図書室の隅で01

図書室の片隅で。 2017.8.15

高校3年生、17歳の夏。それがどんな時間だったか、いまとなっては亡羊の中に埋もれてしまった。僕は、熱中していたバスケ部を勇退。密かに決めていた図書室通いを始めた。たちまち図書カードを埋め尽くし、司書の女性に驚かれたりしながら、乱読を続けていた。

その中に、文庫本のドキュメントがあった。タイトルも著者ももう思い出せないが、最初に出てくるモノクロ写真の衝撃。これだけは、いまも忘れることができない。プロレタリア文学の作家、小林多喜二の拷問死。その遺体を収めた1枚。特高警察によるとのキャプション。霞む記憶の中で、時折傷跡のように疼くのである。そして繰り返される、なぜ?
なぜ戦争が起こるのか。なぜ密告が横行し、理不尽で凄惨な拷問に至るのか?煩悶し、問い続け、思い至った答がある。それは、すべては消極的な支持の産物。なにも悪人の所業ではない。善人が声を上げぬことによって、意思を示すべき時に示さないことによって、起こす重篤な罪。人を殺すのは善良とされる国民なのだ。今日は72回目の終戦記念日。

・40年以上経ったいまも、その想いは変わらない。歴史が突きつける事実。