見出し画像

貧困と国家 #毎日ネタ出し17日目

【タイトル】

貧困と国家

【あらすじ】

時は2050年。日本は完全に国家としての機能を失っていた。

貧富の差がハッキリと分かれ、貧困層の間では常に強奪や暴動が起こっている。しかし、政府はそれを見てみぬふりをし、度重なる増税によりさらに苦しめていた。

また、移民政策により、純粋な日本人もほぼ消滅しつつある。もはやこの国を”日本”と認識している人は少ないであろう。

そんな日本のスラム街で育った少年”リリィ”は、ある日一件の盗みを行った。それは「上スリ」と呼ばれるもので、上流階級に人からスリを行うという犯罪だ。

この上スリは、得られる成果は高い分、相当なリスクを負うことになる。貧困層が上流階級の人へ盗みや暴行といった犯罪を行って警察に捕まると、通常とは異なる処罰が下る。刑務所に入れらるのではなく、警察からの激しい暴行に合うのだ。

これは警察にとっての遊びだった。

貧困層に関しては、何をしても何も言われない。警察の上層部も政府も国民も。なので、警察は逮捕することなく見つけ次第気が済むまで暴行を続けるのであった。

今年もその暴行により、5人の命が奪われた。しかし警察はそれを隠蔽している。もはやこの国に秩序という言葉は存在していない。

そんなリスクを冒してまでリリィが盗みを行ったのは、上流階級への復讐とか政府に対する恨みなどではない。

リリィも単なる遊びだった。

スラムの子どもたちの間では、どれだけリスクの高い犯罪をバレずに行うのかを競う遊びが流行っていたのだ。

リリィは小さい頃からスラムの中でもいじめられる存在だった。だから、何とか周りの人に認められるために、よりリスクの高い犯罪を実行しなければならない。

だからこそ、上スリを行い、そして見事に成功してみせたのだ。

しかし、リリィに待っていたのは称賛ではなかった。上スリは犯罪の中でもかなりのリスクを負う。もし警察にバレれば、一緒にいる人たちまで警察の処分を喰らうことにもなりかねない。

こうして、見事に犯罪を成し遂げたものの、リリィの周りからは更に人がいなくなってしまったのだ。

悲しみに暮れるリリィ。

しかし、上スリをバレずに実行出来たことに少しながらも達成感を覚えている自分がいることにも気づいた。

「どうせこのまま誰からも嫌われて生きていくなら、いっそのこと大きなことをやってやろう。そして、この世に俺が生きた証を残すんだ」

リリィは自分が生きた証を残そうと決意する。

この決意が日本という国家を大きく脅かすことになることを、この時はまだ誰も知る由もなかった。

▼書いている様子を配信しています!


色々な実験を行い、その結果を公開していきます!もし何かしらの価値を感じていただけましたら、サポートしていただけますと幸いです!