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鎌倉 男ひとり ⑥古き良き奈可川
路地裏のしげじに対して、もう一店の奈可川は小町通りに面したかれこれ開店から半世紀になろうという老舗。女将の話を聴くのが楽しい店だ。
もともと私がこの店に興味を持ったのは、新潮社の伝説的編集者斎藤十一氏が贔屓にしたときいてのこと。斎藤氏についてはしげじでも話にでることがあったが、ここ奈可川はいわゆる鎌倉文士との縁が深く、それは懐かしそうに女将が小林秀雄氏や永井龍男氏の思い出を語ってくれるのだった
鎌倉 男ひとり ⑤路地裏のしげじ
そろそろ酒場の話をしよう。先に書いた「外食は週2回」の決め事も気に入った二軒の酒亭に通うことを前提にした話。そもそも鎌倉で暮らしたいと思った最大の理由は好きな店に気軽に飲みに行きたいから、というのが本音なのだ。
まずは小町通リの裏道にあるしげじ。今はない鎌倉の古い料理屋の小町通り支店を任されていた板さんが独立して始めた店。店名はその大将の名前に由来する。
私が初めて飲みに入ったのはまだその「
鎌倉 男ひとり ④パンとコロッケ
大町の寺巡りをしていてよかったのは、なんといってもその静かなことだった。
境内に誰もいないことなど珍しくもなかったし、他に人がいてもせいぜい2~3人。とにかく観光客が少ないのだ。
寺に限ったことではない。要するに町なかに人が少ないのである。バス通りの交通量は決して少ないほうではないと思うのだが、行きかう人の数は多くない。つまりは店の数が少ない、ということだ。飲食店や土産物屋が軒を並べる小町通り
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鎌倉 男 ひとり ①鎌倉に住む
昨年(2023年)春、三月の半ばから一か月余りを鎌倉で過ごした。駅からさほど遠くない大町の一隅に部屋を借り一人暮らしをしたのである。
なぜそんなことを、といわれれば、鎌倉が好きだから、としかいいようがない。好きな町で暮らしてみたいと、いたって単純な理由なのである。
東京育ちのご多分にもれず最初の鎌倉体験は小学校の遠足である。古いアルバムを開いてみると1960(昭和35)年の5月、江の島まで足