『シン・ニホン』にみる、情報収集「目的」「方法」の重要性

本日、本屋さんに寄りました。

安宅和人さんの『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』がまだ店頭に並んでいてビックリしました。今年の2月に出版されたものですが、まだ根強い人気があるようです。

シンニホン

安宅和人さんは、最先端の情報を集めるために英語は重要になると指摘しています。また、データリテラシー問題解決も重要になるとも主張しています。

また、多くのブロガーやnote作成者の方が取り上げており、非常にホットな1冊であると分かります。


ところで、「私にとっては」この本を買うことに非常に抵抗感があり、いまだに購入していません。言い換えると「私にとっては」必要性の高い本であると判断しなかったため、購入しないという選択を取りました。

なぜ、このような選択をとったのかという説明をしたいと思います。

1.既に公開された内容である

Amazonで2,640円の『シン・ニホン』ですが、本書に関し、同サイトのレビューで下記のようなものがありました。

(2020年2月23日に日本でレビュー済み)
内容は数年前位から、色々な方の講演で聴く内容と同等で、
知識人たちの今の共通認識なのでしょうね。

上記太字部分のような感想が出るのは、至極当然だと思います。

2020年2月に発売された本書ですが、私が大学院に通っていた約3年前に、内容自体は既に公開されていたものです。

まず、経済産業省の部会資料として、2017年2月13日に公表されました。現在でも、下記よりスライド資料を確認できます。

次に、上記の内容を補強したうえで、2017年12月21日に財務省総合政策研究所から再度公開されます。現在でも、下記よりスライド資料を確認できます。

私は修士のとき、上で紹介した2つの資料に目を通しておりましたため、『シン・ニホン』というタイトルをみたときに、当時の記憶が蘇りました。

上記から、次の2つのことが導けると思います。

①日頃から情報のアンテナを張っていれば、定価2,500円以上の本に記載されている情報と同価値の情報を無料で手に入れることがある。
②現在、最先端の課題を取り上げたかのような本に見えても、実は数年前に既に議論されている内容である場合がある。

このような事情を総合的に考慮し、私は購入せずに現在に至っています。


2.本人動画やまとめ動画等がある

実は、さらに早い2016年10月22日に、TEDxTokyoで安宅さんが公開プレゼンしていました。そして、2016年11月2日にはYouTubeにて公開されていました。この点については、当時私も把握しておりませんでした。


また、話題の本というのは、多くのYouTuberが概要をまとめているので、そちらを倍速で視聴するのも選択肢の1つかと思います。

このような話をすると、「一次情報に当たることが大切だ。まとめ動画から情報を仕入れた気になるのは早計だ」という意見も出てくるかと思います。確かに中田敦彦さんの件が話題になりましたね。

この点、学術的な専門書や研究論文なら間違いないでしょうが、軽い読み物や自己啓発本のようなものまで一次情報を精読して確認するのは、限られた時間を投じる費用対効果という観点から、いかがなものでしょうか。

ちなみに企業役員や政治家等、社会的立場の高い人ほど、時間が足りず一次情報を全部当たっていられなくなるので、社員や官僚等に概要を簡潔に説明させていますよね。個人が話題の本の内容をインプットするために、第三者の手を借りることをためらう理由は殆どないと思います。


3.まとめ(『シン・ニホン』から考えたこと)

ここでタイトルの回収に入るのですが、お金を払ってまで本を買うという「方法」をとるとき、どのような「目的」でその情報を入手したいのか、一度立ち止まって考える必要があると思います。

本を買う前に、一度目的を洗い出してみて、「本当に必要だ」「絶対に他では代替できない」と思った本だけ買うようにすることを、私自身も心掛けています。そうでないと、情報商材を意味もなく買ってしまう「カモ」と本質的に変わらないからです。

私も生きる過程で何度失敗して、何度食い荒らされてきたか…(泣)

4.おわりに

今回のように、経済産業省や財務省の機関が関係している資料だということは、日本の経済・産業・財政・投資について都合の良くないことは書かれていない可能性があります。

情報発信する側の「属性」にも着目する必要がありますね。

GAFAMと呼ばれる企業にあらゆるIT関連のプラットフォーム利権を握られていても、日本が国際競争で勝ちうると考えるのは、大企業のシステム関係部署で勤務する筆者からみると相当に難しいと思います。

この国はスクラップ&ビルドで
のし上がってきた。
今度も⽴ち上がれる。


赤坂秀樹
内閣官房長官代理
(『シン・ゴジラ』より)

このような言葉が資料で引用されていますが、今まで無敗の人が次回も勝てるとは限らないのと同じく、何の証明にもなってないです。

とはいえ、「日本のIT産業は、世界での競争に勝てないかもしれない」なんて書こうものなら、日本の企業に投資が集まらないので、ポジショントークになるのは仕方ないことですが…。

あらゆる角度から、読み手がまず情報を疑ってかかることは、大切ですね。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。



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