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ジェームズ・アレン著(2016)『新訳 原因と結果の法則』角川文庫

まずは自分が変わることの大切さ

以前読んだ稲盛和夫氏の本の中で、その考え方の礎にもなっているようなのでkindle版で購入してみた。個人的には以前読んだことがあったけれど、改めて読んでみると以前とはその言葉の実感が違うようにも感じ、これだからこそ読書というのは面白いのだと実感した。

本書のメッセージは、訳者まえがきでも述べられている通り「自分を変えたかったら、自分の考えを変えなさい」、「世界を変えたかったら、自分が変わりなさい」ということで、本書に限らず多くの自己啓発本には同様の主旨の気付きを与えるストーリーやメッセージは豊富である。それらの主張の総本山的な感じのものが本書の立ち位置ではないかと思われる。

わたしは、この教えから、物事は自分が変えようと思って変えられる変数に相当する部分と、自分ではどうしても変える、もしくは影響を与えることができない係数のようなものがあるため、まずは自分で可変可能な変数について最大限努力をしようとする考えが、ここ20年程度の自分の考えを支えているような気がする。きっとこの本か、この本を原典とする何らかの自己啓発本などから得た考え方だと思うが、そうなると20年前くらいに本書を読んでいたのかも知れない…

本書で著者が伝えようとする内容は非常にシンプルで、本書で一貫した軸となるのは「人は自分が思っているとおりのものになる」ということであり「自分が思考するものになる」ということ。つまりは自分の思いというのは、自分の思考に依拠し、そこで自分なりに意思決定したことの総和が今の自分を作っていることに相違無いということである。このシンプルな考え方を理解せずに、他人を変えようとか、世論を変えようなどとなると途端に困難になるし、強引に進めると軋轢も生む訳で、現実的には多くの制約にはばまれて場合によっては身動きすら取りにくくなってしまう…

物事をスモールスタートしていくためにも、まずは自分を変えていくことが必要ということだろう。もちろん自分すら変革できないものが、他者の考え方すら変革できるわけがないということでもあろう。

本書では「心の中にいつもつきまとっている思いは、それが良いものであろうと、悪いものであろうと、あなたの性格や環境となって必ず現れてきます」と説いている。

本書が求める賢くて気高い性格の持ち主にはまだまだ修行がたりないとは私自身思うけれど、気高くなれるように少しでも進んでいければと思う次第。自分の人生を自分でコントロールするためにも、気高さを得る努力は怠らないことを感じ入った。そして、本書を再度読むきっかけをつくってくれた稲盛和夫さんも、またこの本を何度も手に取りぶれない自分を正したのだと想像する次第である。

本書は、仕事の昼休みなどで簡単に読み切れる分量なので、自分の生き方に不安が生じたときなどに読んでみると良いのかも知れない。

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