BRICSとGlobal Southと自由で開かれたインド太平洋
■BRICS(新興5カ国)
以下の5カ国を指す。
・Brazil
・Russia
・India
・China
・South Africa
これらの国々の頭文字を取ってBRICSと呼ばれ、「新興5カ国」と言われている。
元々は、2001年11月に、Goldman Sachsが、 BRIC+s(複数形)で「BRICs」と名付けた。
2011年に南アフリカが加わり、 BRIC+S(南アフリカ)で【BRICS】となった。
■BRICSの共通項
・面積が大きい!
⇒5か国合計で世界の約32%を占めている。
・天然資源が豊富!
⇒石炭・鉄鉱石・天然ガスなどの資源大国。
・人口が多い!
⇒5か国合計で世界の約45%(27億人以上)を占める。
・軍事力がある。
⇒特に、ロシア・中国・インド。
「BRICs」という名が出てからの約20年間で急成長を遂げたのは中国とインドであろうか。
■BRICSは台頭するか?!
2022年に、イラン・アルジェリア・アルゼンチンが加盟を申請した。
他にも、BRICSに加盟を希望する国は複数ある。
その中には、成長著しいアジアや潜在力溢れるアフリカからも多く含まれており、今後も増えていく可能性は十分にあるだろう。
更に中東の産油国が加われば、経済力はかなり大きな規模になるだろう。
そうなれば、国際社会におけるプレゼンスを高める事ができる。
■BRICSは脱米ドルなるか?!
BRICSは、金を裏付けとした新たな共通通貨の導入を目指している。
これは明確に、一共同体として脱米ドルを目指すという事で、現に、ドル決済からの離脱を開始している国もあるようだ。
BRICSが今後更に台頭し、新通貨構想が表立って本格化してくると、いよいよ米ドルの基軸通貨としての立ち位置が危うくなる可能性もある。
産油国がBRICSに協調すれば、石油取引に米ドルで決済する必要はなくなるからね。それは即ち、ペトロダラー体制の崩壊を意味する。
かつて、「脱米ドル」や「共通通貨の導入」の旗を掲げた者たちがいた。
イラクのフセイン大統領とリビアのカダフィ大佐だ。だが、
フセイン大統領は逮捕・投獄・処刑され、カダフィ大佐は暗殺された。
BRICSはこの厚くて高い壁を乗り越える事ができるか??!
まだまだ検討段階でしかないだろうし、今後どうなるかは何とも言えないが、これが前進したらと思うと楽しみである。
8月22日から8月24日にかけてヨハネスブルグで開催されるBRICS首脳会議に注目だ!
■Global South
グローバルサウスとは、どこかの国を特定するものではなく、南半球の国々の総称と考えられる。
その中で、主導しているのはインド、次いでブラジルである。特に、インドのモディ首相は、グローバルサウスの顔となっている。
国を特定するBRICSとは異なり、カチッとした概念がなく、一枚岩でもないため、10年後には"顔"が変わっている可能性さえあるのがグローバルサウスである。
■カギを握るのはインド
潜在能力のあるBRICS、台頭するGlobal South。
共通項として、インドがその中心にいるという点。
インドは人口も多く、経済成長が著しい。
数年後にはGDPで日本を抜くと言われている。
国々の間では、まだまだ貧富の差や地域格差は大きいが、今後に向けて、経済改革を行い、経済の自由化を目指していくのだろう。
BRICSの動きは要チェックや!
■自由で開かれたインド太平洋(FOIP)
そんなBRICSやGlobal Southに対して、日本はどのようにして対応していくのか。
今年になって、岸田総理がアフリカ外交を展開していた。
・03月20日……インド訪問
・04月30日……エジプト訪問
・05月01日……ガーナ訪問
・05月03日……ケニア訪問
・05月04日……モザンビーク訪問
太平洋(米豪印)だけではなく、インド洋(アジア・アフリカ)にも着々と輪を広げている。
これはまさに【自由で開かれたインド太平洋】に沿った動きだ。
7月上旬には、安倍総理の後任として「日印協会」の会長に就任した菅義偉総理がインドへ訪問する。
インド太平洋地域は、世界経済の半分以上を占めているが、
法の支配が進んでいなかったり、外国と対等に外交できない国もある。
そのために、必要な時に必要な支援を行い、平和と安定の確保を図り、経済的繁栄を追求していくというもの。
その【自由で開かれたインド太平洋】を提唱したのは誰だったか。
公の場で初めて提唱されたのは2016年8月の「TICAD VI」である。
そして、それよりも更に約10年も前の2006~2007年より構想し、「日米豪印戦略対話」(Quad)を提唱したのは誰だったか。
2007年8月には、インド外交を展開し、「二つの海の交わり」として演説を行ったのは誰だったか。
・
これが後の「セキュリティ・ダイヤモンド構想」となり、【自由で開かれたインド太平洋】へと進化を遂げたのだ。
BRICSの動き、Global Southの動き。
それらの中心にいる成長著しいインドと、いち早く交流を深め、同盟関係を築いた安倍総理の先見の明の凄さよ。
安倍総理が残した【自由で開かれたインド太平洋】
本領が発揮されるのはこれからです。
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