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山本淳子(1960.8.27- )『枕草子のたくらみ 「春はあけぼの」に秘められた思い(朝日選書)』朝日新聞出版 2017.4 312ページ


山本淳子(1960.8.27- )
『枕草子のたくらみ
「春はあけぼの」に秘められた思い
(朝日選書)』
朝日新聞出版 2017年4月刊
312ページ
2017年6月2日読了

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「藤原道長が恐れ、紫式部を苛立たせた書。
それが随筆の傑作「枕草子」だ。
権勢を極めてなお道長はなぜこの書を潰さなかったのか。
冒頭「春はあけぼの」に秘められた清少納言の思いとは? 
あらゆる謎を解き明かす、全く新しい「枕草子」論。」

「平安に暮らす女房の視線で、その日常を明るく軽やかに描いた随筆として有名な『枕草子』。だが、作者・清少納言の執筆の真意は“お仕えする中宮定子の御ため”その一点にこそあった。生前は定子の心を慰めるために、死後にはその鎮魂のために思いを込めて―。定子の死後、その敵方であった藤原道長の権勢極まる世で、『枕草子』は潰されることなく、平安社会に流布した。果たしてこの事実は何を意味するのか。『枕草子』が平安社会を生き延びるために、清少納言が駆使した戦略とは?冒頭「春はあけぼの」に込められた、真実の思いとは?『枕草子』のまったく新しい扉が、ここに開かれる。」


http://bookpooh.com/archives/1426


http://bookpooh.com/archives/1426
■序章 清少納言の企て
酷評 定子の栄華 凋落 再びの入内と死 成立の事情
■第一章 春は、あけぼの
非凡への脱却 和漢の后 定子のために
■第二章 新風・定子との出会い
初出仕の頃 機知のレッスン 型破りな中宮 
後宮に新風を 清少納言の素顔 父祖のサバイバル感覚 宮仕えまで
■第三章 笛は
横笛への偏愛 楽の意味 堅苦しさの打破
■第四章 貴公子伊周[これちか]
雪の日の応酬 鶏の声に朗詠 『枕草子』の伊周 伊周の現実
■第五章 季節に寄せる思い
『枕草子』が愛した月 節句の愉しみ 分かち合う雪景色 
■第六章 変転
中関白道隆の病 疫禍 気を吐く女房たち
■第七章 女房という生き方
幸運のありか 女房の生き方 夢は新型「北の方」 「女房たちの隠れ家」構想
■第八章 政変の中で
乱闘事件 魔手と疑惑 定子、出家 枕草子の描く長徳の政変 引きこもりの日々 
晩春の文 原『枕草子』の誕生 再び贈られた紙 原『枕草子』の内容 伝書鳩・源経房
■第九章 人生の真実
「もの」章段のテクニック 緩急と「ひねり」系・「はずし」系 
「なるほど」系と「しみじみ」系
■第一〇章 復活 
職の御曹司へ いきまく清少納言
■第一一章 男たち 
モテ女子だった清少納言 橘則光 若布事件 
則光との別れ 藤原行成 鶏の空音 
■第一二章 秘事
一条天皇、定子を召す 雪山の賭け 
年明けと参内 壊された白山… 君臣の思い
■第一三章 漢学のときめき
香炉峰の雪 助け舟のおかげで 
■第一四章 試練
生昌邸へ 道化と笑い 枕草子の戦術 清少納言の戦い
■第一五章 下衆とえせ者
下衆たちの影 臆病な自尊心 「えせ者」が輝くとき
■第一六章 幸福の時
「横川皮仙」 高砂 二后冊立 夫婦の最終場面 
■第一七章 心の傷口
「あはれなるもの」のあはれでない事 紫式部は恨んだか 親の死のあはれ
■第一八章 最後の姿
「三条の宮」の皇后 お褒めの和歌 二人の到達 
■第一九章 鎮魂の枕草子
「哀れなり」の思い 鎮魂の「日」と「月」
■終章 よみがえる定子
共有された死 藤原道長の恐怖 藤原行成の同情 公達らの無常感 
一条天皇の悲歎 清少納言、再び
【巻末付録】
主要参考文献 大内裏図 後宮図 寝殿造図
主要人物関係系図 『枕草子』関係年表」


『源氏物語の時代
一条天皇と后たちのものがたり
(朝日選書 820)』
朝日新聞社 2007

『私が源氏物語を書いたわけ
紫式部ひとり語り』
角川学芸出版 2011

『平安人の心で「源氏物語」を読む』
朝日新聞出版 2014

の著者、山本淳子による
清少納言『枕草子』創作意図の読み解き。

「悲劇の皇后から理想の皇后へと、
定子の記憶を塗り替える。
定子は不幸などではなく、
迫害などされておらず、
いつも雅びを忘れず幸福に笑っていたと。
これが清少納言のたくらみだった。
目的は定子の鎮魂である。」
p.290

「この書は真実ではない。
この虚像には騙されない、
そう呟く紫式部。
「清少納言こそ、したり顔にいみじう侍りける人
(清少納言こそは、得意顔でとんでもなかったとかいう人)」
(紫式部日記)」
p.291「終章 よみがえる定子」

「清少納言の周辺に起こった何か過酷な事情を、
同じ時代を生きた紫式部は知っていた。
そして彼女の常識で判断する限り、その過酷さは、
風流だの趣だのの入り込む隙などない
絶望的なものであった。

だが、そこにおいて清少納言は、
紫式部が指摘したとおりに、
美や光や笑い、感動やときめきばかりを書いた。
これは清少納言がはっきりと意識的に採った企て、
いや紫式部の側からすればたくらみだった。」
p.7 序章 清少納言の企て

「『枕草子』と『源氏物語』では、
『枕草子』のほうが時代的に先行する
作品だと見られがちだが、詳細にはどうだろう。
 … 
確実なのは、二つの作品には、
両方が並んで書かれた時期があったということだ。
どちらも、断続的に書いては公表する
かたちをとっていた可能性がすこぶる高い。
とすれば、『枕草子』を受けて
『源氏物語』が書かれただけではなく、
『源氏物語』の言葉に触発されて
『枕草子』が応えたという可能性も否定できない。
 … 
二人は互いの作品を読み合い、
美意識のやりとりをしていたという推測である。」
p.84「第5章 季節に寄せる思い」

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https://note.com/fe1955/n/nc07bb6cbfb99
山本淳子 (1960.8.27- )
『源氏物語の時代
一条天皇と后たちのものがたり
(朝日選書 820)』
朝日新聞社 2007年4月刊
305ページ

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山本淳子(1960.8.27- )
林真理子(1954.4.1- )
『誰も教えてくれなかった『源氏物語』本当の面白さ
(小学館101新書)』
小学館 2008.10
192ページ

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山本淳子(1960.8.27- )
『私が源氏物語を書いたわけ
紫式部ひとり語り』
角川学芸出版 2011.10
253ページ


https://note.com/fe1955/n/nc3a1160a0123
山本淳子 (1960.8.27- )
『平安人の心で「源氏物語」を読む』
朝日新聞出版  2014.6
328ページ

https://note.com/fe1955/n/n8ef90401b665
大塚ひかり(1961.2.7- )
「嫉妬と階級の『源氏物語』
新連載
『源氏物語』は「大河ドラマ」である」
『新潮』2023年1月号


https://note.com/fe1955/n/nd8f3acdc8bc1
大塚ひかり(1961.2.7- )
「嫉妬と階級の『源氏物語』
 第二回 はじめに嫉妬による死があった」
『新潮』2023年2月号


https://note.com/fe1955/n/n333db0b1fcbd
大塚ひかり(1961.2.7- )
「嫉妬と階級の『源氏物語』
 第三回 紫式部の隠された欲望」
『新潮』2023年3月号


https://note.com/fe1955/n/n124d45f52d2b
大塚ひかり(1961.2.7- )
「嫉妬と階級の『源氏物語』
第四回 敗者復活物語としての『源氏物語』」
『新潮』2023年4月号

https://note.com/fe1955/n/n942cb810e109
大塚ひかり(1961.2.7- )
「嫉妬と階級の『源氏物語』
第五回 意図的に描かれる逆転劇」
『新潮』2023年5月号


https://note.com/fe1955/n/ncc2837435432
大塚ひかり(1961 .2.7-)
「嫉妬と階級の『源氏物語』
第六回 身分に応じた愛され方があるという発想」
『新潮』2023年6月号

https://note.com/fe1955/n/nf22b8c134b29
三田村雅子(1948.11.6- )
『源氏物語 天皇になれなかった皇子のものがたり
(とんぼの本)』
新潮社 2008.9
『記憶の中の源氏物語』
新潮社 2008.10


https://note.com/fe1955/n/n2b8658079955
林望(1949.4.20- )
『源氏物語の楽しみかた(祥伝社新書)』
祥伝社 2020.12
『謹訳 源氏物語 私抄 味わいつくす十三の視点』
祥伝社 2014.4
『謹訳 源氏物語 四』
祥伝社 2010.11
『謹訳 源氏物語 五』
祥伝社 2011.2
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
「舟のかよひ路」
『梨のつぶて 文芸評論集』
晶文社 1966.10

https://note.com/fe1955/n/na3ae02ec7a01
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
「昭和が発見したもの」
『一千年目の源氏物語(シリーズ古典再生)』
伊井春樹編  思文閣出版 2008.6
「むらさきの色こき時」
『樹液そして果実』
集英社  2011.7

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