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キタダ授業記録集

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三重の中学校教員です。これまでの授業実践の中で、自分にとって忘れがたいものをまとめていきます。何年後かに再会したとき、卒業生が授業の内容を覚えてくれているときがありますが、うれし…
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#授業記録

キタダ授業記録集 4 「詩歌にみる戦争の非人間性」

キタダ授業記録集 4 「詩歌にみる戦争の非人間性」

前々任校で、卒業を前にした生徒たちとともに考えた国語の授業。 「詩歌にみる戦争の非人間性」感想交流。

1限目。

生徒たちは、たとえばこんな一節やこんな歌に立ち止まってくれました。

(死はぼくたちに来なかった)
(一気に死を通り越して魂になった)
(われわれにもう一度人間のほんとうの死を与えよ)

        (嵯峨信之「ヒロシマ神話」)

ガス室の仕事の合ひ間公園にスワンを見せに行つたで

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キタダ授業記録集 3

キタダ授業記録集 3

7年前、前々任校で行った授業です。

あるクラスで、ふいに時間ができたので
よっしゃここは朗読だ、と思い
新潮文庫の『中学生に読んでほしい30冊』から二冊をリストアップ。
「怖い系と恋愛系どっちがいい?」と生徒たちに聞くと、
このクラスでは「怖い系」が多数。
夏目漱石の『夢十夜』のことを
「とくに第三夜が怖い…。うなされるぐらい怖い」
などと紹介しつつ、
「でも今日はそれではなくて」と読んだのが、

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キタダ授業記録集 2

キタダ授業記録集 2

「かなしみをかかえる人のための短歌」の授業。

子どもたちがいつもの授業とはすこしちがう目をしてた、気がした。

最初にこんな話をした・・・、

「文学ってなに? って娘に聞かれたお母さんが」
(まず、これはすごい母子の会話だよ)

「娘にこう答えた、
『文学というのは、ふだんは人に言えないことを書くものなのよ』」

人はみな悲しみの器。という一首もある。岡野弘彦さんのだ。

人はみな悲しみの器。

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