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リサーチャーインタビュー01|ライフステージの変化に柔軟に対応しながら研究者が研究を続けられる環境を

R&Dセンターに所属するメンバー1人1人に、ユーフォリアとの“馴れ初め”や、実際はどんな専門性を発揮し、どんな仕事をしているの?ということをじっくり深掘りしていくこちらの企画。

まず一人目は、EIS (ユーフォリアスポーツ科学研究所)が設立当初からユーフォリアに入社され、現在ではR&Dチームを引っ張る存在である、リサーチャーの山中美和子さんにお話をうかがいました!

ーーまずは自己紹介と、専門分野について教えてください。

山中さん(以下、山中):山中美和子です。専門分野はスポーツセーフティーや外傷・障害調査です。最近は女性アスリートの健康に関する研究もやらせてもらっています。

ーーユーフォリアに入社したきっかけや、入社の決め手になった出来事などはありますか。

山中:入社の決め手は、①仕事内容の面では私の専門分野の知識を生かせる可能性が高いと思ったこと、②働き方の面では、当時0歳の子どもがいたので在宅で働けること、が特に魅力的でした。カジュアル面談を行なっていただいた当時はまだEISも設立されておらず、ユーフォリアで研究ができるとも思っていなかったのですが、研究ができなくても専門知識は役立てられるはず、と思い「なんでもやろう」という気持ちで入社を希望しました。結果的に半分諦めていた研究をやらせてもらっているのでラッキーです!

ーーもともとスポーツがお好きだったのでしょうか?

山中:小さい頃からずっとスポーツをやっていて、物心ついた頃には「将来はスポーツに関わる仕事をしたいな」となんとなく思っていました。小学校では水泳、中学では水泳と駅伝、高校からはバレーボールをプレーしていました。ずっとプレーヤーとしてスポーツをしていましたが、大学3年のときにトレーナーの勉強を始めることになり、今に至ります。

ーー前職でのご経験や、これまでのご経歴について簡単に教えてください。

山中:日本の大学卒業後は、紆余曲折ありつつもアメリカの大学院に進学しアスレティックトレーニング資格(Board of Certification Athletic Trainer Certified)を取得しました。アメリカでの大学院修了後はすぐに帰国して日本の大学院博士課程に進学し、並行して大学バレーボールチームなどスポーツ現場でのアスレティックトレーナーとしての活動も行っていました。博士課程の1年目に妊娠し、2年目に出産を経験しましたが、なんとか3年で無事博士課程を修了することができました。大学院博士課程修了後すぐユーフォリアに入社しました。

サポートしていたチームで全国大会やリーグ優勝も経験

ーー博士課程に進み、研究者を志したきっかけなどはありますか。

山中:大学生のころから大学の教員になりたいという気持ちがありました。研究を極めたいという気持ちがあったわけではないような気がしますが、大学の教員になるためには必要な道だと思っていました。アメリカの修士のプログラムはアスレティックトレーナーになるための臨床プログラムであり、研究を実施することは修了要件ではありませんでした。なので、研究を本格的に始めたのは日本の大学院博士課程からだったと思います。

日本の大学在学中に学生トレーナーとしてスポーツ現場に出ていたときから、スポーツにおける事故や怪我を防ぎたいというパッションがあったので、博士課程では「日本の高校運動部活動における重篤事故の調査」を研究テーマとしました。

ーーユーフォリアでは、リサーチャーとして具体的にどのようなお仕事をされているのでしょうか。

山中:私が入社したのは2022年4月ですが、その時から女性アスリートの月経周期と外傷・障害発生の関連検証を担当させていただいています。ユーフォリアの女性アスリート研究の第一弾となるコホート研究は終了し、今はその研究で得られた結果をさらに深掘りするための続編を計画しています。元々私は女性医学や女性医学系の研究手法に明るいわけではなかったので、これらの研究を通じて専門分野を広げることができました。

第6回EIS情報交換会での登壇

現時点では研究として実施しているわけではないですが、元々専門としていたスポーツセーフティーや外傷・障害調査の知識もフル活用しています。ユーフォリアが外傷・障害調査をお手伝いさせていただく案件では、私がその方法論を立案していることも多いですし、ONE TAP SPORTSのインジュリー機能に私の専門家としての意見を反映していただいたこともあります。

社内でも科学的・技術的な知識を有する人が多く集まっているのがR&Dセンターなので、ビジネス面で最前線に立つ事業部のメンバーを科学的にバックアップする役目も担っています。営業の場面でちょっと使えそうな小ネタを伝授するなど、小さなことでも役立てることがあると思い、コツコツ社内勉強会も継続していたりします。

ーー今の仕事で好きなこと、楽しいこと、やりがいを感じることはありますか。

山中:今の仕事で良いなと感じることは、研究や調査の結果を広く届けられるところです。ユーフォリアは独自のプロダクトやサービス、発信の窓口を持っています。研究で得られた知見をユーザーさん目線でプロダクトに機能化してくれるメンバーや、届きやすい言葉や形に変えて発信してくれるメンバーがいます。たくさんの人の手で丁寧に研究結果をスポーツのコミュニティーに届けてくれるので、研究のしがいがあります。これはアカデミアの研究室単体ではなかなか達成できないことなのではないかと思っています。

ーー今後ユーフォリアでやっていきたいこと、目標や展望についてもぜひ教えてください!

山中:企業の研究開発なので、研究をして論文を書くことで終わってはもちろんダメです。もちろん、良い研究結果をたくさん世に出してスポーツ科学の発展に貢献したい気持ちはありますが、それと同じくらい、私たちの研究を通してユーフォリアの価値、ユーフォリアがユーザーの皆様に提供できる価値を高めていきたいと思っています。

働く環境という観点では、ユーフォリアのR&Dセンターを研究者がライフステージを通して柔軟に働ける場にしたいという思いが強くあります。私は博士課程3年目の就職を考える時期に0歳の子どもを抱えていました。毎月高熱を出して、保育園への適応に非常に困っている時期でした。

育児をしながら論文を執筆していた

前述の通り、当時はユーフォリアで研究ができるとも知らなかったので、「研究者としてのキャリアを諦めてでも...」と藁にもすがる思いで、少しでも自分の専門分野を活かした仕事と育児を両立できそうな環境であったユーフォリアへの入社を希望しました。

スポーツ医科学分野の研究者にとって、現時点ではアカデミア以外はあまり就職の選択肢がないような状況だと思います。人生には今の私のように育児に翻弄される時期もあれば、親の介護などさまざまな理由で固定的な働き方が叶わない時があると思います。リモートワークを多めにしたり、働く時間を調整したり、ライフステージの変化に柔軟に対応しながら研究者が研究を続けられ、それが会社、社会へ還元できる環境をユーフォリアが提供できたら良いなと個人的には思っています。

【あとがき】
今回は、ユーフォリアの社員では初のEIS所属のリサーチャーとして、さまざまな研究に携わっている山中さんにお話をうかがいました。
これまでスポーツ医科学分野の研究職につくためには、一般的には大学に所属し実績を積み上げていく道しか知られておらず、ライフステージの変化と両立が難しいことから山中さんも一度は「研究の道を諦めるつもりでいた」と話されていました。企業に所属し、他職種と連携しながら専門性を発揮することでプロダクトやサービスに還元していくという働き方は、特に女性研究者のキャリアの1つのロールモデルとなりうるのではないでしょうか。
次回のユーフォリアR&Dセンターのメンバー紹介記事もお楽しみに!


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