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Bounty Dog【Science.Not,Magic】

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遠く、でもいずれ来るだろうこの世界の未来を先に走る、とある別の世界。人間達が覇権を握るその世界は、人間以外の全ての存在が滅びようとしていた。事態を重くみた人間は、『絶滅危惧種』達…
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Bounty Dog【Science.Not,Magic】85-

85

 ヒュウラも勘付いた。腹の虫が鳴っているようなルルルル、ルルルルという低い音が、天井の上から聞こえてくる。
 『パグェハダ』という謎の言葉を連呼するラジオから意識を外して、ヒュウラは紅志とセグルメントを先に行かせた。立ち止まって上を見る亜人の心の中で銀貨が弾ける。クルクル回って見えない床の上に落ちた見えないコインは、狼の面を表に向けて倒れた。
 動き出す。セグルメントが勘付いてヒュウラを呼

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】83-84

83

 ーー本当に、私が彼を危険な状態にしてしまったなんて。ーー

 虎は”キ”が文書で指示してきた通り、人間達の目を避けて港から会社まで移動してきた。テムラ社を見上げて、縞模様付きの尻尾を左右に振る。ガルルル、ガルルル唸ってから、壁に近付いて大きくジャンプした。
 猫の亜人と同じ能力を持つ虎の亜人は足首の関節を捻って、足裏をビルの壁に付けた状態で垂直に登り始めた。スイスイ壁を登ってから、開いて

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】80

80

 中央大陸東部にある半島の国で行われている『記念』パレードは、午前の部が大詰めを迎えていた。世界中から著名人をゲストとして招き入れており、セレモニーの準備も着々と進んでいた。
 式典は”彼”が望んだ場所では無く、現テムラ社が背後に聳え立つ広場で間も無く行われる。既に装飾と壇を設けられており、壇を囲むように半島の陸軍と空軍の軍人達が並び立っている。
 異様だと、ずっと思っていたが”彼”は性格

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】77-79

77

 『世界生物保護連合』3班・亜人課現場部隊支部がある某国は、丘の幸と海の幸が同時に楽しめる事を国を挙げて大々的に宣伝しており、毎年7月の数日間、クラムチャウダーを看板に様々な『丘と海のマリアージュ』を舌で感じられる、食の祭りが開催されている。
 其処で振る舞われる料理のひとつに、蟹の甲羅グラタンがある。大型のワタリガニの身と肝を牛乳・チーズと共にふんだんに使った贅沢な逸品は「クリスマスでも

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】76

 記憶の砂嵐の隙間で、星が瞬いている。星の粒が瞬く度に若い男の声が、あの言葉を呟く。
 ーーお前は次の産まれた日の夕方に、仲間から力を借りてお前が1番愛している人間と出会える。1番欲しいものが貰える。その前にお前は、3番目に愛しているモノを目の前で失う。ーー

76

 猫の亜人がニャーと鳴いた。鳴き声が聞こえない別の種の亜人が、1人の人間の心の中で響き続けるモノと同じ声で独り言を呟く。
「ろすと

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】75

75

 ーー魔法は呪文が必要だ。呪文まで編み出さなくても構わない。ーー

 カイ・ディスペルも、科学反応に関する実験結果を記した論文を魔法の呪文とは思っていない。実験結果は科学者が努力の果てに見出すモノであり、幾百幾千と同じ事を繰り返して得たデータは、見えない宝石のようなモノだとも想っている。
(さっぱり分からない!何で言う事を聞いてくれないんだ?原子、原子!!)
 頭の中で声が聞こえた。時々う

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】72-74

72

 彼は経済学と電子工学を併願して受講した半島の大学を卒業してから、スーツ以外の服を着ていない。最近久々にスーツ以外の服も着てみたが、連れの生き物と服装を合わせてやっただけで、着心地は正直、余り好きでは無かった。
 己にとって当たり前の身嗜みだと信じているスーツは、今の立場になってもグレーしか色を持っていない。スーツに関しては黒や紺やキャメルを増やしても良いと思う事も度々あるが、結局は白みの

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】71

71

 ヒュウラは現在、カイの分厚い本と、折れた首輪のアンテナを持っている。紅志は武器の変形式巨大手裏剣と通信機、レシーバーと数個の小道具以外は、ウルフアイのレプリカ指輪入りリングケースと財布を所持しており、セグルメントは通信機、愛用品の紙煙草入りのシガレットケースとオイルライター、財布とノートパソコンを所持している。
 カイは白いメッセンジャーバッグの中に化学実験器具を詰め込んでおり、中身が乏

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】70

70

 大勢の”足”が動いたり、利用される為に待機している中、其の”足”も待機しながら、宙を泳ぐようにジタバタ動いていた。被っていた羊毛布団を突き破って、鋭く尖った硬い足の爪が露わになる。爪が生えている足の指は人間と同じ5本だが、黒い縞模様付きの金色の細かな毛が、指先から足全体、腕全体、首から上以外の体全体に至るまで隙間無く生えていた。
 人間の服を着ているので手足と首の肌だけ露出している此の虎

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】68-69

68

 エスナは足がずっと気になっていた。右の足首に特殊な機械の輪が付いている。アンテナも付いていた。脅威であるあの狼が付けている首輪と、形がお揃いである。
 機械の輪の表面を指で叩いてミミズ文字を書いて指で弾くが、機械の輪を構成している『原子』は”お願い”をしても、全く反応してくれなかった。理由はサッパリ分からない。目を5色に変えて『原子』の特定は出来ているのに、何回”お願い”しても発信機の原

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】66-67

66

 彼は其の容姿に似合わない名前だった。しかも苗字が創作御伽噺で登場する人物のように現実味が無い。偽名だと思ったが、ミトは特に気にしなかった。
 スティーヴ・マグナハートと名乗った小麦肌、黒髪ショートボブ、そして宝石のように綺麗な緑色の目をした青年は、ミトよりも数センチ高い程度の身長しか無い。成長前のヒュウラと同じ背丈である。小柄な青年に先導されて歩くミトは、相手の名前よりも両手に黒い革手袋

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】63-64

63

 ーー東南地帯ではハリマウォ、中央大陸では虎人(フーレン)と呼ばれているらしい此の虎の亜人は、ガレージセールをしていた心臓病持ちのお婆さんが言っていたような、凶暴性は微塵も感じなかった。母親に襲われ掛けて咄嗟に母親を撃ち殺して拾った此の子は、私が母親を殺した”餌”であるにも関わらず、私に初めから懐いていた。
 産まれた時から良く食べ飲みし、良く動いて良く笑う、愛くるしい子だった。私が幼い子

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】61-62

 他と遥かに違うと何もしていなくても、此の世では其れだけで生き物達から大罪扱いにされやすい。

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 カイ・ディスペルは着衣・重量荷物持ち・子供で軽いが荷物としては重い亜人1体持ちのスーパーハイパーウルトラスペシャル・アルティメット・ハンディキャップ抱え状態でトライアスロンの第1競技を完走仕掛けていた。平泳ぎからクロールに泳ぎ方を変えてからの彼は、惑う事なき超人だった。スピードがジェットゴムボ

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