エリンギ

南房総のとある町出身、文学部を卒業し、東京のはずれで働いています/第一子育休中/文芸雑…

エリンギ

南房総のとある町出身、文学部を卒業し、東京のはずれで働いています/第一子育休中/文芸雑誌『トルソー』

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    読んだ本の感想など,もろもろのこと。

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    建築物を見るのが楽しくなってきたので、その記事まとめ。

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    映画の感想です。

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    わたし自身をあらわすモノゴトについての文章

最近の記事

ドラマで見た結婚後の姓の話

2023年10月期のドラマ「いちばんすきな花」が本当に好きだった。嫌いなところが見当たらないくらい、好きだった。 最終話で印象的だったのが“むらさきちゃん”こと村山咲の登場シーン。結婚後の姓にまつわる会話で「旦那にこっちの名字になってもらったの。女が名字変えなきゃいけないとか納得いかなくて」との台詞があった。 はじめから理解ある相手だったわけではなく、パートナー間で真剣な話し合いが行われ「勝ち取った」結果だということ。そういう描き方は、今の日本社会に生きる、本当は結婚しても

    • おっぱい(授乳)の話

      娘が生後5ヶ月を1週間ほど過ぎたある日、離乳食を開始した。 2ヶ月のときから、(起きていれば)大人がごはんを食べる時にバウンサーに乗ってもらうなどして食卓の輪に加わってもらっていた。わたしたちが食べるのをじっと見たり、お皿やカップなどに手を伸ばしてきたりと、興味は十分そうに見えた。はじめは裏ごしした10倍がゆをひと匙飲み込むところからのスタートだ。 母乳はいつまでも栄養満点というわけではなく、だから食べ物から栄養をとる必要があるんだということをわたしは分かっていなかった。特

      • 夫の育休が終わる

        明日で夫の育休が終わる。 育児休業給付金の支給額は、180日目までが給与の67%、181日目以降は50%になる。180日間休業することに決めた夫、明日が180日目ってわけだ。 いま、ややこは6ヶ月。 わたしの具合はというと、朝方破水して、午後2時半前にはもう生まれてましたというスピード出産だったためか、産後のダメージは少なめだったように思う。 ひどかった尿漏れもいつの間にかおさまり、産後3ヶ月頃から始まった激しい抜け毛もだいぶ落ち着き、生え際でピョンピョン飛び出した髪の毛が

        • どんないろがすき

          もうすぐ生後4ヶ月を迎えるややことのコミュニケーションのいち方法として、早くも?絵本を使っている。 だいたい10ヶ月頃になると、絵本の世界に入っていけるようになるとのことだけど、わたし自身が絵本を読みたいので付き合ってもらっているというわけだ。 自分が趣味で集めてきた絵本のほか、出産祝いの贈り物、読まなくなったからと妹から譲り受けたものがあったが、そりゃあまぁ自分でも新しく買い足したいじゃないですか。 手始めに「0才0ヶ月から」という衝撃のポップを店頭で見かけて『しましま

        ドラマで見た結婚後の姓の話

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        記事

          続・生まれ、産んだ。

          初産にもかかわらずすごいスピードで出産を終えて、わたしは引き続きの処置を受けている。赤ちゃんが出てきたあとには胎盤が出てくるのだ。 夫の立ち会いのほか「写真や動画を撮りたい」などとバースプランにはいろいろ書いていたのだが、夫の立ち会いがギリギリ間に合わなかったから自分で動画を撮った。 メタデータを見ると出生時刻の2分後になっている。動画には胎脂を拭いてもらったり、チューブを口に突っ込まれて羊水を吐き出させてもらったりしている姿がおさまっている。撮った自分グッジョブ。 泣き

          続・生まれ、産んだ。

          生まれ、産んだ。

          まだ時々信じられないような気持ちになることがあるけど、赤ちゃんが生まれた。わたしが産んだのだ。 出産予定日は明日、7月21日。そのちょうど2週間前、7月7日のこと。 おなかは張り詰めていてこれ以上大きくなれないくらい大きくて、いけないなと思いつつも腰を反り気味でのっしのっし歩くようになっていた。 家の中でも比較的涼しい台所で、朝食のトーストをかじった流れのまま本を読み、オンラインで友人と語り合い、洗い物や洗濯をしたり、隣に住む妹や甥っ子姪っ子と遊んだり、夫と通話したり、暇な

          生まれ、産んだ。

          CREA vol.376 「母の娘だった私が、母になるとき。母って何?」

          先日syuさん、COTAさんと話をしたときに、syuさんが「読みました?」と言って教えてくれた雑誌を買った。 いろんな人のインタビューや対談を読みながら、共感したりしなかったりがあった。自分の感想をまじえながら、メモを残しておきたい。 イモトアヤコ わかる。母になるからといって、それまでの自分を構成していた属性(というのかな?)に変化が加わることはあっても捨てる必要はないし、捨てることを他人から強要される筋合いもない。新しい属性、ラベル、キャラクター、そういうのが加わる

          CREA vol.376 「母の娘だった私が、母になるとき。母って何?」

          わたしの2023年〜1月から6月〜

          わたしは過ぎるとなんでも忘れるタイプなので、この半年の出来事を振り返っておこうと思う。 1月 元日は私たちの結婚記念日その1(結婚届を役所に提出した日)。私は一足先に帰省しており、大晦日から夫が合流。 観光業の父は例年元日も仕事、医療関係の母も今年は正月出勤の当番とのことで、家に二人でいてもやることがないから散歩に出た。ファミレスに行ったらいかにもな家族連れだらけで、夫が「輩(やから)ばっかり」と嬉しそうにしていた。確かに我々がいちばん浮いてたかもしれない。 2日、母の

          わたしの2023年〜1月から6月〜

          TAKRAM RADIO|Vol.190 言葉との距離感〜表現芸術と死の準備

          6月29日深夜の放送、トークセッションは前回からの続きで鴻巣友季子さんがゲスト。わたしにとって大切なテーマなので、前編に引き続きnoteする。 ネガティブ・ケイパビリティの話からスタート。 「不自由さ」についての話だと捉えた康太郎さん、鴻巣さんに「それとどう向き合っていますか」と投げかける。 翻訳の仕事は立ち止まると先に進めないため、答えを出さないままで先に行く。小説はロジカルなのでそれがあまり起こらないけれど、たとえばアマンダ・ゴーマンの詩を訳すときなど。 解決方法の

          TAKRAM RADIO|Vol.190 言葉との距離感〜表現芸術と死の準備

          37wに突入。妊婦生活もラストスパート

          37週に入り、これ以降は正期産。ここまで長いようで短かったような、短いようで長かったような、なんとも感慨深い気持ち。 36週の妊婦検診ではエコーと内診、血液検査とおりもの検査があった。ややこの大きさは推定2600g。だいぶ大きくなった。内診では子宮口1センチ。やや貧血気味のため鉄剤を処方された。ディアナチュラの葉酸・鉄・カルシウムサプリだけではダメだったらしい。数値的には、生理中の貧血状態程度とのことだったのでそこまでひどくはない。お産で大量に血が出るので解消しておきたいで

          37wに突入。妊婦生活もラストスパート

          岡真理 アラブ、祈りとしての文学(ブックリスト)

          明治大学文学部に英作家作品研究という授業があった。T. E. ロレンス(いわゆるアラビアのロレンス)の研究をしてきた塚田先生が担当されていて、当時から本書の内容も取り上げられていたのだが、ずっと読む機会を持てずにいた。 昨年の夏だった。友人と、タイ料理を食べたあと「プアン」というタイ映画を観る約束をしていた。その前に本を物色したかったので待ち合わせは新宿の紀伊国屋書店にしてもらった。 紀伊國屋に行くのは久しぶりだった。というか、新宿に行くこと自体が久しぶりだった。二階の窓側

          岡真理 アラブ、祈りとしての文学(ブックリスト)

          御茶ノ水・神保町ラスト散歩

          私は学部生時代の後半だった2010〜2011年を御茶ノ水・神保町で過ごした。早いもので、もう10年以上が経っている。 大学生だった当時は、今するような神保町の過ごし方はしていない。友達と一緒なら大学のラウンジでお金を使わないで何時間も過ごせたし、口にするものなんてなんでもよかった。 たまにはカレーランチをするとか、老舗の喫茶店でお茶するとか、大学の先生にくっついて山の上ホテルでランチをご馳走になるとか、先生行きつけのバーでお酒を飲ませてもらうとか、そんなことはあったが、あの

          御茶ノ水・神保町ラスト散歩

          TAKRAM RADIO|Vol.189 「聖と俗」の言葉〜詩と小説と翻訳を考える

          6月22日の深夜に放送された「TAKRAM RADIO」のトークセッションパート、ゲストは文芸評論家・翻訳家の鴻巣友季子さんだった。テーマは「『聖と俗』の言葉〜詩と小説と翻訳を考える」。 鴻巣友季子さんの仕事 冒頭、翻訳の効果が語られる。翻訳することで、その作品の本質があぶり出される。たとえば、エミリー・ブロンテ「嵐が丘」のヒースクリフの性格。恋愛の場面において、日本の男性が口数少ななのに対して「イギリスの男性はずーっとしゃべっている」。イギリスと日本の恋愛観の差異があぶ

          TAKRAM RADIO|Vol.189 「聖と俗」の言葉〜詩と小説と翻訳を考える

          だれかと話すと思考が進む

          先日、COTAさんの取り計らいで初対面のsyuさんとフリートークをした。syuさんはとりわけジェンダーにまつわる問題意識をもっていて、これから自分がどうやって外に向けての発信をしようかというステージで模索中だとのことだった。 三人で話しているあいだ「社会課題にどうやって取り組むか」という言葉がsyuさんの口から何度も発せられた。あれもこれも気になるけど、手を広げすぎると中途半端に終わってしまう恐れがあるので、やっぱり何かひとつこれといったテーマを定めて取り組むのがよいのでは

          だれかと話すと思考が進む

          今日から妊娠35w

          先週、はじめて里帰り先の病院で妊婦検診を受けてきた。予約は土曜の朝に入っていたので、夫が金曜に有休を取ってくれて一緒に帰省した。「一人でも帰れるよ」と言ったのだが、心配だし自分も話を聞きたいからついて行くと言ってくれた。 子どもの頃から使っている診察券には旧姓が登録されている。まずは総合受付で診察券を再発行してもらう。それから自動受付機で受診科にチェックインして、母子手帳と紹介状を提出。尿検査、体重と血圧の測定をしたあと、問診表を記入。待合スペースはひっそりとしている。そう

          今日から妊娠35w

          「子供産まなくてよかったです、マジで」について

          ある日ツイッターのタイムラインに現れた「子供産まなくてよかったです、マジで」というはてなブログの記事。何度かスルーしたけれど、何度目かで気になったので読んだ。それで自分が思ったことをつれづれに記録してみようと思う。 わたしは不妊治療クリニック通院を経て妊娠、来月には出産する予定。だから書き手の人とは状況が異なっているわけだけど、かといって「子供産まなくてよかったです、マジで」と自分自身が心底思っている未来も全然ありえたと思うし、この人がブログで表明している意見についてもほと

          「子供産まなくてよかったです、マジで」について