南雨 忘

森の中、 ひとりで家を造っています。 妄想と欲望、 落胆と挫折、 何処まで行ける?。 …

南雨 忘

森の中、 ひとりで家を造っています。 妄想と欲望、 落胆と挫折、 何処まで行ける?。 行けるところまで行く。 建築潜水艦物語。

最近の記事

月と森のサブマリン 26      基礎作り・その①

ひとり森で潜水艦 前回、 建築確認証が届いた時の、 心の奥底に眠るバケモノが目覚めた。 そう、 心の奥深く深層のイドの怪物。 だが奴は…。 再び心の深底でグーグー。 …。 となれば、 建築許可が出た今、 次は、 トンカチだ。 いくぞ。 ひとり森で潜水艦。 ブクブク。 …。 まず基礎。 大地に根を張る基礎。 大地に?。 そう。 脆弱な基礎では、 ピサの塔が傾いたように、 ドバイのブルジュ・ハリファだろうが斜塔になる。 となると、 …。 どんなに立派な建物でも、 地震や風圧、シ

    • 月と森のサブマリン25       キタ--、確認済証の巻

      (ひとり森で潜水艦) 強度計算を添付した申請を提出して、 一週間。 …。 家のポストにA4サイズの封筒。 …。 ゲ!。 …。 裏の差出人を見て… 時が止まり、 天からイナヅマ。 ビカ-ドッカ-ン。 全身を突っ走る電子の群れ。 高まる脳圧、 目から放たれるプラズマ。 ズド-ン。 …。 爪先から這い上がる震え。 心の臓が早鐘を打つ。 ドドドド度怒土どど…。 手が震え、 冷や汗が額をツツーっ落ちた瞬間、 心臓停止。 止(と)…。 …。 意識が脳から離脱。 フワフワと体を離れ…天に

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      • 月と森のサブマリン24       強度計算と巨神兵の兵器開発

        (森でひとり潜水艦) …。 夜。 満月が微笑み、 森の木々が風に揺れ、 フクロウが鳴く。 ホ~、ホ~。 そんな森の片隅の家の中、 男は、 ブクブクと潜って行く。 頭が爆発しそ-だ-。 薄暗い部屋の隅。 みかん箱の前。 じっと書物とネットに目を落とす。 …。 そう、 建築確認申請が認められず。 地獄の釜のフタが開き、 脳天から落ちた、 あの、 強度計算をしろ~地獄。 懸命に書物を紐解き、 宇宙の真理を考えた。 あれから、 数十年。 ついに、 男はお漏らししながら、 懸命に強度

        • 月と森のサブマリン         23前線基地…の巻

          (森でひとり潜水艦) 森には、 コンビニも(無)ネ-。 家も(無)ネ-。 テレビも無(ネ)-。 電気も無(ネ)-。 水道もネ-。 屋根もネ-。 寝る所もネ-。 何にもね-。 …。 というわけで、 雨ざらしの道具の保管や、 作業をする前線基地造りを考えた。 何が良いか? 安く、 造るのに時間がかからず、 堅牢の基地。 …。 そして、白羽の矢を立てたのは、 JRの払い下げコンテナ。 即効で前線基地を設置しなければ、 戦いに負ける…。 何の?。 …。 JR貨物に連絡を取ると数カ月

        月と森のサブマリン 26      基礎作り・その①

          月と森のサブマリン 22      巨神兵、心臓マヒ…の巻

          (ひとり森で潜水艦) 建物の基礎穴作業は順調に進んでいた。 驚く程の怪力で、 巨神兵は穴を堀り、 岩を運んだ。 現場は緩い傾斜地の為、 低い側に岩を並べ石垣を造り、 その内側に土や石を運ぶ。 朝から晩まで土建作業は続く。 エンヤコラ。 そんな週末の日々が何回か過ぎていった…。 …。 とある日。 巨神兵のコックピットに座り、 働け~、 とレバーを操っていると、 巨神兵が咳をする。 コンコン。 お?。 どうした?。 その咳が続き、 やがて、 ストンと巨神兵が停止した。 …。 あ

          月と森のサブマリン 22      巨神兵、心臓マヒ…の巻

          月と森のサブマリン 21      巨神兵で地球を掘るの巻

          (ひとり森で潜水艦) …。 20トンバックホー巨神兵購入により、 土建屋でも始めるつもりか?。 と言われつつ、 地球を掘る。 ゴリゴリ。 …。 巨神兵を購入して、 まず、 このバケモノを飲み込む戦に入った。 ドドン。 なんだ?、 巨神兵を飲み込む?。 そんな事できる訳ないだろう。 当然だ。 それは物理的な意味ではない。 精神的な意味だ。 5トンユンボを購入した時も、 その鉄の固まりを目の前にして、 こいつを操る事ができるのか?。 どのような構造なのか?。 はたして、 俺に操

          月と森のサブマリン 21      巨神兵で地球を掘るの巻

          月と森のサブマリン ⑳       巨神兵を買うの巻

          (ひとり森で潜水艦) 建築確認の強度計算研究が始まった。 大学の建築科あたりで使われていると思われる、 分厚い本を開いた。 …。 初っぱなから、 …。 汗。 汗…。 謎の記号が並ぶ。 汗。 む。 なんだ?。 書いてある文もわけわかめ。 …。 建築の暗号解析は、 勤めから帰ってくると、 家の片隅で始まった。 暗夜行路だ。 …。 そこには建築構造の壁。 突然素人が記号と数値と説明不足の解説に乱入。 やばい。 5分も読めば、 手が震え、 心臓が…。 …。 だが、 現場でも問題が起

          月と森のサブマリン ⑳       巨神兵を買うの巻

          月と森のサブマリン ⑲       正面突破の巻

          (森でひとり潜水艦) イドの怪物との戦いの末、 正面突破に決まったが、 そこに至るまでの戦いは、 壮絶を極めた。 そこで、 その時の様子を、 適当に描写してみよう。 …。 イドの怪物が深層の奥底から、 お前、逃げきれんぞ-----。 と地に這うような重低音で、 俺に唸り続けた。 そして、 肥大化した奴を押さえきれなくなり、 あの時、 森で奴と対峙とあいなった。 お前--逃げきれんぞ---。 うるさいな~、なんだよ。 なんだその軽いのりは?。 だから、正直うるさいって言ってる

          月と森のサブマリン ⑲       正面突破の巻

          月と森のサブマリン ⑱        強度計算からの逃避の巻

          (森でひとり潜水艦) …。 あの日。 アカマツの森。 突如上空を飛ぶ戦闘ヘリ、コブラ。 なんだ?。 それは、強度計算をやれ軍団。 略してKKSR。 ヘリは森上空でホバリング。 そこから、 ロープを投げ下ろし降りる重武装の男達。 な?。 愕然と手にノコギリとトンカチを持つ俺。 森に降り立った筋骨隆々の隊長ケバラ。 奴はチラリと俺をゴーグル越しに視認すると号令。 やれ-。 途端に、 次に降り立った部下シーサーのM16が火を吹く。 バリバリバリドドドドキューン。 途端にトンカチと

          月と森のサブマリン ⑱        強度計算からの逃避の巻

          月と森のサブマリン ⑰     エ!…建築申請が…通らない…の巻

          (森でひとり潜水艦) 建築確認申請を提出した二日後、 事務所より電話。 ・もしもし森のガウディーさんの電話ですか?。 はい、森のガウディーです。 ・申請書の事ですが。 何かありましたか?。 ・この申請書は受け付けられません。 …エ-----------!。 心臓停止。 呼吸不全。 身体硬直。 やがて、 顔面の筋肉弛緩。 眼の視点が宙を彷徨い、 半開きの口からヨダレが糸を引き引き落ちてゆく。 ・もしも~し。 遠くから呼びかける声。 ん?。 ・森のガタガタさ~ん。 ガタガタ?。

          月と森のサブマリン ⑰     エ!…建築申請が…通らない…の巻

          月と森のサブマリン ⑯       建築確認書類を作るの巻。

          (森でひとり潜水艦) いろいろ楽しみながら、 森の中に建つ妄想の家を幾つかデザインした。 実現したら面白い。 だがその中のいくつかは建築免許が必要。 となると、 免許なしでも可能なものを進める事にした。 そう、 木造軸組工法による100㎡までの設計。 そこで、いままでのスケッチを元に、 建築確認の申請書類作成を開始。 建築場所の地図や、 敷地の建築位置図などの作成を進め、 やがて、 妄想のデザインでは、 外形ばかり考えていたので、 エンピツなめなめ、 内部の配置を考え平面図

          月と森のサブマリン ⑯       建築確認書類を作るの巻。

          月と森のサブマリン ⑮       設計アイデア編その③

          (森でひとり潜水艦) 様々なスケッチを描くうちに、 いろいろな欲が肥大する。 だが、 私には建築士の資格が無い。 資格が無くても条件付きで可能らしい。 しかし、 描けば描く程、 造ってはいけないものが見えてくる。 夢は枯れ野を駆けめぐる。 そう、 多少変わった家を造ってみたい。 なら、有資格者に頼めば良いではないかと思われる、 が、 資金は細い。 細いにも関わらず野望に燃える。 メラメラ。 さらに、 建築士に頼もうかと、 一瞬思った時もあったが、 初っぱなから頼めそうな気が

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          月と森のサブマリン ⑮       設計アイデア編その③

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          月と森のサブマリン ⑭           設計アイデア編2

          (森でひとり潜水艦) 暇があると、 頭に浮かんだ妄想の家のイメージを、 スケッチブックの二次元に落としてゆく。 あ~でもない、 こ~でもないと。 すると、 気付く事がある。 知っているようで知らない家の構造。 それは様々な所に及ぶ。 窓の配置。 壁への取り付け具合。 基礎の構造、 土台の形状。 柱や梁の位置。 家根はどう造られているのか、 描いて見て初めて理解出来ていない自分が見える。 分からんな~。 すると、 今住む家の造りをシゲジケと見る。 家根の構造が分からないと、

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          月と森のサブマリン ⑭           設計アイデア編2

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          月と森のサブマリン ⑬                          設計アイデア編1                            

          (森でひとり潜水艦) …。 さて、 家を造ると決め、 ひとり熱くなって突っ走り始めた。 …。 木を切る。 中古ユンボ購入。 鋼材入手。 製材機作り。 赤松の板作り。 …。 どれも精神的にも、 肉体的にも、 相当ハードだ。 正直キツイ。 家にいても、 職場にいても、 家造りが頭の中を飛んでいる。 ブ~ン。 赤松林の現場に行けない時は、 ノートに妄想の家を描く。 こんな家はどうだろう?。 …。 八角形の二階屋にとんがり家根の屋根裏部屋。 壁には森と一体になれるように沢山の窓。

          月と森のサブマリン ⑬                          設計アイデア編1                            

          月と森のサブマリン ⑫       モンスターマシン完成         

          (森でひとり潜水艦) …。 製材機製作に着手して数カ月。 何時しか秋を通り過ぎて冬。 寒い雪の中でも、 週末車に乗って林に突っ走る。 イケ-赤松林。 上下5重に着込んでダルマ。 頭に飛行帽、 首にレッグウォマー。 白い息を吐きながら林に着くと、 車の中で茶を飲み、 手順を考え、 ドアを開ける。 ギー、バタン。 …。 5トンユンボのエンジンをかけ暖気すると、 蓄木場に移動。 そして、 三点ワイヤーで丸太を吊るし、 製材機まで運ぶと、 ジャッキの上に設置。 次にジャッキアップし

          月と森のサブマリン ⑫       モンスターマシン完成         

          月と森のサブマリン ⑪        板作り          

          (森でひとり潜水艦) …。 自作製材機のテスト運転で、 好調な滑り出しを見せたが、 しばらくすると、 製材機がグラグラ、 さらに歯が横に逸れ、 抵抗がマックスとなり、 やがて歯の回転が止まった。 …。 どうした?。 動け。 …。 何度やっても同じ状況に…。 …。 涙…。 …。 出だしが良かったから、 落胆は大きい。 ため息…。 これでは山のように積まれた丸太から、 建築資材の板大量生産なんか出来そうもない…。 紅の墜落。 カナカナとヒグラシが鳴くような悲しい時が過ぎてゆく。

          月と森のサブマリン ⑪        板作り