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42歳一独身公務員の旅行記(インド編)🇮🇳⑦「ガンジス川で夢をみたのか?」

 僕はホテルのロビーでshibさんと待ち合わせ、用意された車に乗りサールナートへと向かった。
 「サールナートを見学し、その後ガンジス川に向かいます」
shibさんはそれ以外何にも言わなかった。僕は「はい」とうなずいた。
 サールナートとは、釈迦が悟りを開いた後、鹿が生息する林の中で初めて説法を説いた地であり、仏教4大聖地のひとつでもあるらしい。ホテルから30分も経たぬ内にサールナートに到着した。

ムール・ガンダクティ寺院
釈迦に手を合わせて拝む僧たちの像

 そして寺院の中に入ると一面の壁画が!!

釈尊一代記 「涅槃(ねはん)」

おぉ・・・。なんて神々しいのか・・・。

釈尊一代記「悟り」

 すごいエネルギーだ・・・。壁画に囲まれていると、もうなんにも怖いことはなくて、なんにも不安なこともなくて、寂しいとかもなくて、心がフーッと落ち着いて、もう全部は大丈夫な気持ちになってくる・・気がする・・。
「この絵は、ノウスコウセツ、ていう日本人がかいたもの。お釈迦さまの一生を描いた絵です」
shibさんが絵の説明をしてくれる。
「お釈迦さまの一生かあ・・・」

サールナートのムール・ガンダクティ寺院をでるとshibさんは言った。
「じゃあガンジス川いきましょうか!」

ガンジス川に向かう

 20分くらい車に乗ったろうか・・。
「ガンジス川に着きました。お財布、しっかり気をつけてね」shibさんが言った。車はガンジス川ほとりにある街に到着した!

これでもか!てくらいのインドらしい雰囲気
あ!!ガンジス川!!
ガート(水辺にある階段状の施設)
には牛が寝そべっている
ダシャー・シュワメード・ガート!!

 shibさんがいるに関わらず、物売りの人に声をかけられまくった!物乞いの人、路上に寝そべる牛、人混み、雑踏、臭気 インドの圧力!インドが詰まっているみたいだった。
「ダシャー・シュワメード・ガートは、ガンジス川で1番中心のガートです。ここからボートに乗ります」
ボート乗り場にズンズン歩いて行くshibさん。

ダシャー シュワメード ガートより出発!
ちなみに、私です。
ボートから観たガート!建物はチョコウェハースみたいだった
これもボートから観たガート
城みたいだった

 そして衝撃的な光景に出会った。

ガートでの火葬

 階段から毛布にくるまれた死者が運ばれてきて、
燃やされている・・・。白い煙がたって、煙が立ち上がって、風にかき消されて行く・・。かき消されたら、もう終わりだった。
「火葬されたら、灰はガンジス川に流されます。その人はガンガーに葬られたことで、輪廻から解脱できるのです。」
shibさんは落ち着いた口調で淡々と言った。
異様な光景に思えた。だけどガンジス川では当たり前の光景なのだ。
 僕は頭の中がまっしろになって、しばらく風にかき消されて行く煙をジーッと眺めていた・・・。あの時僕は何を考えていたのだろうか・・。

「ねえ」
呼ばれて横をみると、ボートに乗った小学四年生くらいの男の子が僕を見つめている。

花売りの少年

「花を買ってよ」
「これは・・・?」
「川に流す花だよ。マッチで火をつけて流すんだ。死んだ人に捧げてあげてください」
「何ルピー?」僕はすかさず値段を聞いた。
「10ルピー(20円)」
「じゃあ、ひとつ・・」

死者に捧げる花 マッチ付き 10ルピー
花に火をつけた・・
花が流れていく 

 僕はなんとかマッチで花に火をつけて、それがひっくり返らない様に静かに流した。
花はガンジス川をひたすらに流れていく・・・。火は次第に小さくなりなからも、なんとかまだ灯っている・・。
「あ・・・もう見えんくなるな・・・」
と思ったその時。
あたりがいきなり、サーッと暗くなった。いきなり、暗くなった。
「わっ!わっ!」
僕は狼狽えた。どんどん暗くなって、一気に暗くなって、何も見えなくなっていくのだ!
shibさんも、ボートを漕いでいた人も、消えた!
「shibさん?!」
叫んだけど誰もいなくなっていた!!ボートが転覆した?!
何が起こった⁈殺された⁈撃たれた⁈全身の血が逆流するような恐怖だった。ヤバイ!!

「ウワーッ!!!」

叫んだ。腹の底から叫んだ。


スーッ と 明るくなった

ガンジス川の向こう岸らしきところにいた。
ボロボロの小屋があった。誰もいなかった。ボートはさらに岸にゆっくり近づいていく・・・

少年たち

 少年たちが沐浴している・・・?これは死後の世界なのか?少年たちは実在しているようには見えなかった。僕は死んでしまった?
 僕は夢中でシャッターを切った!!シャッターを切ることはできた。まだ僕は死んでない?

「そろそろ戻りましょうか」

「ひゃああっ!!!」びっくりして振り返ったら、shibさんとボートの男がいた。

shibさんはそこで初めて、ニヤリ、と笑った。
 気がつくと、向こうの岸なんていっていなくて、ボートはガートの近くを移動していた。もうかなり暗くなっていた。

ボートを漕ぐ男の人も、いた。

「戻りましょう。そろそろプージャ(礼拝儀式)の時間です」
「・・・わかりました」
そうして僕たちのボートはダシャー・シュワメード・ガードに戻ることとなった。
「さっきのは何だったんだろうか・・・?」

 ダシャーシュワメードガートにおけるプージャの様子

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