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夫よ、あなたはこれからもずっと私の王子様です


夫と私がまだ付き合って間もない時に

夫のお母さん(私にとって義母)が亡くなった

私は彼女に一度も会ったことがない

共通の友達の紹介で夫と私が知り合って1ヶ月経つか経たない頃

義母はすでに病に侵されて入院していた

私は夫から(その頃は彼氏)命に関わる病とは聞かされていなくて

そのうちにお見舞いに行かせてもらおうかなと思っていたのに

デートから帰宅したあの日

彼から電話があった

携帯もない時代、家の固定電話にかかってきた

母が取り次いでくれて電話に出ると

「今日も楽しかったよ、ありがとう」と彼

いつもデートから帰宅する時間を見計って電話をしてくれた彼

少し様子が変な気がした

短い沈黙があり

少ししてから

「今、病院にいる」

「母が亡くなった」

一瞬、私はその意味が飲み込めなかった

さっきまで一緒にいて楽しく過ごした彼からそんな言葉を言われても

頭のなかが真っ白になった

「えっ、お義母さんがなんで?」

実は末期の癌だったとその時初めて教えてくれた

私はあまりにも彼のお母さんのことを知らなすぎて(付き合ってまだ1ヶ月程だった)

何を言ったらいいのかもわからなかった

彼は

『とにかく僕は大丈夫やから、

でも、しばらくはバタバタすると思うし

連絡取れなくても心配せんといて

もう行かなあかんから、電話切るよ』

と口早に告げると電話を切った

受話器を置いた後

私は泣いた

夜中に大声で泣いた

泣きじゃくった

母が驚くぐらい私は泣いていた

そしてその時

なぜか彼と一生一緒に生きていくんだと確信した

後で彼から聞いた話だ

夫は私と出会ってから、すぐに私の写真を彼のお母さんに見せたらしい

彼は「この娘と結婚したいと思ってる、できるかな?」って言ったら

「あんたの優しさがわかってもらえたらええな、頑張りや」とお義母さんから言われたそうだ

その話は彼のお母さんが亡くなってしばらくしてから聞いたのだが

私の顔をたとえ写真であっても亡くなる前にお義母さんに知ってもらえていた事がとても嬉しかった

田舎から神戸に出てきて義父とお見合い結婚をして

結婚してからはずっと自営業のお店を手伝っていた夫の母

お店が住居の一階にあったので気持ちが安らぐ暇もなかったらしい

姑さんの世話と三人の子供の子育てとお店の手伝い

かなり大変だったと聞いている

長年の無理がたたったのか、病に倒れて50代の若さで亡くなった義母

そんな母親を子供ながらに見ていた夫は

結婚する人にはお姫様のような暮らしをさせてあげたかったそうだ

広くて綺麗な家でお姫様のように幸せに暮らして欲しい

自分の妻には苦労させたくないと心に決めていたらしい

30年前はいわゆる寿退社が普通だったので

私も結婚を機に会社を辞めて

そういうことが当たり前のギリギリの世代でもあるのかもしれないが

それからは私は家庭に入った

あまり精神的にも肉体的にもタフでない私は

家の事と子育てだけでも精一杯だったし、彼もその事は理解してくれていた

有難いことに夫が頑張って働いてくれたおかげで

裕福な生活とまでは言えなくても

なんとかこれまでそんなに苦労もせずに気楽に暮らせたのも

彼のおかげだと感謝している

夫はどう思っているのか わからないけれど


夫は私をお姫様にしてくれた


そんな夫は私にとっては王子様なのである


これからもずっと


夫婦やパートナーの価値観やベクトルはそれぞれの形があると思っている。専業主婦(主夫)、共働き、共同経営、子供を持つか持たないか・・・それは当事者が納得して決めればいいこと。たまたま、夫と私はこういう形の夫婦であり二人がそれで幸せなら私が家庭に、夫が仕事にという形が最良だったということかもしれない


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