■第二次安倍内閣が発足した日から11年経過
2012年12月26日午後、第二次安倍内閣が発足した。
今日は、その11周年記念日である。
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2012年11月14日の党首討論で、2日後の衆議院解散を引き出した。
そして、同年12月16日、衆議院議員総選挙で圧倒的大勝利によって、「地獄の民主党政権」から政権奪還し、再び自民党政権になった。
その後の活躍については、過去のnoteでも触れた通りであるが、それらはほんのイチブにすぎない。
■Asia's Democratic Security Diamond
さて、そんな第二次安倍内閣が発足した2012年12月26日から間もなくして、安倍総理は、国際NPO団体「Project Syndicate」に『Asia's Democratic Security Diamond』という論文を発表した。
その論文は、これまで温めていた構想を、2012年11月までに論文として書き記した内容になっている。
この内容が、後の「自由で開かれたインド太平洋」へと繋がっていく事になる。
今回は、その論文を、Google翻訳ベースで、大まかな段落に分けつつ、日本語訳にしてみた。
※「ですます調」を「である調」にしたり、明らかに不自然な箇所は修正したりしている。
意訳しすぎず、かと言ってゴツゴツした直訳になりすぎないように心掛けてみた。
他にも、この論文を和訳している記事やブログはいくつかあると思うが、自分の復習の意味も込めて自分なりに和訳してみた。
☆Part 0
<日本語訳>
2012年12月27日 安倍晋三
太平洋における平和、安定、航海の自由は、インド洋における平和、安定、航海の自由とは切り離せないものである。
日本は、アジアで最古の海洋民主国家の一国として、(オーストラリア、インド、米国と一緒に)両地域の共通利益を保護する上で大きな役割を果たすべきである。
☆Part 1
<日本語訳>
東京より-2007年の夏、日本の首相としてインド議会のセントラルホールで演説した時、私は「二つの海の交わり」(1655年にムガル帝国の皇子ダーラー・シコーが著した書物の題名から引用したフレーズ)について話し、集まった議員たちの拍手喝采と圧倒的な賛同を得た。あれから5年経ち、私が言った事は正しかったと確信した。
☆Part 2
<日本語訳>
太平洋における平和、安定、航海の自由は、インド洋における平和、安定、航海の自由とは切り離せないものである。それぞれに影響する開発は、これまで以上に密接に関連している。日本は、アジアで最古の海洋民主国家の一国として、両地域の共通利益を保護する上で大きな役割を果たすべきである。
☆Part 3
<日本語訳>
それにもかかわらず、ますます、南シナ海は「北京の湖」になっていくように見える。アナリストたちは、オホーツク海がソビエト・ロシアになったように(南シナ海も)中国になるだろうと言う。人民解放軍(PLA)の海軍が核兵器潜水艦の基地となるのに十分な深さの海であり、核弾頭でミサイルを発射することができる。まもなく、人民解放軍(PLA)海軍の新型空母は、中国の隣国を恐れさせるのに十分すぎるほど日常的な光景になる。
☆Part 4
<日本語訳>
だからこそ、中国政府が東シナ海の尖閣諸島周辺での日々の演習に日本は屈してはならない。確かに、人民解放軍(PLA)の海軍の艦船ではなく、中国の軽武装した法執行船だけが、日本の接続水域と領海に侵入した。しかし、この"穏やかな"接触は誰も騙せない。これらの船の存在を日常的に見せることにより、中国は既成事実として、島々を取り巻く海域に領有権を確立しようとしている。
☆Part 5
<日本語訳>
もし日本が屈したら、南シナ海はもっと強化されるだろう。日本や韓国のような貿易国にとって重要な航行の自由は、深刻に妨害される。二つの中国の海の大部分が国際海域であるにもかかわらず、日本に加えて、アメリカの海軍力がこの地域に侵入するのは難しいと感じるだろう。
☆Part 6
<日本語訳>
このような事態が起こる可能性を懸念して、私はインドで、太平洋とインド洋の航行の自由の責任者として、より多くの責任を担うために、インドと日本の政府が一緒に参加する必要性について話した。私は、中国の海軍力と領域拡大が2007年以来のペースで進むとは予想していなかった事を打ち明けなければならない。東シナ海と南シナ海で継続中の紛争は、日本の外交政策の最優先事項が国の戦略的視野を広げる事でなければならない事を意味する。日本は成熟した海洋民主国家であり、緊密なパートナーの選択はその事実を反映すべきである。私は、インド洋地域から西太平洋に広がる共通の海上を保護するために、オーストラリア、インド、日本、それにアメリカのハワイ州でダイヤモンドを形成する戦略を構想している。私は、このセキュリティダイヤモンドに、日本の能力を、可能な限り最大限に注ぎ込む用意がある。
☆Part 7
<日本語訳>
私の抵抗勢力である民主党は、私が2007年に計画した方針に従って継続する事を評価している。つまり、オーストラリアとインドとの関係を強化しようと努めてきた。
☆Part 8
<日本語訳>
両国のうち、(世界貿易の約40%が通過する)マラッカ海峡の西端に位置するアンダマン・ニコバル諸島を含む東アジアで多くの人口であるインドは、より重点を置くに値する。日本は現在、インドとの定期的な二国間軍事対話に携わり、アメリカを含む公式な三者協議にも着手した。そして、インド政府は、中国が外交的武器としてレアアースの供給を使う事を選択した後、<多くの製造業に重要な要素>となるレアアースを日本に供給するために契約を締結する事によって、政治に精通している事を示した。
☆Part 9
<日本語訳>
私はまた、アジアの安全保障の強化に参加する観点から、イギリスとフランスにも復帰するよう呼びかけたい。日本の世界の一部における海洋民主国家は、彼らの新たな存在により、遥かに良くなるだろう。イギリスは今もなお、マレーシア、シンガポール、オーストラリア、およびニュージーランドとの五か国防衛取極に価値を見出している。日本にこのグループに参加してもらい、そのメンバーと会談するために毎年集まり、小規模な軍事訓練に参加してもらいたい。一方、タヒチのフランス太平洋艦隊は、最小限の予算で運営されているが、おそらく、そのウエイトを超えている可能性があるだろう。
☆Part 10
<日本語訳>
とはいえ、アメリカとの同盟関係に再投資する事ほど、日本にとって重要な事はない。アジア太平洋地域に向けたアメリカの戦略的リバランスの期間に、アメリカは、日本がアメリカを必要とするのと同じくらい、日本を必要としている。 2011年の日本の地震、津波、および原子力発電所事故の直後、米軍は最大の平時の人道的支援活動を日本に提供した。-条約同盟国が育てた60年の絆が本物である事の強力な証拠である。アメリカとの長年の関係を奪われた日本は地域的およびグローバルな役割を減らす事しかできなかった。
☆Part 11
<日本語訳>
私は、日本の最大の隣国である中国との関係が、多くの日本人の幸福に不可欠である事を認めている。しかし、日中関係を改善するために、日本はまず太平洋の反対側に関係を固めなければならない。;結局のところ、日本の外交は、民主主義、法の支配、そして人権の尊重に常に根ざしていなければならないからだ。これらの普遍的な価値は、日本の戦後の発展を導いた。私は、2013年以降、アジア太平洋地域の将来の繁栄はそれらの上にあるべきだと確信している。
☆Part 12
<日本語訳>
安倍晋三は日本の首相である。彼は日本の衆議院議員選挙前の11月にこの論文を書いた。
ラストの注釈の一文からは、党首討論で衆議院解散を引き出した時点で衆議院選挙の大勝利を確信していた事が伺える。
以上。