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■大河ドラマ『光る君へ』第8話を深掘りしたい人のための参考本

えりたです。

先週放送された大河ドラマ『光る君へ』第8話は、これと言った大きな事変は起きませんでした。が、第9話以降への布石がそこここに打たれ、上級貴族さんたちだけでなく、脚本家さんや演出の方たちの権謀術数に右往左往しそうになるお話でした。花山天皇、そっちに行ったら…(号泣)

そんな花山天皇に肩入れしたり、歴史物語のなかの最推しである道隆さまに萌え散らかしたりした第8話の感想がこちらです。

相変わらず、主人公ふたりが置いてきぼりになった感想ばかり書いていますが。ふと考えてみると、第8話って道長にとって分岐点になりそうな話ではあったのですよね。

信じたかったし、友になれるかもしれないとも思えた直秀に裏切られたり。父や兄たちの信じられないような所業を突き付けられたり。まひろにがっつり振られたり。

のほほんっと上級貴族の大らかな三男坊でいられた時期は終わり、もしかすると摂関政治の頂点に上り詰める人物として、ここから大きくキャラ変していく可能性もあるなと、第8話を見ながら、ちらりと思ったのです。

そうして、キャラ変するとしたらどんな按配になるかしら? と思い、参考にしたのがこちらの本です。

■『道長ものがたり 「我が世の望月」とは何だったのか―』
■山本淳子 著
■朝日選書
■2023年12月
■1700円+tax

はたして道長はどんな思いで生き、そして死んでいったのか。
自身の手による『御堂関白記』や同時代の貴族による『小右記』『権記』など一級資料のほか、『紫式部日記』『枕草子』など女房たちの実録、道長の死後に成立した『栄花物語』『大鏡』など歴史物語をひもときながら、一人の人間の心の〈ものがたり〉を照らしていく。

もちろん、この本に書かれたのはあくまでも〈ものがたり〉ですから、「藤原道長」という人物が真実このように考えたり、感じたりしていたかどうかは分かりません。

ですが、1000年前のあの時代に棚からぼたもち的に転がり込んできた権勢を基に、到達できる最高の頂点まで上り詰め、また、それを子孫に伝える基盤をつくった人物のある一面ではあるだろうと思うのです。

大河ドラマ『光る君へ』第8話時点の道長とはかなり異なる人物像ではありますが、これからの道長の道程を知るには最適な本だと思います。

・ ・ ・

さて、第8話の感想記事のタイトルにも入れたように、花山天皇が寛和の変=退位事件へ向かってまっしぐらに走っています。ほんとに「師貞、後ろ!」な緊張感がそこここに。

予告を見る限り、どうやら第9話ではまだ大丈夫なようですが、それもいつまで保つやら(号泣)

というわけで。

ワタクシ大好き『大鏡』でございます。

■角川ソフィア文庫
■ビギナーズ・クラシックス日本の古典シリーズ
■武田友宏編
■800円+tax

190歳の大宅世継と、180歳の夏山繁樹という超高齢のじいさんふたりの世間話が綴られる歴史物語です。兼家パパや、道隆さま♡、道兼どんなど、大河ドラマ『光る君へ』に出てくる人物もたくさん出て来ます。

わりと言いたい放題な感じですし、話し言葉で書かれていますので、古文のなかではかなり読みやすい方だと思います。よろしければ、花山天皇の出家の場面だけでも読んでおくと、後々「あぁ…」となること請け合いです。

『大鏡』についての詳しい紹介はコチラの記事にあります。

・ ・ ・

大河ドラマ『光る君へ』は摂関政治時代のお話ですから、「天皇」という存在が重要なカギを握ります。ですから、お話のなかでも何人もの天皇が出て来ます。

今はまだ円融天皇、花山天皇だけですが、道長の時代を描くのであれば、これから一条天皇、三条天皇、後一条天皇が即位し、退位していきます。

ですが、これらの天皇について、私たちは日本史の教科書で名前を教えられるくらいで、どのような事蹟があるのかとか、どのような人物だったのかなど、それぞれの天皇について、詳しく知る機会はなかなかありません。

そこで参考になるのがこちらの本です。

■樋口健太郎、栗山圭子編
■戎光祥出版
■2800円+tax
■2023年11月

平安京遷都を行なった桓武天皇から、波の向こうにある都へ向かった安徳天皇まで、平安時代に即位した32人の天皇一人ひとりについて、史実をもとに解説された本です。こう書くと敷居が高そうに見えますが、とても読みやすい本でした。

また、この本について、こちらの記事で詳しく紹介しています。

たいがい、書店の日本史(古代史)の棚に差してあります。名前だけしか知らなかった天皇について、さらりと読んでみると、いろいろ面白い発見があり、とてもおすすめです。

・ ・ ・

気が付いたら、もう第9話。あっという間にここまでお話が進んできました。

毎回、名前も知らなかった貴族たちや、歴史に名を残すことのなかった庶民たちの生活や感情が丁寧に描かれ、平安時代がどんどん身近に感じられるのがとても興味深く、楽しかったりもします。

もちろん、これからどんどんお話は闇った方向へ進んでいくことも知ってはいますが。それでも。その中で強くしたたかに生き抜いていく彼らの在り様をしっかり胸に焼き付けたいと思います。

今週もまたご一緒に楽しめたら幸せです。
んじゃ、また。


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