見出し画像

ヴィクトリア、手放した本たちのこと。


夜明け前、寒くて目が覚める。
少し開けた窓から入る空気が冷たくて、あわてて閉めた。

ほら、朝はやっぱり秋の空でしょう?
うろこのような雲が、青空を高い位置に押し上げている。
それなのに、気付けば形は失われて、重く厚い雲に変わっている。


少し車を走らせると、田んぼのある景色は緑から黄色へと変わり、ひわまり畑のひまわりは、全員そろって足元を見ていた。
その光景がどうにも人のように見えて少し可笑しく、思わず、お疲れさまです、という気持ちになってしまう。



今日は久しぶりに、近くのコーヒー屋さんへ行きました。
以前いっしょに働いていた女の子がこの店でアルバイトをしていたのだけど、少し前にやめた、と店主から聞く。

置きみやげ、彼女が考案した夏のケーキです、ということで、ヴィクトリアケーキをいただく。
それに合わせて、コーヒーはおすすめのケニアにした。
紅茶が好きだって聞きました、これはティーライクな風味かも、と。

仕事柄、コーヒーの銘柄とかとかお菓子との相性とかある程度わかっているつもりなので、逆に他の店で聞きづらい。
本当は聞きたいのだけれど、なんだかロールプレイングをしているみたいで、うまく聞けない。(自意識過剰…。)
あとから一人で来た女の人がいろいろ質問していて、こっそり聞き耳を立てながら、自分ならどう答えるか、また勝手に考えてしまった。(職業病…。)

ヴィクトリアケーキには、パイナップルのジャムが挟んであって、じゅわっと冷たく爽やかだった。
ケニアも、予想通りすっぱいのだけれど、あぁ美味しい酸味とはこれ、と思える味わいでうれしくなる。



今日のおともは、江國さん。


ヴィクトリア…。

以前持っていたお菓子作りの本にのっていたな、と思い出す。
でも、今はもう手元にない。
ほとんどもうその本の中のケーキは作らないから、と、確かそう思ってずいぶん前に処分したっけ。


実は少し前、同じように、クッキーの本のことも思い出していた。

&Premium9月号「暮らしの本。」の中で、料理家の飛田和緒さんが紹介している、クッキーの本。
お菓子づくりに対する長年の苦手意識を解消してくれた画期的な一冊、だそう。

あ、これ持ってた!
と懐かしく思ったのと同時に、あぁもう手元にはない、と残念な気持ちになった。

考え出すとキリがない。

小学校のときにお小遣いで買って、繰り返し繰り返し読んだ、non・noのお菓子作りの大百科。
実用的すぎてバレバレだった、サンタさんからのプレゼント、お菓子作り入門。

一人暮らしを始めてからも、密かにパティシエに憧れ続けて買った、専門書のようなケーキの本の数々…。


実際作らないし、もう必要ない…といつかのタイミングでごっそり処分してしまった。

懐かしい、もう一度見たい、と思っても、なかなか正確なタイトルを思い出せなかったりする。
実用書は、文芸書と違って、今は手に入らないものも多いんだな、と検索してみて気付く。


こうなると、本の断捨離ってやっぱり難しいなぁ、と考えてしまいますね…。




と、………あぁ、また。

今日も、書こうと思っていた本のことには一切触れないまま、ヴィクトリアケーキからこんなところまで来てしまっている、、
ま、いっか、、笑
思うままに書いていると、思考はあちこちに散らばって、いつもこうなる。


美味しかったよ。
と、ケーキを考案した彼女には写真を送っておきました。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?