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#2 2020年1月、保健所の電話が鳴り止まなくなった日
こちらの記事に書いた通り、これから保健所勤務時代の出来事を振り返っていきたい。
2020年1月下旬のある日。
出勤前にテレビを見ていたら、最近話題の感染症についてアナウンスされていた。
「不安がある方は最寄りの保健所に相談を」とのこと。
保健所に相談を…?って
うちじゃねーか!
一般の事務職員の立場では、保健所が相談の窓口になることは全く知らされていなかった。
まさに寝耳に水。
「まあ、テレビではああ言ってたけど、実際どれだけ問い合わせがあるかわからないし、様子見かな」と思いながら出勤した。
考えが甘かった。
朝からじゃんじゃん電話が鳴っている。
普段の生活の中で、保健所に電話する機会なんてほぼないと思う。
私だってここに配属になる前は「保健所=犬のやつ」くらいの認識しかなかった。
なのになんやこれ!
テレビの影響すごいな!
例の感染症の件だとわかると、感染症担当の保健師に電話が回される。
電話を取った隣のグループの上司がおっかなびっくり声を掛けてきた。
「電話きた…! コロちゃんの件…!」
コロちゃんって何だよ。
犬じゃねーか。
私が勤務していたグループには、保健師と精神保健福祉士、そして若干の事務職員が在勤している。
最初のうちは保健師が対応していたが、しだいに電話を受け切れなくなった。
そこで上司から「感染症の電話はグループ全員で対応するように」と指示が入った。
グループ内では私は医療費事務の担当をしており、感染症の知識は皆無。
しかし問い合わせは入ってくる。
厚生労働省のホームページや、(後日作成された)マニュアルを頼りに対応していた。
わからないことがあったら保健師に電話をつなぐ。
コールセンターの仕事ってこんな感じなんだろうか。
電話回線がパンク寸前で他の業務にも支障が出たためか、しばらくしてから本物のコールセンターが設置された。
これで少し落ち着くと思ったら、陽性となった患者さんへの対応が始まった。
まさか一年以上落ち着くことがない状態が続くとは、この時は全く考えていなかったが……。
前例がないことだからか、国も都道府県の担当課も、そして現場の私達も手探り状態だったと思う。
でもそれを言い訳にして適当な仕事をすることは許されない。
手探りながらにベストを尽くさなければならず、苦労が絶えなかった時期だったと思う。
※2022.2 タイトル改題しました