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子どもの視点は大人と全然違う!子ども目線で学習アプリを作るには?

ある朝日が登って間もない早朝、3歳の長男と手をつないで散歩に出かけた。しばらくすると空っぽの畑を素通りしようとする私の手を引っ張り、息子が止まった。そして畑を真剣な眼差しで見つめ始めた。いつもなら「行くよ」と言い、そのまま歩き続けるのだが、その日は息子が見ているものが気になり一緒に足を止めてみた。息子の目線までしゃがみ、彼が見つめている畑を見て驚いた。
私の目線では平な土色にしか見えなかった畑が、息子の目線だと様々なグラデーションの色を奏でる凹凸になっており、霜が太陽に反射し、キラキラと光っていた。
私もしばらくその景色を見つめ、息子が見飽きるまでそこにとどまった。

子どもの視点は大人には想像できない

あの時、しゃがんで同じ視点になってなければ、息子が見ていた世界を理解することはできなかった。立った状態からの視点では、「土の中に虫でも見つけたか」という程度の推測で終わっていたと思う。「理解したい」という行動があり、同じ視点で見る努力をするからこそ、初めて理解できる事が多くあると思う。

学習が大人視点に頼りすぎていないか?

息子が小学生にあがり、宿題として出された算数のプリントにとても苦戦していた事がある。しばらく観察していると原因が分かってきた。問題に苦戦しているのではなく、まだ不器用にしか字が書けないのに解答場所の空白が小さすぎるのだ。先生の意図は分かる。1枚のプリントで20問を解いて欲しいという事なのだろう。だが、これこそ「大人目線」すぎないか、、、?!

アプリ開発に子供の視点を活用する

子ども向け学習アプリを作る上でもっとも難しいのが、「アプリを見つけてお金を払うのは親・使うのは子ども」という2つのユーザーがいるという事。自分たちが目指したかったのは、「自発的に子どもが学習したくなるアプリ」だったのでユーザーターゲットを子どもに強くフォーカスした。
そのためにも「子どもの視点」をどう理解するかが一番の課題になり、そして達成するために作ったルールがこちら:

1)プロトタイプが出来たタイミングから、毎週金曜日に持ち帰る。
2)私が息子(または近所のマンションの子ども)に何も説明しないで渡す
3)プレイを観察する
4)5分以上プレイしたら合格、5分未満だと不合格(作り直し)
5)月曜日にチームに共有
6)改善し、また金曜日にテスト

このプロセスを経て、出来上がったのが算数忍者シリーズ。実は初期の段階では、それほどゲームの要素がなかった。改善を繰り返す中、ゲーミフィケーションを取り入れ、演出や世界観を作り込むことで学習と継続につなげることが出来たのである。

アプリ開発の大人目線失敗談

算数忍者3D図形を作成している時のことだ。空間認識を教えるアプリなので、ジャイロ機能を使って、スマホの角度により奥行きの背景が移動する設計を設けた。それなりに開発が大変だったが、奥行きに深さと空間をさらに表現できる事になり初期にプレイさせた大人には大絶賛だった。
そこで子どもに実際にプレイさせると、なんて無駄な機能だったのかが見えてきた。
小さい子どもは、スマホを手に持つよりテーブルに置いて操作するため、ジャイロ機能がまったく使われていなかった。そして、手に持ったとしても、背景が連動して動く事になんの感動もしていなかったのだ。これは今の子どもがデジタル・ネイティブなため、3D表現を大人ほど評価しないという理由だった。もっと早いタイミングで子ども視点でテストしていれば、1か月ほど開発期間を短縮できたかもしれなかった。

ファンタムスティックでは「学ぶ」プロセスを省き、ゲーム感覚で繰り返し問題を解いていく事で「継続できる学び」につながるアプリを開発しています。
https://www.fantamstick.com/


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