、暑く苦しく視界をかすめるけど、海は、空の移ろいにあわせて、天国のような景色で心と体を潤してくれた。
昔のように、ビーチで泳いだり、砂に埋もれたり、スイカを割って遊ぶ、背中にオイルを塗って肌を焼くことは、もう久しくしていない。葉山では、マリンスポーツも楽しめるけれど、避暑地のように、屋内から海を眺められるお洒落なお店や植栽豊かな庭園も多い。海沿いの国道に名所や名店も多く、海の移ろいを楽しみながら写真を撮ったり、静かにのんびりと過ごすことができるマリンリゾートだった。
3.スカイブルー富士山と美の共演
青は、自然界だけでなく、人工的な工業品~日用品まで、至るところで目にする。そして、特別な色として多くの芸術家を魅了してきた。青が印象的な作品も多く、マティスの切り絵作品の原色の青~モネの睡蓮の色が混ざりあった淡い青まで、表現も様々。
そして、日本らしい青と言えば、浮世絵師の葛飾北斎の作品がある。海外から渡来したベロ藍(顔料)は、北斎はじめ絵師が好んで使ったことで北斎ブルーと呼ばれる。「富岳三十六景」の赤富士も有名だけど、ベロ藍で描かれた藍摺絵作品もある。それは、江戸時代に流行した手ぬぐいを思わせる色でもあり、日本らしい色(ジャパンブルー)だなぁとつくづく感じる。日本の風景に溶け込んだ独特の空気、実際の富士山の色を感じさせる。
当時浮世絵は、多くの西洋画家に影響を与えたが、富士山は「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産登録されて、外国人観光客にも人気が高い。
ちょうど富士を望む花のイベントも開催予定のため、「富岳三十六景」に描かれた河口湖畔へ。
このとき見た内陸の青は、煌めくビーチとは違い長閑で朗らかだった。そして、富士山と芸術は美しくハーモニーを奏でる。ここでは、写真で簡単に回想する。
最初は、「音楽と森の美術館」
ここはヨーロッパのマウンテンリゾートを思わせる優雅な雰囲気。
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![](https://assets.st-note.com/img/1721482745982-UE93DW1kyz.jpg?width=1200)
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そう、青富士を望む
園内はクラッシック音楽が流れ、「花の庭園」では、色とりどりの薔薇が咲き誇る。庭園から富士が見えるという絶好のロケーション。
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赤バラが添えられた絵葉書のよう
紹介しきれない……素敵な花壇やアートがところなしと溢れている。異国情緒あふれる庭園と日本の富士が奏であう芸術は非日常。
トレヴィの泉のような演出「願いを叶える泉」
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そしてこんな大作まで。
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スカイブルーに、サルバドール・ダリ製作のブロンズ像
森のレストランでは、ピアノコンサートを聴きながら、地元の食材を使った美味な料理を。ミュージアムショップでは「ロメロ・ブリット展」などの
アートも楽しめた。そして、貴族のような華やかなドレスで園内を楽しめる
プリンセス体験というサービスまであって、徹底した芸術のおもてなし。
世界的にも貴重な100年ほど前の自動演奏楽器のコンサートやさまざまなイベントも開催。タイタニック号に搭載予定だった奇跡の楽器も。
そして、オルガンホールでは、世界最大級という豪華なダンスオルガンが見れる。
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人形が楽器を奏でるダンスオルガン
ダンスオルガンのコンサートでは、打楽器と管弦楽器を奏でるパイプオルガンの調べと人形の演奏との共演が楽しめる。
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43体の人形が動きながら演奏
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エッフェル塔などフランスの名所を描いた絵も
最後に、「感動テラス」で花と富士山の共演を撮影
美術館は25周年
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次は、河口湖北岸にある大石公園へ
富士山と河口湖を望む、花に溢れた絶景スポット
「河口湖ハーブフェスティバル」
一面に咲くラベンダーと富士の共演を激写!と思ったら……雲行きが?
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夏の空は富士のご機嫌ももやもや
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ブルー四重奏のアートは希少
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謎めいたこんな青も
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富士さん、かくれんぼしてないで出てきて!と
そして最後に、夏の暑さ凌ぐ冷たい青を!
鳴沢氷穴(国指定天然記念物)
富士山周辺の青と言えば、伏流水を水源とする湧水池「忍野八海」などの名水の他、氷の洞窟もある。富士山の噴火で流れた溶岩が徐々に冷え、内部のガスが噴出して残った溶岩洞。天井から水滴が落ちて徐々に積み重なってできた氷の柱。冷蔵庫の無い時代には実際に氷が使用されていたそう。
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この冷たい照明がミステリーブルーを演出
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花もようの和紙の包みは、ベロ藍を思わせるジャパンブルー?
天候によって様々な表情をみせる富士山。近くで見れば険しく自然の厳しさもあり、遠くから見れば穏やかに佇んでいる。芸術の源泉と言われるように、様々な自然や芸術と豊かに調和する姿はいつ見ても圧倒される。
4.ミステリーブルー四万温泉と神秘の湖
夏になると、青いものが巷を賑わす。食品、衣料品、空間……蒸し暑さを和らげる涼感演出が人気に。
でも青は、体感温度を下げてくれるという冷たさだけではない。夏でもサッパリ爽快、温かい青もある。
「温泉」
先日鑑賞した「テルマエ展(お風呂でつながる古代ローマと日本)」で名作漫画「テルマエ・ロマエ」の面白さが再燃。古代ローマの芸術的テルマエも素敵だったが、日本古来の青富士が描かれた銭湯、お風呂文化も気になっていた。
スパリゾートに留まらないジャパニーズリゾートと言えるような日本の原風景を感じたい。この青の好奇心で、誰かの大切な余暇を疲れさせてはと、人生初の温泉一人旅を計画。
日本の昔ながらの共同風呂などが今も残る湯治の里「四万温泉」へ。
群馬県の中之条駅からバスに乗り、四万川に沿って伸びる1本の国道から5つの温泉地区に向かう。その手前、県の天然記念物「四万の甌穴群」で降車。
そこは、山や森が生茂る場所。
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手前の蜻蛉、温泉地でもたくさん見かけた
準備していたミニ熊鈴の出番だ。
チャリンチャリンと音を鳴らしながら、石段を降りていく。
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近くに来ると水の勢いが凄い
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聞けば、電力工事中で川面に覆われ見れないのだとか
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途中、すれ違った男性に「ここ熊出るの?」と問われ、「念には念を」と答え、恥ずかしさが込み上げた。
甌穴の隣、「森のカフェkiseki」へ。
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吾妻川や各地の石で表現された波紋
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![](https://assets.st-note.com/img/1721486802615-99ECVWXWyl.jpg?width=1200)
バスを待つ間、ゆっくり読書を!
四万温泉のガイドブックに書かれた言葉に息を飲む。
「四万の病を癒す霊泉という伝説、鎌倉時代からその名を知られてきた」までは知っていたが、「俗界から離れた」秘境の温泉郷だという。上毛かるたでも「世のちり洗う四万温泉」と詠われているのだとか。
その地に一人足を踏み入れるとなったら、ちりに覆われているだろう心がざわざわしてきた。
新湯地区でバスを降車(終着地)。そこはレトロな温泉街が広がる。
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青が象徴的
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地元の人も利用する無料の共同浴場(左)
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浴場へのドアは2つ(男女)
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![](https://assets.st-note.com/img/1721487151573-NaOZGt6DKu.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1721487181360-chenxInOYL.jpg?width=1200)
四万十川と同じ透明度と言われている
![](https://assets.st-note.com/img/1721487194244-KNRx6b66Z0.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1721487019974-DEpYES0UG7.jpg?width=1200)
昔ながらの商店と今時の飲食店が点在
コンビニもない、レジャー施設のような遊べる場所も見当たらない。この地区から離れた湖上でのスポーツのカヌーやSUP、グランピングくらい。
徒歩でいける道は少なく、旅館の他、飲食店や商店も限られる。
一瞬、心に吹いた寂しさ。
そこに、唯一明るいネオンサインが見えた。その「柳屋遊技場」とかかれたお店のドアを開けた。
「こんにちは。どうぞ」の温かな言葉に、寂しさも少し和む。
ご夫婦が営んでいるそのお店は、昔ながらの遊びを提供している。昔、お祭りで体験した射的もあって懐かしい。昭和初期に流行ったと言うスマートボールに挑戦することにした。これは、パチンコのルーツらしい。
個人的にはこの手のゲームは得意ではない。球は次々と穴を通り過ぎ完敗!
それでも、このレトロな遊びにいつのまにか愛愁が湧いていた。
なんだろうこの感覚。
散策中、山に囲まれた深い森、川のせせらぎの音、どこまでも続くノスタルジックな風景にどこまでも無力で小さな自分を見た。
俗界を離れたようなこの地に長く根付いてきた自然と歴史の重みを感じずにはいられなかった。
そして、宿泊する「四万温泉 積善館」へ
元禄7年創業。江戸時代に建てられた本館は県の重要文化財。
強酸性の草津の上がり湯と言われる、肌に優しい四万温泉の湯で温まろう。
さっそく、本館にある「足湯」へ。
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温泉香漂う湯けむり
足湯に続く廊下には、飲泉所や宿の歴史を伝える歴史資料館も。
歴史だけではない。名作アニメ「千と千尋の神隠し」の湯屋「油屋」のモデルにもなった旅館として知られる。
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まだ青い妖艶な空を撮影
館内は、山の傾斜地に立つ3つの建物が迷路のような廊下でつながる。
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水の音がして床はミシミシ、まるで異世界
お風呂は各館に3つ。特に、登録有形文化財「元禄の湯」は、昭和初期の温泉文化を体験できる。
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※旅館が無償提供している写真
もう一つ露天風呂「杜の湯」にもはしごしながら、ゆっくり心身を浄めた。
翌朝もその名泉を楽しんだ後、湯治文化の思い出に、積善館がプロデュースする茶屋「薬膳や 向新」へ。
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窓の外は四万川が流れる
そして、旅のフィナーレを飾る場所へ。
そこへはバスもなく、坂が続き、徒歩で40分程度~かかるそう。天気も悪くタクシーを手配。
坂を登りながら、深い森を切り開くような一本道。タクシーの運転手さんに、熊も出るかと聞いたところ、「いますよ」とあっさり。
「えっ、怖くないんですか?」
「ん~、そんなに怖くないですよ。猿も猪も鹿も……いっぱいいますから」
(人への害ともなれば、猟友会が出動するのだそう)
運転手さんは、生まれたときからこの地で暮らしているというから、自然との共存は日常、そんな価値観が染みついているのだろう。
そして、四万温泉最奥の日向地区にある「御夢想の湯」へ
四万温泉発祥の湯といわれる源泉かけ流し無料の共同浴場。
(2006年改修)
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そこに脱衣所と階段と浴槽がある
向かいに、国指定重要文化財「日向見薬師堂」と
「日向見薬師足湯」も。
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そして、ゴール地点の「奥四万湖」に到着。
その温泉地区を結ぶ国道の最終地点の秘境に、四万ブルーと称される美しいダム湖がある。
タクシーを降りると、目の前に目覚めるようなブルーが。
わぁ~、エメラルドブルー?
まるで絵具をおとしたような鮮やかさ!
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この色は見たことない!と運転手さんも驚く
眺めている瞬間も湖面色が変化するそうで、その理由ははっきりしていないのだそう。(太陽の光の反射で見える青は波長が短く、光が散乱しやすい微粒子が水の中に存在している可能性があるとも)
まさにミステリーブルー。
天気によっても微妙に変化するのだろう。
この湖は1周4キロ。今年は雪も少なくて、春の放水で水面がかなり下がっているのだそう。(遠くに見える石の階段の色の境目が本来の水面だと教えていただく)
そして、カフェでひと休みすることに。
「湖畔カフェ ラトリエ・ブルー」
窓から湖面を望みながらスイーツを。
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手作り濃厚ティラミスはクリーミーで優しい味わい。
ブルー・ハーブティーとブルーハーブティーゼリーをセットして、青を楽しむ。(青は天然色素のハーブでバタフライピーを使用)
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外へ出ると、開放感いっぱいのテラス。
そして足湯スペースまである。
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「ぽつんと一人」
最近は、一人時間を謳歌していた。何でも自分で楽しめると思っていた。ここは、都心の便利で安全な街並みにある街路樹、公園、レジャー施設の自然とは違う。世のちりを流す異世界で、野生と共存する地元の人々の生活、厳しい自然の中で静かに時を刻むミステリーブルーの美景を前にしたら、人恋しさが押し寄せてきた。
でも、一人だから向き合えた。
ブルーになりそうな心のちりを、涙で洗い流した。
次はドライブで来たい……。
絶景の四万ブルーを目に焼きつけよう!
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このエメラルドブルーは今日だけの贈り物?
5.青の余韻
夢の中のリゾートとは違うミステリアスな青
その余韻を胸にしまった
海、空、富士、温泉、湖……
旅の風景には、青は当たり前のようにある
それは、赤のような眩しさ、緑のような優しさでもない
大きな懐でゆったりとその景色を包み込む
ときに冷たく
冷たさを含んだ現実に引きもどし
ときに温かく
天の恵みのような潤いをもたらす
移ろいやすくミステリアス
自然の厳しさを秘めながら
また夢のような美しい表情を見せてくれる
常に波のように移ろいながら、ちりを流していく
生きるために大切なものを残しながら
私はそんな根源的で純粋な青に惹かれたのだろうか……
もう夢には戻れない
野生の勘を取り戻す前に、まずは体力を取り戻したい
しばらく遠のいていたプールを思い浮かべた
厳しい暑さを、「青」で洗い流そう!
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