エトと爪切り
お風呂上がりに、爪を切った。
爪を整えると、達成感。
塗ったりするでもなく、切ってやするだけだけど。
無印良品の金属の爪やすりを買った。
折り畳みナイフのような形状で、中二心をくすぐられる。
500円くらいしたけど、ずっと使えてサステナブルかもと考えた。
マイ爪切りが壊れた。
大学で一人暮らしを始めるにあたって買ったもの。
あのアパートに戻る夢も、しばらく見なかったけど、最近また見る。
大学を辞めて実家に戻ったばかりの頃は、一人暮らしをしたいと思っていたのに、今はそんなの不可能に思える。
それで家の爪切りを使い始めた。
子供の頃、その爪切りがなくなったことがある。
兄に「エトが持って行った」と言われ、覚えがなかったから強く否定した。
でも後から私の部屋で見つけて、言い出せずに隠してしまった。
時が経って、しれっと返した。
精神科を退院する時、当時の主治医が「あなたは恵まれている」と言った。
親がいて、帰る家がある私は、そうなのだろう。
その頃の私にできそうに思えたことは、洗濯物を畳むことくらいだった。
「自立心は、生物的な本能です」とカウンセラーさんは言った。
養われていることに甘えていたくないのは、ただの虚栄心というわけではなくて、自然な思いなんだ。
今だってできることは少ない。
それでも。
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