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絵とワードの物語 『いっぱいしゃべるきみがすき』 


 その口は留まることを知らないみたいに、次から次へと言葉を降り積もらせていく。その話が続く間に、後ろを何人もの客が通り過ぎて行ったが、彼はおかまいなしだ。
 まぶしくて目が潰れそうなのに、ガラスを見る目はそんなことお構いなしにきらきらと輝きを増していくから不思議。どうしてそんなに夢中になれるんだろう。
 ねえ、きみは気付いている?
 その横顔に、きみと同じ熱量で、じっと当てられている視線があることに。
「そういうところが、好きなんだよね」
 語り終えて少し息をついたその姿に、まだ輝きを失わないその瞳に、彼女はうん、と頷いて、薄く染まった頬を緩ませた。
「わたしも、好きだよ」
 彼女の勇気に、仲間たちが揃ってひゅうと声を上げる。それでも鈍感な人間は、私たちを見て嬉しそうに笑う。彼女もそんな人間を見て笑う。私たちもそれを見て、笑う。
 しばし見つめ合った後、私たちは尾ひれを揺らし、ゆうるり、と二人の前から離れた。



絵 はしもとあやね @enayacomic
文 ねきの@nekino_e



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