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「ここは笑うところだぞ!」から生まれる地獄


2023年2月28日(火)朝の6:00になりました。

毎朝投稿をはじめて、ちょうど2ヶ月が経過しました。

どうも、高倉大希です。




人前で話す機会が多い仕事をしています。

こう話したら伝わらない。

こう話したらスベってしまう。

そんな経験を何度も何度も積み重ねてきました。


うまくいかないパターンはいくつもあるのですが、その中でももっとも気をつけなければならないのは「相手にすべてを委ねてしまうコミュニケーション」です。


「あれ、今のおもしろくなかった?」

「ここは笑うところだぞ!」

「ボケたんだからツッコんでくれないと!」


このようなことを言う人は、リアクションありきで無謀な勝負に出ようとします。

そして、自分で蒔いた種から花が咲かったら、相手のせいにするのです。



言われた側からすれば「まあ…はい…すみません…笑」と答えるしかありません。

あちらがはじめたことなのに、なぜかこちらが苦しまなければならないわけです。


恐ろしいことに、当人にはまったく悪気がありません。

悪気どころか「楽しませてあげている」と思っている節すらあります。


きっと誰もが、言われる側だったら「まあ…はい…笑」になるはずです。

しかし言う側になった途端、あっさりと忘れて、相手のせいにしてしまうのです。


わたしたちは不合理なだけでなく、「予想どおりに不合理」だ。つまり、不合理性はいつも同じように起こり、何度も繰り返される。
ダン・アリエリー(2013)「予想どおりに不合理」早川書房


「サプライズ」にも、この危険性が多分に内包されています。

仕掛ける側のわくわくだけが膨れ上がり、いざ期待どおりのリアクションが得られなかったら、相手のせいにしてしまいます。


「あれ、そんなに嬉しくなかった?」

「もっと喜んでくれると思っていたのに!」


だから、なぜか「仕掛けられる側が一生懸命に気を遣ってオーバーなリアクションをとらなければならない」という、よくわからない場ができあがってしまいます。



決して、冗談をかますことやサプライズをすること自体がわるいと言っているわけではありません。

自分で種を蒔いたからには、花が咲こうが咲くまいが、最後まで自分で責任をもって処理する必要があるという話です。


「孤独」ということを、どこまで自分の中に呑み込んで、つきつめていけるか。そしてその上でどこまで風通しよく生きていけるか。それを目指していこう、と。
吉本隆明(2017)「ひきこもれ」大和書房


「相手を楽しませたい」という気持ちはとても素敵です。

ただ、それ以上に「相手に嫌な思いをさせないコミュニケーション」を大切にできれば、世界は平和に近づくと思います。





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