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遠藤良二の短編小説集

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短編小説「森の中にいた異能者との出逢い」「初恋」「抱擁」「嘘」「未来」「俺と彼女の行く末」「生と死」「嫉妬」「欲望と病魔」「憎悪、そして……」「劣等感と生きるためのヒント」「夢」…
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2022年10月の記事一覧

僕らの日常

僕らの日常

 俺は今日、彼女が出来た。俺の名前は神垣順二、34歳。彼女の名前は前島道子、32歳。

 俺の職業は、大型トラックの運転手。21歳で大型免許を取得した。主に、冷凍したマグロ等の魚を運搬している。

 

 彼女の道子の職業はサラブレットを扱う牧場に勤めている。もともと道子は東京に住んでいた。でも、馬が大好きで北海道にやってきた。中学を卒業して住み込みで牧場で働いている。

 道子と知り合ったきっか

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希死念慮と生きるという気持ち

希死念慮と生きるという気持ち

 私は死のうと思っている。いつとは決めてないけど練炭自殺か、車の排気ガスを車内に入れて死ぬか。それとも、薬物を大量に飲むか、最悪、飛び降り自殺か……。どうしてそんなことをしようかと思っているかというと、人生に嫌気がさした。そもそも、生きる意味を見いだせていない。四十二歳にもなっても。趣味もないし、彼氏もいないし。勿論、独身で子どももいない。

 父は事故死をしており、母は病死した。私は一人っ子だか

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嘘つき

嘘つき

「嘘だけは嫌!」

僕は彼女を裏切ってしまった。
交際中の神田雅という二十六歳の女性を。
僕は城田功といい、二十八歳。
他に好きな人ができて、その子と会っていた。
雅には仕事と言ってあったが、街の中でその子と歩いているのを見られ問い詰められた。
「一緒にいたあの子、誰?」
「友達だよ」
僕は焦っている。
嘘がバレたら最悪な結果になることを。
「仕事って言ってたじゃん! 何でその子と会ってるわけ?」

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