マガジンのカバー画像

「日本昔話再生機構」ものがたり 第1話 ヘルプデスクの多忙

13
コーイチは、ラムネ星「日本昔話再生支援機構」本部のヘルプデスクから地球上のクローン・キャストを支援している。コーイチは『鶴の恩返し』再生中の沙知が救難信号を出し続けているのに無視…
運営しているクリエイター

#小説

「日本昔話再生機構」ものがたり 第1話 ヘルプデスクの多忙 2. 見捨てられた沙知

「日本昔話再生機構」ものがたり 第1話 ヘルプデスクの多忙 2. 見捨てられた沙知

『第1話 ヘルプデスクの多忙 1.当直交代』からつづく

『第2話 沙知の危機 1. 最悪の状況』 からつづく

 私は『鶴の恩返し』で苦戦中のM1878/沙知の時空超越通信装置に起動シグナルを送り強制起動させた。仙太先輩から釘を刺されたので、かえって彼女のことが気になったのだ。ともかく、状況だけでも早めに把握しておく方が良い。
「M1878です」
力のない声が答える。M1878という登録番号から

もっとみる
「日本昔話再生機構」ものがたり 第1話 ヘルプヘルプデスクの多忙 3. 虎の巻

「日本昔話再生機構」ものがたり 第1話 ヘルプヘルプデスクの多忙 3. 虎の巻

『ヘルプデスクの多忙/2.鶴の巻①』からつづく

 私は泣き出したい気持だったが、現場で沙知が絶望して泣いているのに、ヘルプデスクの私が泣いていてどうすると、気を取り直した。
「沙知さん、私に少し時間をください。なんとか、打開策を考えます。それから、今織っている布は、絹糸だけで織り、これ以上あなたの羽毛を使わないようにしてください」
「そんなことをしたら、明日、あの男が怒ります。どんな目に遭うかわ

もっとみる