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一人旅で宮古島に行ってきた話


奄美大島のちょっと苦い思い出

昨年は二回、奄美大島を訪れた。かつての恩師から「とてもよかった」とお勧めされて気になっていたからである。「せっかくなら綺麗な海に潜ってみたい!」そう思ってスキンダイビングツアーに参加したものの、耳抜きなどのスキルが皆無なので、水面に浮くしかなかったのであった(無謀)。サンゴや魚が水深2m以上~群をなしているが、あまりにも遠く感じる。戯れるとかできない。しかも、普通に波が高くて、海がちょっと怖かった。島の落ち着いた雰囲気が大好きだけれど、その一点だけやりきれなかった・・・!

あれから一年。ダイビングショップで「スキンダイビング」のライセンスを取得した上で、宮古島のスキンダイビングツアーを2本申し込んでみた。要すればリベンジである。短文でまとめたが、スポーツと解釈していただきたい。宮古島にいたるまでの準備であった。座学90分・プール講習3時間×3回(本当は1回でいいらしいが不安過ぎて追加で2回受けた)・海洋講習1日でライセンスが取れる。繰り返すが、内容が明らかにスポーツなので、多少体力はいる。スキューバダイビングは目玉が飛び出るほど器材が高額だが、スキンダイビングは身に着けるものが少ないので、安価なのが救いだった・・・!

謎の暗号

宮古島は傾斜が殆どない平らな島だ。山も川もなく、海のアクティビティがメインである。高級ホテルからビジネスホテル、民宿が立ち並ぶ、観光に特化した島のようだ。観光客を”理解ってる”感覚がした。過ごしやすそう。島の一周は車で4時間程度。私はタクシーで行くことになる・・・

台風が少ない時期をにらみ、5月末に宮古島に行ってみることにした。ガイドさんがマンツーマンで泳いで写真を撮ってくれるプランを申し込むと、早速ガイドさんからメッセージが送られてきた。



集合場所:サバウツガー










どこ?!






絶対誰もいない

「サバウツガー」って呪文みたいな場所送られてきた。
外国語???
宮古列島の中に、伊良部島がある。伊良部大橋が2015年に開通してから観光客で賑わっているようだ。どうやらそこのビーチ・・・断崖絶壁を指定されている。ガイドブックに一切載っていないので、超心配である。こんなところに辿りつけるのであろうか。

荷川取牧場(にかどりぼくじょう)

1日目

波が高いとのことでスキンダイビングの日程が翌日振替となった。
海以外も観光場所があればと思って、行く前から気になっていたのが荷川取牧場。希少な宮古馬を育てている牧場だ。日本の在来馬は8種いて、そのうちの一つらしい。沖縄の天然記念物になっている。タクシーから降りると目に飛び込んできたのは・・・


宮古馬

馬たち全員と目が合った。とても優しい目をしている・・・!かわいい!ポニーみたいだけれど、頭までの高さは175㎝くらいかな?牧場には点々とサトウキビの断片が散らばっていた。誰もいないので柵から見守っていると、柵の外に落ちたサトウキビを拾おうと馬がのしのしと近づいてきた。

煙草くわえてる感じで様になっている

落ちていたのをわたすと、ガリッ!モシャッ!という激しすぎるASMRが響き渡った。鼻筋を撫でると、とてもあたたかかった。動きもゆっくりとしていて、温厚である。他の馬までどんどん押し寄せてきて、行列みたいなことに。私は柵の外に飛び出した草やサトウキビを渡す召使になった。観光客は私しかいないようである。牧場は車道に面しているので、レンタカーだったら車道に止めるしかなさそう。

しゃがんで草を集めていたら、頭にざらついた感触があり、見上げると馬がじっとこちらを見ていた。食べられると思ったのか、私のお団子頭をれろんと舐められた。





えっ今


なめてないみたいな顔してるけど・・・


癒される 

このまま柵外から1時間以上ぼーっと見ていた。ずっといられる。さすがにタクシーを呼ぼうかな。迷っていたとき、奥の方へ進むと、牧場の方がお出でになられた。

「観光客の方ですか」
「はい!営業時間とかって・・・あるんですか?」
「ここは個人でやっている牧場で、観光牧場ではないんですよ。宮古島から委託を受けてやっています」
宮古馬は一時期馬数が減ったが今は少しずつ増えているとネットに書いてある。馬の募金箱に心ばかりの募金をさせていただいた。私は大井競馬場の競走馬しか知らないので、本来のストレスフリーな馬の姿に感銘を受けた。気性の荒い馬はいなさそうである。たてがみがぱっつんに切りそろえられていたり、つやつやのキューティクルに仕上げられている訳でもない。無理のない環境で、本来の姿で、生きてさえいてくれれば嬉しい、そんな愛情が込められていることが伝わってくる。

親子

今年の3月に生まれた小馬

ふわふわ

小馬だけテディベアみたいなふわふわの毛が全身に生えている。とてもかわいかった。

みんなで移動

長居したおかげで、運よくご飯の時間に立ち会えることに。

ここは宮古島に来たらまた行きたい!

中の島海岸

2日目

ここからはスキンダイビングツアーに。
1本目のスキンダイビングツアーで指定されたのは「中の島海岸」。タクシーで伝えると、運転手のおじさんは「中の島海岸」をGoogleマップで検索を始めた。私が宮古島で3回目に乗った、こちらのタクシーの運転手さんは、1カ月前に移住したばかりだという。観光客の気持ちがわかる方だった・・・!

どこですかね?と二人で言いながら海岸に向かっていく。この方が大変感覚の合う方で、以後何回もリピートした。ビーチに御手洗がないらしいんですよ、と伝えると「それは作ってほしいですよね」という感想とか。行く前に済ませてくださいとはいえ、到着まで25分かかって、そこからツアーで2時間くらいお手洗いに行けないのはなかなかに厳しい。結論、海ですればいいということらしいが・・・島の人の感覚なのだろうけれど。

約束の10分前に海岸に到着したら、路駐の車が数多く並んでいるものの、それらしきガイドさんは不在だった。ついに約束の時間を過ぎても、現れなかったので、え?これが島時間なの?という話題になり、タクシー運転手さんが気を遣ってくださって「僕探してきます!」と言って暑い中外へ出た。しばらくすると「ガイドさんいました!」と言って走って戻ってきた。

運転手さんは「なんか、先に来てたのに向こうも着いてたらしくて、遅れたみたいな感じになっちゃいますね」と言う。
「そうですね・・・私が弁解します」私はリュックを持って外に出た。

歩いてきたガイドさんは、快活そうな好青年という言葉がぴったりな見た目で「よろしくお願いします!」と挨拶してくれた。



運転手さんは「イケメンじゃないですかあ!!」と倒れそうになりながら叫んだ。



水深4m
水温28.8℃
サンゴの迫力

メロンパンみたいなのは100年物のサンゴらしい。一年に数ミリしか伸びないのだそう。

至近距離で見るとイガグリみたいに尖っている
素晴らしい透明度

こんな風に水の中が楽しめて本当によかった・・・!練習してよかった・・・!そりゃ急にはできないよ・・・泣
美しい世界が織りなされていて、水槽で見るような熱帯魚が、顔めがけてぐんぐん泳いでくる。両手のひらで包めそうな程近い距離に小さなカラフルな魚がいて、身も心も癒された。

ゴーグルが曇ってきたとガイドさんに伝えたら、


「くもり止めの葉っぱ使いますね!」



そう言って、私のゴーグルを受け取ると、さっき砂浜で適当にむしった雑草みたいなものを擦りはじめた。



えっ




緑の汁でてるんだが




「漁師さんに教えてもらったんですよ。この葉っぱでゴーグルをこすると、くもり止めの代わりになるって。なんですかね?コロナの後に教わったんですけど、漁師の知恵っす」



まじかよ


どんな知恵

てかなぜ漁師が?


衝撃的である。信じ難い事実なのだが、葉っぱは市販のメガネ用曇り止めジェルを凌駕する効果を発揮した。このあと一切くもらなかったから笑う。成分謎すぎるだろ。商品化してほしい。

ちなみに御手洗いは車で3分もかかるところにあった。ダッシュした。

サバウツガー

朝から例のタクシー運転手さんに案内を頼む。やっぱり「どこですかね?」と二人で繰り返しながら向かう。また御手洗いないらしいです、と伝えると「えーっまたですか!本当に観光客にとっては簡易トイレでもあるといいんですけどね・・・」というやり取り。宮古島の土地勘、同じレベルでわらう。でも、そのおかげで、見知らぬ土地でも心理的なハードルがなくなってリラックスできた。

「週に2回、コンテナ船で生活用品とか食べ物が運ばれてくるんです。豪華客船で中国人がやってきて、爆買いしていました」
「食べ物に油ものが多い」これには納得した。スーパーに野菜がない。ファミマにはあったけれど。
「ほとんどの人が兼業で、サトウキビを育てたりしている」車内でそんな話をした。

伊良部大橋の中間地点で写真を撮る。途中の道では運転手さんも写真を撮ったりしていた。
私が「初めての方ですか?」と聞くと
「はい」と真顔で運転手さんが答えたのがなんだか面白かった。

サバウツガーに到着すると、断崖絶壁であった。駐車場に昨日とは別の明るいガイドさんがいる。たぶん同い年くらいだった。

サバウツガー


サバウツガーの「ガー」は井戸という意味らしい。昔は生活用水をここにくみにきていたことから、この地名になった。それでもサバウツは・・・不明。
崖沿いにある、不揃いな石階段を100段ほど降りると、岩場にザバーンと白波が打ち付けている。階段の傾斜が明らかに過酷である。「これ、スキンダイビングツアーの方みんなやってるんですか?!」と尋ねると、「泳いだ後、階段でバテて死ぬので、年配の人は連れて行かないです」と笑った。明らかに人によって場所を変えている。



「ちょっと、くもり止めの葉っぱ採ってきますね!」



また?!


この人も?!
もはやオフィシャルな素材となりつつある葉っぱ。私だけが神妙な顔になっている。2回目は「そうですか」と驚かなかった。
誰か葉っぱが何なのか教えてほしい。


今回は水深15mくらいで、かなり深い。ハイライトは高級魚のロウニンアジとの出会いであった。

水深9.3m
水温29度
ロウニンアジ

高級魚らしい。潜って近づいたら、マグロみたいに会話の通じない感じの目をしていた。ロウニンアジを釣るために宮古島にやってくる人々もいるそう。上から見るとどうぶつの森のデカい魚影と同じ!練習の甲斐あって、同じ深さまで潜ることができた。計ってみたところ、1分の息止め、9.3mの位置にいた。耳抜き9回やって辿りつけた世界。

サンゴがとても近くに感じられて嬉しかった!
カクレクマノミもところどころにいた
インスタで見たポーズをやってみる

リクエストしてみたら、「僕体硬くてお見せ出来ないので、頑張ってみてください!」にこやかに見守る態勢に入っていた。体が浮いてきちゃうから深く潜らないとめっちゃ難しい・・・!そして脚つりかける。


この後「青の洞窟連れて行きます!」と言われた。やったー!と思ったと同時に(青の洞窟ってイタリア・・・というか、青の洞窟大量発生してるような)って思った。日本にこんなにたくさんあったかな、みたいな。

めちゃくちゃ幻想的でした!
ダイビングツアーの集団がいる

スキューバダイビングは留まって水中写真を撮影できるところが良いのかな

ガイドさんのカメラ技術が素晴らしすぎて・・・!
日々の筋トレはこのためでもありました。
一人旅でも、ガイドさんと約束して訪れるとまったく抵抗がない。
一日目は ぷくぷくさん、二日目は Lilo miyakojima さんにガイドをお願いしました。インスタから見つけた。


また是非訪れたい場所だった!



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