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今年のかぞかぞも2億パーセント優しい🍝


NHKドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の地上波放送が始まりました。
昨年放送されたBS版よりも、5分短く編集されたとのことでしたが、素敵なところがより濃くなって、45分があっという間のようでもあり、ひとつの映画を見たような充実感もあり、やっぱり素晴らしいドラマです。

私は、第2話の、ひとみさんと看護師さんのシーンがとても印象に残っています。病気で下半身が動かなくなり、リハビリに励む毎日の中で、ひとみさんが看護師さんに、失意の胸の内を吐露します。
子供達を育てることが生きがいだった。幸せにしてあげると思って生きてきた。でもこんな身体ではもう何もしてあげらない。それどころか一生あの子らのお荷物。もう死にたい。車椅子で泣きながら話すひとみさんに対して、看護師さんは、かがんで向き合って頷きます。「そうだったんですね。」と、ひたすら共感します。「そんなこと言わないで頑張りましょうよ。」とか、「きっと大丈夫ですよ。」なんて言わず、ただただ気持ちを受け止めて頷いています。
人の心に本当に寄り添うというのは、こういうことなんだなと、私は胸を打たれました。看護師さんの優しい声は、ドラマを見ている私まで癒してくれているみたいで、何度見ても涙が出ます。
そして、それを偶然聞いてしまう娘の七実。
風船を持ったまま立ち尽くす高校生の七実ちゃんの足元の思いがけない幼さに、なんだかグーッときました。

七実ちゃんと、ひとみさんのパスタのシーンも、またとっても良かった。
七実ちゃんが外出許可が出たママを元気づけようとして、街に出るのですが、初めての車椅子でのお出かけには、たくさんの思いもよらない試練がありました。たどり着いたカフェで、二人は感情を溢れさせます。一緒に死ぬかという言葉まで出ます。でも、ママが生きたいと思うようにしたいから時間をちょうだいと言う七実。そして、二人ともポロポロ泣きながら、パスタを食べるのでした。
いつも茶色いおかずばかり作ってくれるおばあちゃんの「食べて元気が一番!」という教えを忠実に守るかのように。

この場面は、ほぼ本当に、原作者の岸田さん親子の経験されたことなのですが、実際にはその時は泣けなかったのだと、岸田奈美さんはXに記されています。
たぶん意地で泣けなかった。だから、ドラマの二人が号泣しているのを見て、なんだかありがとうと思ってしまったというようなことを書かれています。
泣きながらパスタを食べる姿は、見ている私達にも衝撃的でした。そして、瞼の裏に焼きついたその光景が、この先、様々な場面で様々な人を助けることになるのではないかと思いました。

2話の終盤、大学に合格した七実ちゃんの明るいの笑顔を見て、ひとみさんは、この笑顔を見るための人生をいただいたんだと納得するのでした。

今日の辛さに寄り添うこと、今日の悲しみを分かち合うこと、今日の笑顔を喜ぶこと。過去でも未来でもなく、まずは身近にいる人の今のありのままを労わり合って転がって行く。
そんなことを重ねていく生き方がしたいなと思いました。

大好きな登場人物の皆さんが、繰り広げていく物語は、昨年の放送で最後まで見ている立場でも、とっても新鮮で、改めて心に響きます。
それは、去年の自分と今の自分が違うからでもあり、去年の世の中と今年の世の中が違うからでもありますが、編集された監督さんの優しい優しい魔法のおかげでもあるのでしょう。
魔法にかけられた幸せに浸って、プカプカ浮かんでいるみたいな気分です。🐳

この後の優しい魔法もますます楽しみです。🎈





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