エトワード|絵とワードで伝える作家ユニット

《 1分で読める心に残る物語 》 通勤時間や寝る前のすきま時間のお供になる《 手のひら…

エトワード|絵とワードで伝える作家ユニット

《 1分で読める心に残る物語 》 通勤時間や寝る前のすきま時間のお供になる《 手のひらサイズの物語 》をお届け 【et wordとは?】 イラストレーター×文筆家の作家ユニットです。 絵:はしもとあやね 文:ねきの ▶︎ ▶︎ https://potofu.me/etword

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暇な時にちょうどいい物語まとめ【絵とワードで紡ぐ物語ユニット エトワード】

この記事を見ていただいてありがとうございます。 手のひらサイズの物語をお届けする作家ユニットet wordです。 ”絵とワード”で1〜5分のすきま時間に楽しめるエンターテイメントをお届けet wordとは、イラストレーターはしもとあやね(@enayacomic)と文筆家ねきの(@nekino_e)の二人による作家ユニット。 たくさんの物語を作ってそしていつか本を出したい!という想いを共有して作家ユニットを組みました。(ちなみに二人とも広島県出身という共通点もあります!)

    • 通販(先行販売)と文学フリマ広島ありがとうございました!のお話

      こんにちは、エトワードの「絵担当」イラストレーター・デザイナーのはしもとあやねです。 先行通販のお知らせ!エトワードの公式オンラインショップOPEN前ですが、先日文学フリマ広島に発売した「ときめきの扉」をはしもとあやねの個人BOOTHにて先行販売しています! (同じスペースにてお披露目した個人グッズの「写真×イラスト ポストカードブック」も同じストアにございます!) 文学フリマ広島おつかれさまでした!絵描きが書いているので、拙い文章ですが感想を書かせていただきます!

      • 【初出店】2/26文学フリマ広島5に出ます!【え-03】

        記事を見ていただきありがとうございます。 短時間で読める手のひらサイズの物語をお届けしている作家ユニット、「et word(エトワード)」です。 今回の記事は2023/2/26(日)文学フリマ広島5に初参加するので告知をさせていただきます! ブース番号は「え-03」。ユニット初刊行の本と、絵担当の個人グッズを出します! ”et word”とは?et word(絵とワード)と読みます! わたしたち"et word(絵とワード)"は、文筆家ねきのとイラストレーターはしもとあ

        • 俺とクラゲとバス - 手のひらサイズの物語

           現代人は働き過ぎと常々思う。  俺は普通のサラリーマンだ。定時に帰れることばかりじゃないけど、それなりに趣味にも時間を使えているし日々の生活に不満はない。つまり精神状態を疑うような状況ではないということだ。  だけど、だけどさ。  営業帰りのバス、窓側に陣取った俺の隣に座ったそいつが、人間サイズのクラゲみたいなかたちをしていることに対して、ツッコミを入れられなかった自分には結構動揺した。  いや他に動揺するとこあるよ、あるけど、誰もリアクション取らないし、そいつは車内をち

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          『 ぼくのこいびと 』 - 手のひらサイズの物語

           あなたはいつも、優しい笑顔を向けてくれる。  視界いっぱいに広がるその表情が慈愛に満ちていて、愛おしくて。叶うのなら抱きしめたい衝動に駆られるけれど、あなたはいつもするりとそれをかわしてしまう。  伸ばされた指先にキスをする。くるりとターンを決めてアピールをする。好きだよ。愛してるよ。見つめ合った視線に託した言葉に、あなたはとても幸せそうに笑う。  伝わっているのかな。伝わっているといいな。  それでもガラスに隔たれた自分たちは、直接触れ合うことすら叶わない。だからあなたの

          『 ぼくのこいびと 』 - 手のひらサイズの物語

          ゆきだるまのおんがえし - 手のひらサイズの物語

          私はひとり、家路を急ぐ。  いつの間にか降り出した雪の中、傘もささずに。手にはくしゃくしゃになったを包みをひっつかむように持って。 本当にあの人、最低だ。 クリスマスデートをすっぽかした挙げ句、他に好きな人が出来たから別れようなんて私ほんとにただの都合のいい女だったって事だよね。  悪態をついてみるけれど、むなしい気持ちになるだけでなんだか泣けてきた。分かれ道の先に見えた眩い街並みから逃げるように、街灯の少ない道へと進む。 「……あ」  ふと、視線の先に少し丸い人影のよう

          ゆきだるまのおんがえし - 手のひらサイズの物語

          『 きみとぼくのうた 』 - 1分で読める深く心に残る物語

           うたが聞こえた。  夏休みに訪れた父の実家で、眠れない夜に部屋を抜け出し、海辺を散歩していたときのことだ。  ことばの意味は分からなくて、耳を澄ましても聞き取ることはできなかった。そのうたに胸が震えて、もっと聞きたくて、走り回って探しても声の主は見つからず、結局一番よく聞こえる岩場に腰掛けて耳を澄ましていた。  いつまでもうたは続いていた。  水面を揺らし、空気を渡って、鼓膜を揺らすそのうたは、ひどく寂しくて、けれど力強くて。  うみのかみさまがいるなんて。そのうたを聞いた

          『 きみとぼくのうた 』 - 1分で読める深く心に残る物語

          『 華下の誓い 』 - 1分で読める深く心に残る物語

          「うわっ!」  大きな音にびっくりした僕の反応が可笑しかったのか、ぴかぴかと光る空を見上げたまま、きみは声を上げて笑った。 「相変わらず、花火、苦手なんだね」  仕方ないでしょ。つい身体が反応しちゃうんだから。きみの陰に隠れなかっただけ、進歩だと褒めて欲しいくらい。  少しだけ拗ねたのが伝わったのか、きみは花火を見上げたまま、僕の手を驚かせないようにそうっと握る。そのぬくもりは昔から変わらなくて、思いっきり頭を撫でてもらいたくなってしまう。 「ふふ、……思い出すなぁ、あの子

          『 華下の誓い 』 - 1分で読める深く心に残る物語

          『 貴方に手向ける餞を 』 - 1分で読める深く心に残る物語

          きみの手が離れないから 形を維持する僕の心を どうにかして伝えたくて そのたばを放り投げた そらに弧をえがきながら おちていくいろの群れ 波間にぽすんと浮かんで ゆっくりと沈んでいく 身勝手に押しつけたのは ぼくなりの優しさでも 伝わらなければ一緒だと 叱ってくれたあなたに 背中を押され踏み出した あの一歩があったから ありがとう ぼくたちは 今日から夫婦になるよ 絵 はしもとあやね ( @enayacomic ) 文 ねきの( @nekino_e ) イラス

          『 貴方に手向ける餞を 』 - 1分で読める深く心に残る物語

          はじめの一歩。〜ロゴマークに想いを詰め込む〜【今週のかくればなし】

          こんにちは!記事を見てくださってありがとうございます。 『手のひらサイズの物語』をお届けする作家ユニット「et word」の絵担当、イラストレーターのはしもとあやねです。 わたしたち「et word」はイラストレーターと文筆家の物語ユニット。 SNSを中心にスキマ時間に楽しめる「1分で深く心に残る手のひらサイズの物語」をお届けしています。 投稿スタイルは毎回「絵とワード」で絵の情報と文字の情報、両方楽しめる構成になっています。 出勤前、休憩中、寝る前などのお供になれればい

          はじめの一歩。〜ロゴマークに想いを詰め込む〜【今週のかくればなし】

          今週のかくればなし

          天気が不安定で、手荷物に悩む日々ですね。 作家ユニット「et word」文章担当 ねきのです。 記事をご覧いただいてありがとうございます! 「et word」は「絵とワード」で皆様にお話をお届けするをコンセプトに活動を行っている作家ユニットです。 詳しくはこちらの自己紹介をどうぞ! さて、本記事では、今週のet word作品について、制作時のお話ですとか、どういう流れで作品が出来上がっていったのかとか、そういうものをお話させていただきたいと思っています。 7/17~7/

          絵とワードの物語 『彩りを添えて』 

           よいしょ、と言いながら草取りから立ち上がったのは、もう何十年と連れ添った相手と同時だった。土を弄っていた軍手や作業着はすっかり茶色へと変色していた。それがすっかり似合うほどには、彼も彼女もしわくちゃになってしまったが、二人ともそれを嘆いたりはしない。 「顔に泥、ついてますよ」  彼女がそう言って頬を指さすが、彼はそれには構う風もなく、腰に手を当てて背をぐうと伸ばした。  目の前にぶら下がった紫色の実はつやつやと煌めいている。毎日手塩にかけて育てたそれらが夏を叫ぶこの時期が、

          絵とワードの物語 『彩りを添えて』 

          絵とワードの物語 『熱闘の果てに』 

           グラスに入っているその液体が、ぱちぱちと爆ぜていた。  縁を少し舐めると、ほのかな甘みの向こうにしつこさのない酸味がふわりと香る。  祖母が応援の代わりに持たせてくれるのだと呟きながら机に置かれたのは、しなびた梅が浸かった琥珀色の液体。グラスの中で炭酸水と合わさったそれを差し出すその表情は、さっきまでの顔とはうってかわってやさしいもので、それを肴にぐいとグラスの中身をあおった。  身体に染み渡る梅の味が、溜まった疲労を優しく洗い流してくれるようで、ほう、と息をつく。  うん

          絵とワードの物語 『熱闘の果てに』 

          絵とワードの物語 『隠し味はシンプルに』 

           お肉にじゃがいも、にんじん玉ねぎ。ことことと煮込んだ鍋に、大雑把にルーを放り込む。何ひとつ凝ったもののない、ごくごく普通のカレーが好きだ。  ふんわり漂い始めたいつもの香りに、ぐうとお腹が鳴りそうになる、  がまんがまん。もうちょっと。  汗をかきかき、スプーンやまもりのカレーを頬張る自分を想像しながら、おたまで鍋をかきまわす。  おいしく、おいしく、おいしくなぁれ。 絵 はしもとあやね ( @enayacomic ) 文 ねきの( @nekino_e ) 「絵とワード

          絵とワードの物語 『隠し味はシンプルに』 

          絵とワードの物語 『そらいっぱいのもういっかい』 

          「なくなっちゃった」  拗ねたようにつぶやく君の手には、きれいにソフトクリームだけが消えたコーンが握られている。あまりにも不本意で不満そうなその様子に、おかわりはないよと告げれば、ほおがぷくりと膨らんだ。  コーンから僕に向けられた恨みがましい視線が、一瞬置いて驚きに、そうして期待を含んだよろこびに変わる。 「おかわりあった!」  歓喜の叫びが向く先へと首を回して追い掛ければ、僕の肩越しに目一杯伸ばされた腕の先、白い入道雲を巻き取ったコーンが、高々と掲げられていた。 絵 は

          絵とワードの物語 『そらいっぱいのもういっかい』 

          絵とワードの物語 『夏の予定は』 

           おばあちゃんちで遊ぶのは、実はそんなに好きじゃない。  いつも見てるテレビ番組は見れないし、エアコンもないし、ゲームもできないし。  虫取りとか探検とかには興味ないし、こどもはぼくだけで一緒に遊ぶ子もいないから、ほんとやることがなあんにもないんだ。  だったら行かなきゃいいじゃんって、まあぼくだってそう思うけど。  でも、でもさ。  おばあちゃん家の裏に流れてる川に毎年浮かべられてるまあるいかたまりは、ぼくのこころをわくわくさせてくれるんだ。  おやつの時間になったら、紐で

          絵とワードの物語 『夏の予定は』