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とりとめのない感想文

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本が中心になるとは思います。
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#大江健三郎

個人的な体験/大江健三郎(3)

個人的な体験/大江健三郎(3)

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読み終わりました。

この小説のプロットとかテーマとかについて私に語れることはほとんどありません。
だって私は子どもを産んだことも産ませたこともないし、その子どもが脳に異常を抱えていたなんて経験ももちろんないし、ていうかまだ独身だし。玉山鉄二ください。

だからなんというか、妻やその義両親との関係性に悩んだり、子どものために夢を諦めなければならないと落胆したり、異常のある

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個人的な経験/大江健三郎(2)

個人的な経験/大江健三郎(2)

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主人公のバードは、アフリカ旅行を夢見ていた。けれども赤ん坊ができたのでそれを諦めかけていた。
けれども。
生まれてみるとその赤ん坊は脳ヘルニアだった。
脳みそが飛び出ていて、ちょうど頭がふたつあるように見える、らしい。

なかなか大変そうだなあなんて思っている暇もなく、医者や看護婦(古い本なので婦という表記)はバードを嘲笑する。可哀想とか大変そうとかではなく、あんな子どもを

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個人的な経験/大江健三郎(1)

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まだ読みかけなんですけど、とりあえず書いてみようと思います。

今は主人公のバードが火見子の部屋でウイスキーを流し込んでいるあたりです。
そこで火見子は「多元的な世界」について語る。
ーー人は生きるか死ぬかの経験をしたとき、今生きていると認識している自分とは別に、死んだ方の自分もまたいて、その死んだ自分をとりまく世界も存在して、そんな、死んだ世界も並行して進んでいっていてー

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