心に溢れるショートストーリー劇場   第二幕

「遂に完成した」老人は大いに喜び叫んだ。
どうしたんですか博士、と白衣を着た青年が慌てて振り返った。
レバーを下ろす。部屋中が物音を立て、埃が雨のように降った。「これでどんな時代も自由だ」各種パネルが点灯した。まずはどこへ行きますかと青年は博士の指示に従って水をタンクに補充する。複数の真空管の数字座標を調節した。

「そうだな、この宝くじが売られる、ちょうど三日前だ」眩い光が包む。博士は三日前の朝に飛び、舞い戻った。時間跳躍に成功した。

 だが当選番号は一桁ずつずれていた。慌てて修正を試みるが乗り物は未完成だった。それに加えて以前と違う作りになっており、部品から全てが別物だ「これはお手上げだ」頭を抱える。「どうしたんですか博士」戸の向こうから青年が駆け込んでくる。「私は過去からきた、君は疑うかもしれんがな」青年は大いに喜び叫んだ。老人は腰を抜かした。「やっと僕も未来に帰れるんですね!」 

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