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現代

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社会人、学生時代など現代系の物語をまとめています
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記事一覧

俺とクラゲとバス - 手のひらサイズの物語

 現代人は働き過ぎと常々思う。  俺は普通のサラリーマンだ。定時に帰れることばかりじゃな…

『 ぼくのこいびと 』 - 手のひらサイズの物語

 あなたはいつも、優しい笑顔を向けてくれる。  視界いっぱいに広がるその表情が慈愛に満ち…

絵とワードの物語 『Don't Stop Me!』 

 油を差してくるのを忘れたチェーンが悲鳴を上げる。軋むその音に構うことなく全体重をかけて…

絵とワードの物語 『顔一杯の水族館』 

 海が、ちょっぴり怖かった。  深いところは溺れそうだなとか、怪我したらどうしようとか、…

絵とワードの物語 『et word』

 綴る言の葉はざわめいて、描かれた線は踊りだす。  広げた手のひらの上で色づき、飛び跳ね…

絵とワードの物語 『いっしょがいいな』

 ブランコを、漕いでいる  戯れる子供達に向けて、ゆらゆらと  うらやましそうに、手を伸ば…

絵とワードの物語 『ガラス玉にうつるもの』

「おとうさん! みてみて! すごい!」  背伸びしようと力の入る小さなてのひらが、頭に食い込んで痛いのとか。 「ちゃんと見えるか?」  いつの間にか肩にずしりと来るようになったその重みとか。 「うん! おとうさんもみえてる?」  ほんのちょっとだけ聞き取りやすくなった、その滑舌とか。 「ちゃんと見えてるよ」  眼前に広がる魅力にきらめいているだろう、そのガラス玉のような瞳が。 「うん、すごい、たのしいね!」  いつか自分が必要なくなっても、同じ輝きをうつしてくれればいいな、な

絵とワードの物語 『青空にはためいて』

 お行儀良く風に揺れる洗濯物に、満ちたりた吐息を落とす。  週末の雨が洗い流した空気はと…

絵とワードの物語 『似たもの親子』

「お父さん、はい!」 「お、ありがと」  渡されたグラスはありがたいことにキンキンに冷えて…

絵とワードの物語 『青、蒼、碧』 

私はひとり、靴先で地面を弾きながら歩いている。 気持ちはすっかり土砂降りなのに、本当に雨…

絵とワードの物語 『きみにあいたくて』 

いつもなら鞄に入れっぱなしのスマホが、てのひらの中で震える。 通知の中身を把握する前に開…

絵とワードの物語 『ハッピーアワー』 

いやだってそうでしょ。この日のために頑張ったのよ。 仕事もそうそうに切り上げちゃってさあ…

絵とワードの物語 『虹の橋』 

どこまでも伸び往くその色彩は、長く、永く、ながいけれど、その先に必ず果てはある。 そう信…

絵とワードの物語 『ころころ、みちびかれ』 

 同じ場所、同じ時間で、ほぼ毎日すれ違うその人を、何とはなしに覚えちゃったのは、仕方がないことだと思う。  見た目の年齢的には大学生ぐらいでもおかしくないその男の子は、目の前が見えないくらいの大きな荷物を抱えていたり、メモを片手にキョロキョロしていたり、ぼさぼさ頭で走ってたりと、何かにつけて目立っている。しかも毎回茶色のエプロンをつけていて、目印としてもばっちりだ。  今日もほら。  あ、あ、なんて言葉をぼろぼろ落としながら、紙袋からこぼれ落ちたオレンジを追いかけてる。袋を気