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毎日読書メモ(88)「少女を埋める」(桜庭一樹)

大昔、Twitterのアカウントを取った頃、特に何かがしたい、とか何の情報が欲しいとかいうこともなく、当時からアカウントを持っていた小説家を探してはフォローしていた。その中に桜庭一樹もいた。

桜庭一樹の小説は結構読んだけれど、一番好きなのは『赤朽葉家の伝説』(東京創元社、のち創元推理文庫)かな。その濃厚な物語の舞台は彼女の故郷でもある鳥取県西部をモデルとしている。

アカウントは持っていても、普段はTwitterでつぶやくことは殆どなく、noteに投稿した時にそのことを書く程度だ。投稿した時に前後のツイートを読む程度でフォローしている人のツイート全部なんて見ていない。

ところが、Twitter開いた時にたまたまた桜庭一樹のツイートが見えて、そこから、今週の朝日新聞に鴻巣友季子が書いた文芸時評に自作「少女を埋める」(「文學界」9月号)が取り上げられていた、その梗概に誤りがあることについて縷々語っていたのを一通り読むこととなった。その文芸時評は既に読んでいて、桜庭一樹の新作が出ているんだな、とそれで認識したのだが、その梗概の誤りにより、桜庭一樹はどれだけ困るかがツイートされている。一旦発表された作品は作者の手を離れ、どのように論じられるかを管理することは出来ないということは認識した上で、多くの読者を抱える全国紙で、モデルがはっきりわかる私小説の登場人物について、誤解を与える解釈をそのまま放置されることにより作者自身及び身内が被害を受けることから、訂正文を出してほしい、と桜庭一樹は書いている。

いや、ちょっと違うな、桜庭一樹のツイートには、

問題としているのは「評者が読み解いた解釈を、テキストにそう書かれていたかのようにあらすじ説明として断言して書いた」ことであり、それ以外の部分(読者それぞれの自由であるはずの作品への解釈など)に論点がずれないようにと危惧しています。

とある。鴻巣友季子の文芸時評は、ヤングケアラーの話から始まり、介護をテーマとした幾つかの作品が取り上げられている中に「少女を埋める」も含まれており、この小説の中で老々介護に伴う虐待があった、と、断言してしまっている。この文芸時評を読む限り、小説の中に介護に伴う虐待があった、と読者は判断するだろうが、そのような描写は全くないと作者は言っている。

評者がこう感じた、このように解釈した、ということがはっきりしていればいいのだが、そうはなっていない、ということについて、桜庭一樹と鴻巣友季子はTwitter上で論じあっているが、結局平行線で終わっている。朝日新聞がどう対処するか、明日以降ウォッチだ。

一方、作品を読んでほしい、ということで、桜庭一樹は「少女を埋める」の前半をnoteに転載している。とりあえず読んだ。ここまでではまだ何もわからない。明日、本屋に行って「文學界」買ってきて、読んでから、わたし自身の感想を書く。

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