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それでもわたしは、ミュージアムでポストカードを買う

こんにちは。フェリシモ「ミュージアム部」のアヤカソンです。
ミュージアム部Twitterの中の人を担当しています。
突然ですが、あなたはポストカード、何枚買いますか?

ポストカードに関するご意見

以前、Twitterでミュージアムでポストカードを1回あたり何枚買っているかアンケートをとりました。

このとき初めて、自分の買うポストカードの量が人と違うことに気が付きました。いただいたコメントを見てマグネット派にしようかなとも悩みましたが、やっぱりミュージアムでのポストカードを買うのはやめられません。
なんでこんなに好きになってしまったのか。この愛はどこへ向かうのか……。

フォロワーさんを動揺させてしまった一件を見ていた部員たちからは「そんなに買ってしまうポストカードへの愛をnoteで語ってみたら?」と。そこで今回は、わたしが思うミュージアムとポストカードの楽しみ方を語らせていただきます。

日本とポストカード

ポストカードの記事を書くにあたって、ルーツを調べてみました。日本だと海外と文通をしている知識人の間では話題となっていたポストカード(絵葉書)。1900年(明治33年)から私製絵葉書が日本でも使用されるようになりました。この頃から、美人画や風景画、ユニークなデザインのものが数多く生まれ、日露戦争をきっかけに戦地に赴く将兵と国民を繋ぐ通信手段としてポストカードは空前の大ブーム、社会現象になったそうです。

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1904-1905年日露戦争におけるシャホーの戦いを描いた古い絵葉書

当時では最も安価な通信手段であったポストカードは、送り主の状況や感情を表現した「絵」に言葉も添えて送ることができる存在。現代で言うメディアであり、SNSのような存在だったのかもしれません。

そんなポストカード。本来の役割であったお手紙を出す機会は減っても、現在はミュージアムショップで買える展示作品・資料が印刷されたお土産として、アート・ミュージアム好きさんにも広く親しまれています。

ジャンル別の美術品・美術関連品市場規模

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出所)「⽇本のアート産業に関する市場調査 2016」(⼀社)アート東京・(⼀社)芸術と創造

ミュージアムを通じて、自分と向き合う

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みなさまは、美術館や博物館といったミュージアムをどう楽しみますか? いろんな楽しみ方があると思いますが、わたしはミュージアムで出会う作品・資料を通じて、自分と向き合うことを楽しんでいます。

ミュージアムに訪れ、自分の琴線に触れた作品・資料は、どんな経緯で、どんな美意識や価値観を持って創られたのかを知ることで、自分の感性の形成のルーツを確かめています。昔から自己分析といった「自分のことを考える」行為がとても苦手だったので、今はミュージアムに助けていただいております。ありがとうミュージアム。

ちょっと硬い話をしましたが、もうひとつの楽しみは、たくさんの作品・資料を見た後のミュージアムショップ! 真っ先に向かうはそう、ポストカードコーナーです!

ミュージアムでポストカードを買う

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ポストカードの購入を通じて、ミュージアムで出会った作品・資料を通じて知った自分の感性や抱いた感情をおうちに持って帰ります。「教えてくれてありがとう」という気持ちを込めて。

購入するポストカードが多ければ多いほど、新しい出会い、作品・資料から学んだ知識、感性と向き合う時間が多かったという1つの指標になり、いっぱい買ったポストカードを眺めていると、たくさんの新しい作品・資料と、これらを通じて自分をたくさん知ることができた気がして、幸せホルモン・オキシトシンがあふれる、あふれる(気がしています)。そして気づけば、毎回30~40枚買っています。

握りしめた小銭で思い出を厳選した社会人1年目

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ポストカードはお値段がだいたい200円以下と、ミュージアムショップで最もお手頃です。初めて自分のお金で美術館に行ったのは、お恥ずかしながら社会人1年目。上京して千駄木でユニットバスの小さなワンルームで一人暮らしをスタートしたのですが、国立新美術館や、MOT、森美術館や上野の美術館博物館と、東京に来たおかげですてきなミュージアムにたくさん出会うことができました。
ただ、上京した頃は正直お金に余裕もなく……それでも自分の感性や抱いた感情を、教えてくれた作品・資料たちをおうちに持って帰りたい!と、ポストカードを厳選して1~2枚選び、小銭を握りしめてレジに並び、ミュージアムショップの袋を見つめてニヤニヤしながら帰っていました。ちなみに国立新美術館で開催されていたオルセー美術館展のミュージアムショップで、初めてポストカードを買いました。クロード・モネの「サン=ラザール駅」(1877年 油彩/カンヴァス)です。

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本当はもっともっと感性を刺激してくれたすばらしい作品・資料がいっぱいあって、厳選するのが本当に心苦しくて……。現在はその反動で、琴線に触れたものは全部買います!

withコロナ時代のポストカードを通じた新しい作品との出会い方

なかなか以前のようにふらっとミュージアムにも行きづらい昨今。最近はフリマアプリで出品されているポストカードを購入することにハマっています。

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行ったことがない海外の美術館や、知らなかった作品など、出品者さんがまとめて送ってくださったポストカードには、自分でミュージアムに足を運んだ時とは違う感情や、感動があふれてきます。自分で買ったわけではないので、裏面を見るのも何だか新鮮です。

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出会ったことのない人と絵葉書で文通しているような気分はとても新鮮です。楽しいのでよかったら、ぜひお試しください^^

ミュージアムグッズ収集に立ちはだかる壁

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図録はお得。でもやっぱりポストカードが好き。

ミュージアム好きさんならきっとお気づきのはず。そう。30~40枚買うなら図録を買うほうが安いんです。それでもやっぱりポストカードを選びます。たまにクリアファイルなど、小さかったり、薄かったりと「家にあってもかさばらない&目立たない」ものばかり購入しています。その理由はこちら

①「コレクションが増える喜び」と「収納スペース」の壁

収納

収納スペースには限りがあるのに、ミュージアムは全国津々浦々にあって、各地にたくさんの作品・資料が展示されています。ミュージアムグッズも作品・資料×企画展の数だけあります。コレクションが増える喜びに収納スペースが追いつかない……悔しい。ということで、かさばらないポストカードは限られた収納スペースにもやさしいです。

②「所有欲」と「ミニマリズム」の壁

ミニマリスト

たくさんのミュージアムグッズに囲まれた生活を送りたい。でも憧れはミニマリスト……ないものねだりなのかもしれません。ものを持たない生活には憧れるけれど、ミュージアムでの出会いと向き合った時間は忘れたくないし、残しておきたい。スマホでもなく、手に取りたい。ということでいっぱい持っていても全然かさばらないポストカードはミニマリズムに憧れる人にもやさしいです。

③「自分の好き」と「家族の好き」の壁

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ジョルジュ・スーラ《グランド・ジャット島の日曜日の午後》1884-1886年、 シカゴ美術館

自分の好きなものが、家族と違うとき。好きなものに囲まれたい気持ちをぐっと抑えることも時にはありますよね。同じ空間にいても、楽しみ方は人それぞれ。自分の好きは、そっとお部屋にしまっておいて、時々取り出して眺めるのも悪くないものです。ということで、やっぱりポストカードは自分の楽しみ方にピタっとハマっています。

というわけでちょっと無理やり感もありますが、わたしに立ちはだかるさまざまな壁を乗り越えてくれるポストカードをこれからもたくさん買い続ける所存であります。

ミュージアムを自分らしく楽しもう

作品・資料との新しい出会い、学んだ知識、感性と向き合った記録として。また、わたしのミュージアムの楽しみ方や、ミニマルで、家族との調和を大切にしながら、好きなものに囲まれていたいという暮らしの考え方に、ぴったりはまってくれたのがポストカードでした。ミュージアムの楽しみ方は人それぞれなので、「こんな楽しみ方もあるんだな~」と思っていただければ幸いですし、みなさまのミュージアムの楽しみ方と、その理由もぜひ教えていただけたらうれしいです。

ところで、以前ミュージアムグッズ愛好家の大澤さんInstagramライブにて、参加者の方が、「家族の前では実用的なもの以外は買えないので、家族がいない時しか買えません」という話をされていました。これもミュージアムの楽しみ方の1つです。家族の理解も得ながら楽しんでいただけるような、実用的なミュージアムグッズもたくさん出していきたいなと思います。

ちなみにミュージアム部では、部員のなりちゃんが「ミュージアムで買ったポストカードでポーチをつくっていつでも鑑賞できる!」という実用的なグッズをつくっています。こちらもぜひチェックしてみてください。

好きな絵画を実用的なハンカチとして楽しめる「アートハンカチ」も!

【10/9追記】ポストカードが好きすぎて、商品をつくりました。

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ミュージアムで見たあの感動を、ポストカードでも気軽に再現できないか。
壁に飾れなくても、お気に入りの作品・資料のポストカードを着飾りながら、大事に保管できないか。そんな思いでつくった商品です。10月9日よりウェブでも販売を開始いたしました。開発に至った経緯や楽しみ方は、noteをご確認ください。


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