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ホルモンを知ることは、自分を知ること

血糖値以外にもホルモンによって体の状態が維持されています。ここでは、2つ紹介します。

平熱は高い方?

私たち哺乳類は体温が一定に保たれている恒温動物なので、気温が下がって体温が下がると、体温を上げて平熱にする仕組みがあります。反対に、気温の上昇で体温が過剰に上昇した場合は、体温を下げなければなりません。これは、私たちは体温が一定以下になると死んでしまいますし、高すぎてもよくないからです。先に結論を言ってしまうと、私たちの体は体温を上げる方が得意です。というのも、自分の平熱と同じもしくは平熱以上の気温になる日は、1年のうちどれくらいありますか?近年は、夏場の気温の高さが話題になっていますが、それでも1年の大半は体温以下です。詳しくは、図をみてもらうのが一番ですが、ここでは体温調節のメカニズムを簡単に紹介します。体温調節を理解する上であらかじめ知っておくべきことは、「肝臓で熱をつくる」「血液で熱を運ぶ」「熱を作るのにエネルギー(ブドウ糖)が必要」です。

まず、体温が低下した時の話をします。私たちの脳が体温の低下に気づくのは、間脳視床下部に温度が低下した血液が流れ込んだ時です。この時、視床下部の細胞は、脳下垂体(前葉)に指示を出して、甲状腺刺激ホルモンと副腎皮質刺激ホルモンを分泌します。この2つのホルモンは名前の通り、甲状腺と副腎皮質にホルモンを作って分泌するように促します。甲状腺からのチロキシンが分泌で、代謝が促進され、肝臓が熱を作るようになります。副腎皮質からの糖質コルチコイドはタンパク質をブドウ糖にかえる働きがあるので、肝臓が熱を作るサポートをします。また、視床下部から交感神経を通して副腎髄質からアドレナリンを分泌が促進されます。アドレナリンは、グリコーゲンをブドウ糖にする役割があるのですが、交感神経とともに心臓の拍動を上げる働きもあります。心拍数が上昇すると、血液の循環がよくなるため、全身に熱とブドウ糖が送られます。交感神経の働きは、心拍数の上昇だけではなく「皮膚の血管収縮」「立毛筋収縮」によって、体から熱が出ていくのを防ぎます。
一方、体温が上昇したときは、主に副交感神経の働きにより血管を拡張して熱を放出したり、交感神経の働きにより発汗により熱を下げます。この血管の拡張で、血圧の低下や頭部や手足の末端部への血液の供給量が低下します。すると、めまいや手足の痙攣という熱中症の症状がおきることになります。

熱を上げる時の流れです。

腎臓について

次のホルモンを紹介する前に腎臓の役割について簡単にお話しします。腎臓の働きで1番有名なのは、尿の生成でしょうか。尿は、体内で発生した老廃物を肝臓で尿素に作り変え、水と一緒に排出したものです。つまり、血液中の尿素を取り出す働きがあるのですが、けっこう大雑把なしくみになっています。
まず、腎臓に流れ込んだ血液は糸球体と呼ばれる毛細血管のかたまりに行きます。糸球体は毛細血管が毛玉のようになっているため、ここを流れる時に血液から液体成分が血管の外に染み出します。これが、原尿と呼ばれるおしっこのもとです。ただ、血液の成分がそのまま染み出しているので、血液に溶けているブドウ糖や塩分などもそのまま染み出しています。何より、成人男性が1日に作る原尿は180リットルくらいあるので、そのまま排出すると大変なことになります。そのため、腎臓は原尿から水と一緒にブドウ糖をはじめ塩分などを体内に戻しています。この時に体内に戻す水の量を調節することで、私たちの体の中の状態が一定に保たれています。

腎臓の働きをかなり雑にかいています。特に、ボーマンのうは腎細管に繋がったのち、集合管にまとめられています。ここでは、バソプレシンが作用するところが集合管であるため、省略して書いています。

水分調節

水分を十分に摂取せずに運動すると汗とともに水分がなくなり血液の塩分の濃度が高くなります。反対に、水を飲み過ぎると血液の塩分の濃度が低くなります。これらの変化は、間脳視床下部で感知され、脳下垂体から分泌されるバソプレシンの量が変化します。例えば、血液の塩分濃度が高くなると、バソプレシンの量が増えます。すると、濃度を下げるために、腎臓では原尿から体内に戻す水の量を増やします。水分の摂りすぎで濃度が低下すると、バソプレシンの量を減らして、体に戻す水の量を減らします。これでわかると思いますが、バソプレシンの分泌量が増えると尿の量が減り、減ると尿の量が増えます。このことから、バソプレシンは抗利尿ホルモンと呼ばれています。

だいたいこんな感じです

飲み過ぎ注意

ブドウ糖や塩分は私たちが生きていく上で欠かせない物質です。そのため、尿といっしょに体の外に出ていかないように腎臓で体の中に戻しています。これを再吸収と言うのですが、ブドウ糖は原尿から全て再吸収します。しかし、塩分は水と一緒に戻されるだけなので、水の再吸収の量が減ると、体の中の塩分の量が減ってしまいます。熱中症による脱水状態も怖いですが、水の取りすぎにも気をつけましょう。

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