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鉄道の話

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鉄道(車両・設備)について、マニアックな話を書きます。
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#蒸気機関車

イギリス鉄道史家が見た日本の鉄道

イギリス鉄道史家が見た日本の鉄道

O. S. Nockの鉄道本Oswald Stevens Nock(オズワルド・スティーヴンズ・ノック、以後O.S.ノック)(イギリス 1905-1994)という人物は、日本における知名度は皆無に等しい。
しかし、英語圏の鉄道界では名の知られた人物であるらしい。

彼の本職は鉄道信号の技術者であり、そちらでも一定の功績を挙げたようだが、より有名なのは鉄道史の研究者としてである。
彼が執筆した鉄道史

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蒸気機関車のカタログスペックと実用性について

蒸気機関車のカタログスペックと実用性について

蒸気機関車を評価するための基準として、いろいろな数値が引き合いに出される。

全長は○○m
重量は○○t
出力は○○馬力
最高速度は○○km/h
…などだ。

だが、これらの数値の大小をもって機関車の性能を比較するのは、必ずしも適切であるとはいえない。
これらの数値は、機関車の実際の運用、すなわち、営業列車を牽引するときとはかけ離れた条件で測定されているからである。

最高速度は、客車はまったく連

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現実的に架空蒸気機関車!仮称D53(基本編)

現実的に架空蒸気機関車!仮称D53(基本編)

はじめに前回の記事「巨大蒸気機関車は永遠のロマン」でも言及したが、蒸気機関車は、諸外国との格差が大きい分野である。諸外国の蒸気機関車は、日本のものよりずっと高性能なのだ。

前回の記事はこちら↓

これは蒸気機関車製造当時の日本の工業技術力が低かったことと、日本の鉄道の設備が貧弱であったことが原因である。
設備の質とは、例えば軌間のような、特定の設備で測れるものではない。軌道・駅・操車場などの鉄道

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現実的に架空蒸気機関車!仮称D53(改善編)

現実的に架空蒸気機関車!仮称D53(改善編)

以前書いた「D53形」の記事であるが、その後設計に問題があることに気づいたので、「D53基本編」と「D53運用編」の間に挟む記事として、「改善編」を書くことにした。

基本編はこちら↓

致命的な問題私には絵心というものはまったくないのであるが、D53はどんな見た目をしているのだろうかと気になったので、簡単な絵を描いてみた。
すると、数字を見ていただけではわからなかった致命的な問題があることが発覚

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機関車の性能を考えてみる : DD51(前編)

機関車の性能を考えてみる : DD51(前編)

はじめに

これまで私は、鉄道に関する記事を3本投稿している。
これらの記事は、いままで私がnoteに書いた中では一番読まれているシリーズなのだが、鉄道研究は上には上がいて、そのさらに上がいるような業界であるので、同じ土俵で勝負したところで私のような工学素人には太刀打ちできないだろう。
だから私は、高度な技術論ではなく、鉄道の技術的な話題について、あまり詳しくない人にもわかりやすく説明することを目

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現実的に架空蒸気機関車!仮称D53(運用編)

現実的に架空蒸気機関車!仮称D53(運用編)

前回までの基本編・改善編が未読の方はこちら↓

前回までの記事で、架空蒸気機関車「D53」の要目について設定した。今回は実際にD53が製造されていたとしたら、どのような活躍ができたのかを考えていこうと思う。

設定投入路線の選定「鉄道辞典」上巻950ページ添付資料に、1958年時点での線路種別(路線のランク)を示した地図があるので、これを参考に投入路線を決めることとした。
「鉄道辞典」はインターネ

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巨大蒸気機関車は永遠のロマン!どうすればD52を超えられたのか考えてみた

巨大蒸気機関車は永遠のロマン!どうすればD52を超えられたのか考えてみた

はじめに
私は機関車が好きだ。
機関車牽引の旅客列車が日本ではほぼ消滅した現在、機関車の活躍を存分に見られるのは貨物列車だから、貨物列車が好きだ。
重厚な機関車が貨物を満載した貨車を連ねて疾走する姿には、電車や気動車にない迫力がある。
電気機関車もよいが、外からエネルギーの供給を受けず、完全に自分自身の力で走る蒸気機関車とディーゼル機関車はもっと好きだ。

ここ数年、蒸気機関車の構造面に興味を持ち

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