見出し画像

弓場隆訳(2015)『アインシュタインの言葉 エッセンシャル版』株式会社ディスカヴァー・テゥエンティワン

短い言葉の中に詰まったエッセンスを感じ取る本

社会人になると、仕事の関係で多くの文章や資料を作成し、しかもシンプルにそれを読んだ人たちに理解させないといけない。

この手の偉人たちの言葉は、シンプルな言葉であるけれど、その中身が凝縮した言葉であり、読み手によって、その凝縮された言葉の還元度合いが違うと思う。

今回は、kindle Unlimitedになったばっかりなので、色々な本をダウンロードして、昼休憩に読んでいる。基本的には、自分の言葉の引き出しを充実させて、漠然とした概念やふわふわした思考の中身を上手く、かつ、シンプルに言語化できるために、この手の本に触手を伸ばしたというのが本音である。

例えば「知的な馬鹿は、物事を複雑にする傾向がある。それとは反対の方向に進むためには、少しの才能と多くの勇気が必要です」という言葉も、確かに自分自身、物事を複雜なものとして捉える傾向があり、そのロジックをあれこれ考える癖があるが、物事をシンプルに、理解しやすくまとめるには、相応の才能が必要なことを大人になってから理解することができ、確かに勇気も必要だったこともある。

また「自分が経験することほど何かを上手に学ぶ方法はありません」というのも、十分うなずける言葉です。「一見して馬鹿げていないアイデアは見込みがない」という点も、個人的には仮説が突飛であるほど、その研究に賭ける面白さや経験を得るということでもあるかも知れない。

特に興味をひいた言葉は、「わたしたちにとって、事実を学ぶことはそれほど重要ではありません。その目的を果たすだけなら本から学ぶことができますから、大学などいりません。大学における一般教養の価値は、多くの事実を学ぶことではなく、教科書から学べないものについて考えるよう頭を鍛えることにあります」という言葉。

正しく、単に教科書をマスターしたり暗記したりすることが目的ではなく、そこから学べないものについて自分の頭で考え、判断し、意思決定していくための頭の中のツールのようなもの…

まだまだ感銘を受けた言葉はあるが、自分なりに考えながら読み進めるだけの「余白」が本書には存在している。そこに自分の人生を考える余韻というものがあるのだろう…

簡単に読めてしまうが、その中身が大変深い言葉に出会った感覚が残る読後感であった。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?