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憧れだった祖母の話

うちの父方のばあちゃんは本当に強い。
昔は兄妹が多いのが普通だったそうですが、7人兄弟の長女で、病気で早逝した父に代わって、学校を辞めて10代から大黒柱として働き始めて55歳くらいまで勤め上げた祖母は
今年で御年88歳になりました。
戦中戦後を駆け抜けた超強いばあちゃん、長生きしてくれ

あんなにしっかりしてたばあちゃんだったけど
だんだんと認知症の兆しが見え始めてるのが
悲しくもありさびしくもありとても心配。

ずっと国鉄で働き続けたばあちゃんの話をどっかで書きたいなと思ってたので書いてみます。

うちのばあちゃんは
国鉄で初めて女性管理職になった人で、
国内で初めて路線を廃止した人らしい。白糠線?
いまは愛国駅になって観光名所みたいになってるところかな。

この白糠線廃止に伴って創設された、なんとか係長?課長?(名前忘れた)というのに当時女性ながら抜擢されたってことで新聞も残ってた。

いまだったら完全に女性蔑視的なあれでアウトな文章だと思うけど、
新聞には祖母の顔写真付きで
「女性の柔らかさを活かして頑張ろうと思います♡」みたいなことがドンと書かれてた。
(本人が言ったのか言わされたのか勝手にそういう風に書かれたのかは分からない。祖母も覚えてない)

けど、新聞に書かれたこととは裏腹に
「え?なんとか係長(課長)?なあにこれ、なんですかこれ?私に何しろってんでござんすか」
て普通に上司とかにぼやいたらしくて笑った。
そりゃそうだよね、日本で初めてとか言う一見すごそうだけど100%めんどくさい仕事を、女に押し付けられたも同然…いや名誉なことなのかな、分かんないけど。

若い頃から、介護と仕事と幼い兄妹の面倒とで忙しすぎて車の免許を持ってなかったばあちゃんは、
部下や上司に運転してもらったり
それこそ国鉄に乗ったりしてあっちこっち地域住民への説明に奔走したそう。「ご理解を得るのが大変だったよ」て懐かしそうに言うだけで、
きっと色んな心ないこと言われただろうに、恨みつらみは何にも言わない。
そこがかっこいい。

うちのばあちゃんは、何も最初からキャリアウーマン(?)街道まっしぐらだったわけではないです。
10代で国鉄に入社はしてたらしいけど、
当時の女性の主流仕事だったらしい電話交換からスタートしたそうです。
でも勝気なばあちゃんだったから
「死ぬまでずっと電話交換は嫌だ!」と
一念発起し、なんらかの試験を突破し、国鉄の事務に入れたそうです。詳しくはわからん
行動力はんぱない。

そのあとはやっぱり色々な男性からやっかみを受けて
妬み嫉み嫌がらせ、今だったら本当それアウトでしょってことまでされたけど耐えて耐えて管理職に就任。
じいちゃんも、息子であるうちの父も色々と巻き込まれてた。昔の嫌がらせは規模が違うな…と思った。
質は現代の方が悪いかもなあ

あと都道府県の女性代表で
海外研修行ったりしたこともあったそうで、🇺🇸

当時って約50〜60年も前の
男尊女卑だってまだまだひどい時代なのに
女性代表で海外研修行くとかやばくないですか、
て我が祖母ながら思いました。
てか当時の飛行機乗るのめっちゃ怖すぎて私なら無理。

海外はその頃からすでに進んでいて、祖母は今でも
「初めてその研修に行かせてもらったとき、もう全然日本と常識が違っていて衝撃だった。
夫が家庭、妻が稼ぐっていうのが外国ではもう浸透していたから日本は遅れているなと思った」て話す。
↑これ!これが88歳の口からでるってすごいなと思いました。とても現代的な感覚で、若い頃に経験したからこそ重みを持って発せる言葉。こんな現代的な感覚の祖母がいて幸運だなと思った。

あと同じグループで一緒に行動していた、車椅子の女性のことも何回も話す。
車椅子だったから、その方の旦那さんにも「どうかお願いします」と言われた祖母は、その方の面倒見る気満々で行動を共にしたんだけど
なんと面倒を見てもらったのは祖母の方だったという話。なんでかというとその車椅子の女性は英語がペラペラだったそうで、英語なんぞまったく分からん祖母はめちゃくちゃ助けられたそう。
逆に面倒見てもらっちゃった!て何回も楽しそうに話す。
祖母の鉄板ネタになっている。
その女性も何者だったんだろう…

話戻すけど
それでも日本に帰ってきたら女性の能力なんて歯牙にもかけられないし正当に評価なんかしてもらえない。
依然男尊女卑のままだから、そのギャップに本当に苦労しただろうなと思う。
でも祖父は祖父で忙しい職業だったけど、当時の男性としては珍しく理解があって、(というか祖母超強いから祖父を尻に敷いた可能性大)いまでも2人で分担して家事してる。最先端老夫婦。
2人とも足腰悪いからむりしないでほしいなぁとも思うけど。

長くなったので分けました


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