江副直樹

鶴の恩返し。

デスクワークは一人でしたいタイプだ。ごく短期間、オフィスと呼ばれる空間に身を置いたことはある。しかし、リラックスができない。衆人環視という状態もそうだし、好き勝手に行動ができない事態に言い知れぬ圧迫感を覚える。本気の集中ができないのは辛い。

基本、他人様に仕事しているところを見られたくない。仕事モードになったとき、それはいかに没頭し、研ぎ澄まし、一心不乱になれるかに掛かっていると思っている。きっ

もっとみる

意外と意外と。

掛け声と現実は、想像以上にギャップがあるものらしい。例えば、学歴社会は過去のものという言説がある。本当にそうか?男女は同権、男尊女卑は今は昔。どうもそうではないらしい。都市と地方の格差は解消した。ある部分はそうかも知れない。だが、実際は?

舶来崇拝なんて、とんと聞かなくなったが、厳然と存在している。エキゾチズムではない。無邪気な異国への憧れとは違う。そこには醜悪な劣等感が潜む。地方分権推進が叫ば

もっとみる

歯医者で笑う。

歯医者は大嫌いだ。できることなら行きたくないが、虫歯の痛みはもっと嫌いだから、渋々、ホントに渋々、尻込みしながら通うことになる。そもそも、歯医者で行うのはいわゆる治療ではない。小規模な工事と言った方がいい。口腔内は、さしずめ工事現場だ。

それが理由なのか、院内では緊張が解けない。そして、緊張をほぐそうとあれこれ考える。なぜか笑いたいモードが全開になり、ちょっとしたことが可笑しく感じたりする。さら

もっとみる

仕事の仕方2。

このテーマで書くと、たちまち紙幅が尽きる。その1では、フリーランスへの経緯とローカル拠点が実現した背景を綴った。なぜローカルかは何度も書いている。20代、フライフィッシングを覚えて、住むべきは釣り場の近くと決めたのだ。それを可能にしたテクノロジー。

もうひとつの側面は、組織化のこと。現在、Bunboは法人だが、事実上は個人である。プロジェクトはすべて、その都度チームを組む。制作はフリーランスが集

もっとみる

仕事の仕方1。

これはずっと考えてきた。今も考えている。答が見つからないと言うより、ひとつの答に辿り着くうちに違う風景が見え始め、さらに先の答を欲してしまう感じ。自分で働いている実感が伴ったのは、30歳直前でコピーライターになってからだ。その約1年後には独立する。

成り行きでのフリーランスだったが、事務所には、電話とFAXが各一台あるのみ。当時は福岡市郊外に住んでいて、自動的にそこがオフィスにもなった。コピーラ

もっとみる

個人で生きる。

たくさんの友人がいる。親友と呼べるヤツも何人も何人も。これだけで充分すぎる財産だと思わずにはいられない。気のいい彼ら彼女らの共通点がある。多くの人は肩書きを持っている。社会的にはそれなりだったりするが、その肩書きで付き合う者は誰もいない。

僕が大切にしたくなる友人たちは皆、そんなことはすっかり後回しなのだ。何の某という個人そのもので、僕と面と向かう。異動だろうが、転勤だろうが関係ない。個人の意志

もっとみる

沈んでいた。

人間にミスは付きものだ。粗相をしない人などいない。かと言って、ミスによる被害や悔恨から自由になれるわけではない。僕も人並みかそれ以上に失敗をする。その中身は数々あれど、特に目立つのが水難系だ。釣り人だから?いや、必ずしもそうでもないという話。

つい先日、夜になってApple Watchを着けていないことにドキリとした。記憶を巡らすと、川に忘れたことに気づく。翌朝、川に入る準備をして直行。釣りでは

もっとみる

権威に頼る。

人は弱いものである。群れに入らないと心細い。強い者に沿わないと不安になる。寄らば大樹という古諺もある。権威に頼りたくなる。自分での判断、決断が殊の外難しいので、他者のそれに委ねる。できるだけ有名で、立派な人が良さそうな気がする。そう、権威。

権威との距離が近ければ、安堵感は大きくなる。さらに、そうじゃない人たちに比べると、自分たちが少し優れているようにも思えてくる。ある日、心の片隅に虚栄が宿り、

もっとみる

蛍を数える。

家のそばを蛍が飛ぶ。前の住まいほど山の中ではないのに、実に贅沢な環境だと思う。もっとも、群れ飛ぶというほどの数はいない。多い年なら、数十匹舞っていることもあるけれど、村では当たり前だったたくさんの蛍が連鎖する光のシンクロはさすがに望めない。

数十年前まで、日田ではありとあらゆる水路で蛍が見られたらしい。いまも、市役所の横の水路に時折蛍が光る。地方とは言いながら、それでもなんと優雅なことか。そこか

もっとみる

プロトタイプ。

雛型。あるいは、役割について。あるいは、向き不向きについて。もう20年以上、事業プロデュースなる仕事をしている。見えてくる課題に対して、基本ゼロから解決策を考える。方法における原則はあっても、ルーティンやマニュアルはない。勢い、毎回初体験になる。

つまり、ゼロイチ。僕はそれがとても気に入っていて、モチベーションも凄く上がる。知恵の出し甲斐もある。初めて作るモノだから、試作ということになる。その後

もっとみる