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【映画】現実・夢・記憶の狭間で 「潜水服は蝶の夢を見る」

 印象に残った映画記事を投稿したところ、意外にも反響いただけたのと、記事が書きたくなった作品がいくつか出てきたので投稿致します。

この映画は2007年カンヌ国際映画祭・アカデミー賞でも話題となったジュリアン・シュナーベル監督の実話をもとにした作品になります。ここからネタバレ注意!

 有名な雑誌「ELLE」の編集長のジャン・ドーは、病院のベッドで目を覚ますと自分の体が動かないことに気付きます。

脳梗塞で倒れたことで、体への神経伝達ができなくなってしまったのです。そんな中、言語療法士の助けもあり、唯一動いた左目でコミュニケーションを取る方法を覚えました

カメラワークはジャン・ドーの視点から、現実なのか夢なのかといったボンヤリとした光景で進んでいきます。

これが、本当に観ている者に没入感を与え、さらに動かない右目が壊死してしまう恐れから、右目を縫い合わせる情景ですらも描写しており衝撃を受けました

突然こういった状況に置かれたジャン・ドーは当然 絶望の淵をさまよいますが、それでも他者とのコミュニケーションを図ろうと努力しだします

数えきれない瞬きで伝える

(ここからカメラワークは広がり客観視になり、音楽も軽快になる) 他者との繋がりを意識しだして、生きていく方法を見出します。

途中、ある人がどんな状況に陥っても、自分の人間性にしがみつけば生きられるといったセリフも印象的でした。

自分の子供と直接触れ合ったりできなくても目で見て喜ぶ、体が動かない自分のことを憐れむ人間を逆に笑ったり、妻やかつての恋人との思い出を噛みしめるなど、従来の自分より研ぎ澄まされた意識でです。

自分の殻の中の壮絶な孤独に押し潰されそうになった経験によるものかもしれません。そう考えると孤独というものがどれだけ恐ろしいことか。。

  ジャン・ドーはエネルギッシュな人物でプライドもあり、そこから仏のような人間になりましたとかそういう話ではないです。

重い潜水服を着て奈落の底に落とされたような辛い状況に置かれても、自分のアイデンティーを保ち、現実・夢・記憶を蝶のように思考を巡らせながら、何者にも邪魔されず幸せを味わいながらヒラヒラと羽ばたいている様子を描いているのではと感じました。

人間の想像力は偉大なものですが、我々はそれによって幸せにもなるし、苦しめられもする。しかし、それが人間というもの。体が動かなくなったオランウータンは絶望などしないらしいです。

人間だけが持つもの、それによって各々の幸福度を大きく変えられる。人間は楽しんでる人に寄っていくというが、それを言い換えると、想像力が豊かな人は魅力的だということ

  さいごに、若くして自殺してしまった人、病気などで安楽死を望む人などに簡単に生きなさいなどとは言えないです。

この映画についても軽々しくコメントできませんが、自分がいついかなる時にどんな状況に置かれるか分からないということを念頭に、どう生きるか考えていきたいです。


↓こちら予告動画になります


↓のレビューなども読んでいて、いいこと書いてあるなと思いました。


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