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silent

はじめまして

この一文から始めさせていただきます。

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フジテレビ系連続ドラマ「silent」が話題だ

確かに人気キャストで話が面白く、話題になるのは分かる。しかし、様々な記録を塗り替えるほど話題になっている要因はどこにあるのだろうか。私はドラマ界隈に詳しいわけでも、現代のバズリなどに関して明るいわけではないので、そのあたりはあまり触れない記事になる。

あらすじはリンクにある通りだ。目黒蓮演じる佐倉想が病気を抱え耳が聞こえなくなり、様々な物語が展開していく。ラブストーリーなのだが、障害を抱える人とその周りの人間たちの葛藤を描いた人間ドラマでもある。ドラマとは「普通の人生を歩む大衆が劇的な物語を生きる彼らに対して感情移入することで楽しむコンテンツ」だ。そういう意味で、難しいテーマに向き合ったことが話題になった一つの要因かもしれない。

恥ずかしながら、今作を見るまで目黒蓮という人物を知らなかった。坂道系と呼ばれる女性アイドルが好きなため、女性がジャニーズでわーきゃーしていることには特段抵抗はない。しかし、自ら追っているわけではないのでタレントのことはほとんど知らないのだ。

ドラマを見ながら、幼い頃にジャニーズが出ているドラマを熱心に見ていたら私もジャニオタになっていたかもなぁなどと思っていた。目黒蓮の笑顔はきらっきらの笑顔というよりぽわぽわとした笑顔だ。それを見ていてこれは完全に沼だなと確信した。歌もダンスもバラエティーもドラマもこなすジャニーズという集団の底力に感動しているこの頃だ。

ドラマと現実を混同することは危うい。ドラマの見過ぎで頭ポンポンすれば女性を落とせると勘違いしている輩は、ジャニーズのようにイケメンでないことも、そもそも女性から好意を寄せられていないことが抜け落ちてしまっている。これは男性に限らず女性にも言えることなのだが。

そして混同が危ういといっているのは、恋愛テクニックといった浮ついた話だけではない。今作は難聴というテーマについて扱っている。SNSで「考えさせられる」といった言葉が多く見られた。そして私自身、このドラマを見ながら何度も感じたことでもある。

私含めいわゆる健常者が少しでも考えるきっかけになったというのは大きな価値があるだろう。と同時に忘れていけないのは「これはドラマであり、現実の一部を切り取ったものでも、現実の全てを描いているわけでもない」ということだ。

それを分かった上でも、やはり考えさせられることが多い作品だ。

◆春尾(風間俊介)の“ろう者への理解”

春尾は手話教室の教師をしており、第1話で紬の現在の恋人・戸川湊斗(鈴鹿央士)と居酒屋で出会う。紬は想とコミュニケーションを図るため、湊斗の勧めで春尾の元で手話を習うこととなった。

第4話では、手話教室の教師である澤口真也(江副悟史)と春尾が手話で会話をする場面が。澤口は春尾に対し「僕たちに壁を作る」「こうやって手話でコミュニケーションが取れるのに、どうして一歩引いてるんだろう」と以前から気になっていたことを告白。

春尾は何か疑問を抱いている様子でおもむろに手を動かし「特別扱いはもちろん違うし、ただ平等に接することが正解だとも思わないんです」と自身の考えを澤口に伝えた。

続けて「手話ができるってだけでわかった気になりたくないんです。どうしたって僕は聞こえるのでろう者同士みたいに分かり合えないです」と本音を吐露。春尾はろう者と聴者との壁を感じさせるような険しい表情を浮かべ、視聴者に訴えかけていた。
https://www.newscafe.ne.jp/article/2022/10/28/2789882.html

印象に残るシーンはたくさんあるが、現在私が一番印象に残っているシーンだ。理解しようとしないことは不誠実に感じる。しかし、理解しようとする姿勢はどこまでも他人事でしかない。壁を作らないべきと考えても事実として壁は存在する。ドラマを見たからといって理解したつもりになってはいけない。かといって目を背けてもいけない。

自分の気持ちでさえ分からなくなる私が、耳が聞こえ普通に会話できる友人の気持ちでさえ分からなくなる私が、耳が聞こえない人のことを理解できる日が来るのだろうか。

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手の届く範囲にいるあなたが

幸せでいることを願います

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