フィットネス業界のジレンマ
知人が駒沢に引越した。
近所にジムがあるなーと思っていたら、業界でよくお見かけする清水忍さんのパーソナルジムだった。
僕も清水さんの講義を一度受けたことがあるけど、まだ業界に入って活動を始めた頃(7年前ころ)だったからか、未だに当時教えてもらった内容を覚えている。それだけ前のめりになり、印象的で、雑誌「Tarzan」の監修、プロ野球選手指導などもされている申し分のない実力の方のジムだ。
優秀パーソナルトレーナーのジム
本当にお節介な話だし、大変失礼ではあるけど、もっと素敵な外観にできると思う。
自分は業界の人間だし興味があるからパンフレットを手に取ってみた。
パンフレットを開いてみたら、「へー!清水さんのとこなんだ」と、ここで初めて清水さんのジムであることを知る。
しかし残念ながら、これだけ立派なトレーナーの魅力が伝わってこないのが残念でもあり、でもこれが現実なんだよなぁとも思った。
デザインもどこかインパクトに欠け1990年代のクールなジムのような、素人が手掛けたというような印象がある。
文言も大事だと思う。僕は苦手な分野だから、それも踏まえて、フォントや色、ロゴや写真の使い方、配置、ディテール等のトータルなデザインは、現代人の心を掴む上で重要なファクターだと思う。
こちらのジムに限らず、安定して優秀なパーソナルトレーナーは得てして古い価値観を持っている。
実力が表に現れにくいフィットネス業界
ボディメイク産業
これは個人的な価値観かもしれないが、今流行しているコンテスト的ボディメイキングは、バリバリ筋トレに励み、サプリメント教としてプロテイン始め様々なものを摂取し、堂々と鏡の前でポージングするという風潮はどうも馴染めない。
腕諸々ムチムチと太くなって意気揚々と鏡に向かってポーズを決めているのが、常に引き締まった状態を維持するならいいとして、増量期はただ肥えて見えてしまう人も多い。
継続して取り組むことは称賛に値するし、努力の継続で体の変化が感じることは理解できる。
パーソナルトレーニング隆盛期
就活のさなか、僕がこの業界に入った時はパーソナルトレーニングという言葉が米国から徐々に日本に広がってきた頃だったと思う。
この頃はボディメイクの要素よりも、個々人に必要な様々なニーズに対して架け橋として伴奏していくという形で、一定期間内に減量したり、スポーツパフォーマンス向上、機能改善、怪我予防という観点が強かったように思うし、知識が豊富で結果にコミットしているトレーナー ほど売れているという印象が強かった。
しかし、現代のニーズは変わりつつある。
効率的でスタイリッシュを好むミレニアル世代
これからのフィットネス業界の多くのニーズは
健康的で、自分を魅力的に魅せるための体づくりが主流だと思う。
そして、ミレニアル世代以降の人間は特に効率性を求める。
もちろん、知識が豊富でコミュニケーション能力にも優れ優秀なパーソナルトレーナーは山ほどいる。
そういう人から高いお金を払ってトレーニングを受ける人は、そういう時代に生きてきた年配の方、よほど痛みの強い部位がありそれを改善したい方だったりする。
でも僕含め効率性を求めるミレニアル世代の39歳まで(2020年現在)の人の多くにとっては、知名度よりも、いかに効率よく、費用対効果高く、自分の望みを得られるかであると思う。
そして、これまで一昔前まで盛んにフィットネス業界を盛り上げてきた人というのは、今の世代が求めるスタイリッシュさとは異なるように思う。
湿っぽく汗くさい雰囲気のジムで、がむしゃらにガツガツしてるムキムキの人たちと同じ空間でトレーニングすることを好まないのは僕だけではないと思う。
これからのフィットネス業界
逆説的ではあるが、外観内観とデザイン、中の雰囲気が良くて、個々人の主観で「この場所で頑張る!」と思えたら入会につながり、多くの顧客数を得ることができると思っている。
ボディメイクに関してはある程度知識があれば、そこまで大差はない。
その上で、ジムがコミュニティ化するような仕組みがあると、トレーニングそのものの楽しさや自己満足だけでなく、それ以上にトレーニングにとって必要な「継続」を行いやすくすることができると思う。
・デザイン性
・雰囲気
・清潔感
・利便性
・費用対効果
・コミュニティ化
確かな方法で継続できれば身体づくりは担保される。
身体づくりは仕組みづくり。
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