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【文字起こし】緊急開催:今だからこそ。ロシアとは切っても切り離せないフィンランドの歴史を知る30分

この記事は、2022年3月4日に本メディアの運営元であるエラマプロジェクトの代表 石原侑美が、昨今の情勢を受け、緊急で開催したウェビナーの文字起こしです。本来よむエラマではイベントの文字起こし原稿は発信していませんが、今回は1人でも多くの方に現状理解を深めていただくため、特別に作成いたしました。

みなさんおはようございます。

本日は「今だからこそフィンランドの歴史を知る30分」と題しまして緊急開催のウェビナーを今から始めさせていただきます。

本日、解説を務めます石原侑美です。よろしくお願いします。

本日はこの情勢下だからこそわたしにできることは何か? ということで、日頃フィンランドの文化だったり、わたし自身、実は専門分野が国際関係学になりますので、そういった部分からかなり専門内容に近いお話ができるのではないかということで普段からお話をしているのですが、今日はたっぷりとフィンランドの歴史をみなさんと一緒に共有して、今フィンランドでどんな状況なのかということも含めてお話をできたらと思います。

今の情勢の中でウクライナとロシアというのが中心になってこの情勢が繰り広げられていますが、そのロシアというところは実はフィンランドと深い深い関係性があるというところをみなさんと共有したくて今日はウェビナーを開催させていただきました。

朝の、しかも平日の30分という貴重なお時間ですけれども、自分自身何かの貢献ができるのではないか、わたしにできることは何かと考えた末にこの時間を設けさせていただきました。豊かな時間に一緒にしていきたいと思います。よろしくお願いします。

本日私のことを初めてお知りいただく方もいらっしゃるようですので、簡単にご説明させていただきます。わたしはフィンランド生涯教育研究家というふうに名乗っていまして、教育の研究もそうなんですが、わたしの専門分野は国際関係学と文化人類学になりますので、生涯教育のフィンランドの文化そのものを研究しています。

普段はそういった研究をこのようなオンライン講座だったり実際の会場でお話をさせていただく、そんなお仕事がメインになります。

そのほかにもいろんな職業をしながらフィンランドの文化・習慣をお伝えしているのがわたしという人間になりますが、フィンランドには6年前に初めて訪問したのがきっかけになります。

フィンランドではもちろん教育が非常に注目されていて教育施設を巡るためにフィンランドに行ったんですが、そこで出会ったフィンランドの人たちの我慢強さみたいなものだったり、我慢強さの中から出てくる緩やかな休み方だったり、人生観というものに触れてわたしは非常に感銘を受けたのがフィンランドと出会ったきっかけです。

そこから自分が専門分野にしていた国際関係学や文化人類学を元にフィンランドの研究を始めてきました。

今日はわたしがフィンランドを研究して5年ぐらいのこの時間に培ってきた持っているものすべてを30分間でできる限り共有させていただきたいと思います。

さて、今日初めてフィンランドに触れられる方もいらっしゃると思いますのでフィンランドの位置を一緒に見ていきたいと思います。

フィンランドというのは北欧の5ヶ国の中の一つになっています。北欧と呼ばれているのは、このフィンランド・スウェーデン・ノルウェー・デンマークそして少し飛びましてアイスランドこの5ヶ国が北欧と定義されています。

この北欧については後ほど言いますが、北欧にはきちんとした定義があります。それは政治的、国際関係学的な結びつきを実は表しています。

みなさんこの地図をご覧いただくとわかりますように地図上のフィンランドの東隣はロシア連邦になっています。フィンランドとロシアというのは本当に大きく面していまして、実はフィンランドの首都ヘルシンキ、南に位置するんですが、ヘルシンキからロシアの元々の首都サンクトペテルブルグまで電車でおよそ2時間半で行ける距離になります。なので車でも実は行ったり来たりすることができますので、生活にもすごく密着しているそんな関係性がフィンランドとロシアになります。

日本の東京や大阪からフィンランドまで飛ぶには実はロシア連邦を通って飛行機がヘルシンキまで行くんですが、今のこの情勢下なのでロシア上空を飛べないということでフィンランド航空ですね、フィンエアーは日本・韓国・中国便を飛ばすことができないという、すべてフライトがキャンセルになっています(※編集部注:2022年3月4日時点)。
3月上旬よりフィンエアーから迂回をして直行便を飛ばすという発表がなされています。

通常は9時間で、実はすごく割と早い飛行時間で日本からフィンランドまで飛ぶことができたんですが、迂回路なので13時間かかるようになってしまっているという状況です。
この状況は刻一刻と変わりますが実はフィンランドの生活に大きな影響を与えているという現状、その位置であるということがみなさんと一緒に共有できたでしょうか。

あらためてフィンランドの基本情報を押さえていきます。フィンランドのイメージはどうですかといつも講座の初めにお伺いするのですが、みなさんお話するのがすごく自然が豊かな国、森と湖の国だよねっていうお話をされたり、オーロラが見れる、フィンランドにオーロラを見にいきたいと言われる方もいらっしゃいます。
ムーミンがお好きな方も日本にはたくさんいらっしゃるのでムーミンの生まれた土地がフィンランドになります。

それ以外にもマリメッコに代表されるようなフィンランドデザインというのが非常に有名ですし、あとはサウナですね。日本でも長い間ブームになっていますが、サウナというのも実はフィンランドが本場と言われていて、サウナという言葉はフィンランド語になります。

それ以外にも教育が充実している、福祉サービスが充実しているというところも、だいたいいつぐらいでしょうね、20年ぐらい前から注目され始めています。
それ以外にも北に位置する国ですので寒くて暗いというイメージもあります。これは間違いない気象条件になりますね。

フィンランドは面積は日本より少し小さい33万㎢ですが、人口が530万人くらいです。  日本は1億2000万人で国際関係学で言えば人口で国の大きさを測っていきます。日本は24倍大きいというところなので、フィンランドは24分の1というすごく小さな国になります。 

そして公用語はフィンランド語とスウェーデン語です。なぜスウェーデン語が公用語になっているかは歴史をこのあと見ていけばはっきりすることですが、現状フィンランドの若い世代、50代以下の世代の人たちは英語を通常に高いレベルでお話になるのでわたしもコミュニケーションは基本的に英語で取っています。

民族の話はこのあとたっぷりとしていきますが、スウェーデンとロシアの支配下であったということがフィンランドの歴史では大きな出来事になります。

そして現在、産業としてはIT産業がメインですが、同じ北欧でもノルウェーとは違って原油が出ない国なのでエネルギーは輸入に頼っています。
そういったあたりも今のこの情勢ではフィンランドの生活に大きな影響を与えています。エネルギーがノルウェーとはかなり違う事情であるというところも踏まえまして、このあとの歴史の話をしていきます。

フィンランドというと北欧の国というイメージがありますが、北欧というと日本に住んでいるわたしたちからするとみんな一緒というか、デザインがオシャレで、というようなイメージがありますが、民族をみるとまったく違うんです。

ざっくり分けますとスウェーデン・ノルウェー・デンマーク、そしてアイスランドの一部の人たちはいわゆるゲルマン系と呼ばれる民族の人たちなんです。

ゲルマン系というのはスペルで書くとGERMANと書くんですが、ヨーロッパから来た人たち、バイキングの人たちが作った国というのがこの4ヶ国、アイスランドの一部になります。
アイスランドにはそのほかにもイギリスのほうから来たケルト系と呼ばれる民族も存在しています。ヨーロッパのイメージが香る北欧のイメージですが、実はフィンランドだけ全然違う民族、フィン人とサーミ人です。

サーミ人は実はスウェーデンにもノルウェーにもいるんですが、ヨーロッパの人たちが作った国とはちょっと違う国なんです。位置としては非常にアジアに近いので、フィンランド語というのはヨーロッパのラテン語を全然介さないので、言語学上、モンゴル語に非常に近い言葉になります。そういったところで民族や文化が実はフィンランドは違うというところを一緒に共有をさせていただきます。

ざっくりとしたフィンランドの大まかな歴史はこちらです。
先史時代、ロシアのマルで囲んだエリアからフィン人がやって来たというふうに史実では記録されています。

日本も辿れば中国から来た、朝鮮から来たみたいな話と一緒で、フィンランドも実はロシアからやって来た人たちと言われています。

北部にはサーミ人と言われるサーミ族がいます。現在もスウェーデン・ノルウェーの北の方にはサーミ族系の人が住んでいると言われていますが、そういった民族構成になります。
フィンランドという地域は600年間、12世紀から18世紀にスウェーデンの支配下でした。そのあとロシアの統治下に100年置かれまして、1917年ですね、今から約100年前にフィンランドという国ができたので実は新しい国なんです。

スウェーデンの統治下だったスウェーデン時代というのは、十字軍が接近して来て北欧もヨーロッパ化が進んできた時期に、フィンランドはスウェーデンの統治下に置かれました。統治下と言ってもいわゆる植民地化とは違いますので、植民地というのは上下関係がしっかりとあって支配された側が奴隷みたいになるというようなイメージですがそうではなくて、あくまでもフィンランドという地域がスウェーデンの一部だったという感覚になります。そのあたりを一緒に共有できていたらいいなと思います。

だいたい600年くらいフィンランドはスウェーデンだったんですが、1808年にフィンランド戦争というのが起こります。これはロシアとスウェーデンが戦ってフィンランドが戦場になったというところなんですが、この戦争でロシアが勝ちましたのでロシアはここから100年間フィンランドを統治します。

スウェーデンが入って来た時代はフィンランドの宗教観や文化が思いきり変わりました。11世紀までフィンランドは自然信仰で独自の信仰というのがありました。

日本と同じように実は神道の神話ベースの信仰だったんですが、ヨーロッパでスカンジナビアがキリスト教になるという段階ですべてヨーロッパ文化が入ってきたということになります。現在フィンランドの国教は福音ルター派(プロテスタント)のキリスト教になります。

フィンランドを象徴するものでカレワラと呼ばれる神話のような物語のような、日本昔話に近いようなものがあります。日本でいうならばいわゆる古事記のようなものですね。

フィンランドのアイデンティティとして19世紀、フィンランドの独立のときにまとめられたものなのですが、自然信仰にまつわる昔話をカンテレと呼ばれるフィンランド独自の弦楽器に乗せて歌い継がれてきたというところになります。こんな楽器ですね。

今の情勢を司るにあたってロシア・スウェーデン戦争に触れるのが一番だと感じているので話していきます。
それまで600年スウェーデン時代であったフィンランドは18世紀から19世紀、実は長い間ロシア・スウェーデン戦争が続いたのちにフィンランドがロシアの一部になります。
一部になるっていう感覚でいくと、ロシアという国はあるんですが、フィンランドも一応国として認められて、「ロシアの国の中の国」としてフィンランドが認定されていた、そういうふうな統治下に置かれていたということになります。

ロシアとスウェーデンは、このあとも実は戦争があるんですが、なぜフィンランドを奪うのか、こんなにフィンランドが戦場になるのかというと、ちょっと地図を戻っていただきますと、スウェーデンとロシアに挟まれていますよね。ロシアもスウェーデンもフィンランドのこの辺りの海が欲しいんですね。

この辺りの海を押さえることでヨーロッパのこういったバルト海を通ってヨーロッパに侵攻することができるということで昔からフィンランドが戦場になっていました。

こういった中で18世紀以降、フィンランドはたくさん戦争を経験するのですが、そういった背景から今でもフィンランドには学校だったり福祉施設だったりそういった主要施設には必ず地下シェルターを持たなければならないという法律があります。

これも実際にわたしが訪問した福祉施設の地下のシェルターですね。ここには30人前後分の3日間か4日間過ごせるくらいの食料は必ず蓄えていますが、普段使いとしては倉庫になっているような模様ですね。

フィンランドは19世紀にはロシア時代に突入するんですがその初頭から、1830年くらいから民主主義が台頭してきます。これはスカンジナビアで、他のスウェーデンとかもそうなんですが、いわゆるヨーロッパの民主主義の流れが台頭してきます。

この絵は実は鷹がフィンランドに書物を、知識を持ってきているという象徴の絵にはなるんですが、そういうふうに独立の気運というのがロシア時代にフィンランドで高まってきます。

ロシア革命が1900年代に起きまして、王族や法の権威が失墜したのをきっかけにフィンランドが独立に向けて動き始めていき、1917年に独立しました。

フィンランドの独立を歌った、これはフィンランド賛歌の歌詞になるのですが、わたしたちが持っている今のフィンランドのイメージからは想像がつかないほど非常にアイデンティティを奮い立たせるような歌詞が見受けられます。

フィンランドにとって独立というのはとても大事な歴史の起点でしたし、幸せを勝ち取るんだということで独立をしていくんですが、独立後にフィンランドはたくさん戦争を経験していくことになります。

ちなみにフィンランドの独立近辺でフィンランドと日本を結びつける大きな事件が起こったんですがみなさんご存知でしょうか。日本史とか世界史を知っている方ならば、1904年から1905年に起こった日本の大きな出来事、日露戦争ですね。日本が勝利したこと、実はこのことがフィンランドの独立の精神的支柱になったというふうなエピソードがあります。

このときに日本にありがとういう感情なんでしょうかね、近いものとして、当時日本の有名な東郷平八郎という海軍の軍人がいるんですが、東郷平八郎ビールというのが当時フィンランドで発売されて、東郷平八郎が描かれたラベルのビールが売られていたりしました。

それ以外にも日本製の120ミリ砲が今でもスオメンリンナ島というフィンランドの島に保存されていたりするので、実はフィンランドと日本の国際関係というのはこういったところの歴史もあったりします。

フィンランドの独立の翌年、内戦が起こります。内戦のあと、国を落ち着かせていこうというところだったんですが、世界をみると第二次世界大戦に突入するような雰囲気になります。

第二次世界大戦中、フィンランドは長年戦場になっていきます。1939年には冬戦争というソ連とフィンランドの戦争が勃発します。フィンランドの森はその当時戦場でした。この冬戦争を描いた「アンノウン・ソルジャー」というフィンランドの映画は何度もリバイバルされて映画上映されているんですが、日本の忠臣蔵のようなもので、フィンランドが出来上がっていく途中の本当に大事な歴史的な出来事として扱われていることが多いです。

今でもこの情勢下なのでフィンランドの新聞を見ると冬戦争を思い出してください、あの時私たちは乗り越えましたというような記事がたくさん載っていたりします。

そのあと1941年、日本でも第二次世界大戦が真っ最中のときですよね、このときにまたソ連とフィンランドは継続戦争として領土・領地を争っていたという背景があります。そういった中でのべ10万人以上が犠牲者になったんですね。フィンランドはこの頃はずっと戦争をし続けていました。

フィンランドが第二次世界大戦の敗戦国なのか戦勝国なのかというのは実は国際関係学でははっきりしないところがあります。
武器をドイツ軍に提供していた背景があったり、中立なのかどうなのか、ソ連と戦っていたという背景もあるのでそのへんが意見がわかれるところではあるのですが、やはり10万人以上の犠牲者を出したということで、フィンランドとしては非常に痛手を被ったひとつの国ということが言えます。

戦争を繰り返してきたフィンランドですので、戦後の復興を遂げていくために大事な取り決めがありました。それが第一回北欧会議と呼ばれる、政治的なゆるいつながりに1953年にフィンランドは入ります。それまでスウェーデンとデンマーク、ないしノルウェーがスカンジナビアとして今後三位一体となって国際関係を築いていこう、特に安全保障の部分で築いていこうとかたまるんですが、そこに北欧はフィンランドを入れる、この3ヶ国にフィンランドを入れるというのが大事だったんですね。
そこにアイスランドも入ってくるんですが、このフィンランドを入れるということが北欧にとって、そしてフィンランドにとっても大事なことだったんです。

というのも、実はロシア対策のためだったんです。北欧もフィンランドが入ることによって、ロシアから「守る」まではいかないですが、ゆるいつながりを作ってロシア対策を一緒にやっていきましょうという姿勢があります。
北欧というのはこのときから正式な定義としてスタートしていきます。

さて、残り時間も少なくなってきましたのでここからは少しギアをあげて共有をしていきますけれども、このあとフィンランドないし北欧というのは戦後復興ですね、日本と同じように向かっていきます。

同じように高度経済成長期っていう、日本は本当にすごい勢いでしたが、そこまではいかないにしても同じように経済成長を遂げていきます。しかし、オイルショック、日本でもありましたよね。トイレットペーパーを何個も買っているような映像を、わたしはニュース映像で見ましたけれども、フィンランドでもオイルショックの時期に大量の失業者とアルコール中毒者、そして社会がまた不安になっていきます。日本以上に失業者とか不景気というのがフィンランドの方がより濃く影響していて、アルコール中毒者というのは社会問題になったんですね。

そこからまた世界経済の流れと一緒に北欧ないしフィンランドというのは経済成長を少ししていくんですが、1990年代にまた世界経済危機がきますよね。日本でもバブル崩壊というのがこの時代にありましたけれども、同じようにまた大量に失業者を出してしまいます。日本は経済が落ちたという印象を持っていますが、北欧の場合、特にフィンランドの場合は国として存続しないかもしれないという、日本以上に大きな危機感をこの70年代と90年代の経済危機に経験をします。
国として存続させなければならないというミッションがあったために民主主義というのは貫くんですが、税収を高くして福祉サービスを充実していく、ハイインカムも得て、それを民主主義という価値観のもと、国民と対話した上で福祉サービスを充実していかないと、国民の幸福度をあげていかないと、生産率をあげていかないと、国として存続しないというところで、実は教育が無料で受けられることだったり、福祉サービスを充実させるというところがこの1990年代から誕生していきます。

フィンランドのお話をするときに教育が充実している、福祉サービスが充実しているという今のここの段階をよく共有されるような講座とかお話、コラムがたくさん目につくのですが、ここを語るにはこの70年代90年代ないしこの戦争の背景がないと一足飛びにいったわけではないということなんですよね。

何度も国として存続しないかもしれない、フィンランドに限って言うと、国ができたのが最近の話なので、国を維持していくための大変な施策をずっと国として存続させるためにはっていうことでいったのが教育無料だったり福祉サービスの充実であるというのを、一緒に共有したい一番の重要な出来事なんですね。

今のこの情勢というのはフィンランドでも確実に、国としてフィンランドとして残っていくためにはという大きな危機感を持っているということをみなさんと一緒に共有できたら幸いです。

実は不健康な国だったというスライドを用意しましたけれど、戦後復興のあとはですねフィンランドでは今でこそエコでサステイナブルでベジタリアンが多いというイメージがあるんですが、元々は肉食の人たちで野菜もそんなに取れる地域ではないので、今のフィンランドの野菜は割と輸入に頼っているところが多いです。
なので肉ばかりで、寒いので外に出られないから外で運動する習慣もなかったので、虚血性心疾患による死亡率が世界1位だったというデータもあります。

ですが、先ほども言いましたようにフィンランドは世界一幸せな国なんて言われています。世界幸福度ランキングで1位を4年連続でとっています。今年はどうなるかわかりませんが、住みやすいっていうところでいくとフィンランドはずっと1位を保っているということなんです。

もうそろそろ時間がきますので現状をお伝えします。
フィンランドという国はロシアの脅威、スウェーデンの脅威というのは少し違うんですが、ここに挟まれていることで実は今のウクライナ情勢が勃発する前からこの数年スウェーデンとロシアというのは国際関係が悪化しつつあったのが現状でした。

今でもフィンランドでは男子に兵役義務が課されています。6ヶ月から12ヶ月の間ですね。18歳になるとフィンランドの男子は兵役に行きます。

女性は志願兵が認められているので志願すれば女性も兵役に就くことができます。男女平等の観点からというのが大きいのですが、女性の志願兵は年々増加しています。
この情勢を受けて兵士として志願する人が増えているという記事がフィンランド国内ではニュースとしてあがっています。

兵役に就くとこれぐらいの一日の報酬があるという背景もありますが、年間約3万人が兵役に就いているというのが現状です。

先ほどもお伝えしましたが、ロシアから近いフィンランドですのでアレグロという日本でいう新幹線みたいなものですね、これで2時間半でロシアに行くことができるのがフィンランドというところです。

現在この情勢を受けてロシアからフィンランドに行くアレグロは一応停まっているという情報は得ているのですが(※編集部注:2022年3月4日時点)、日々刻々と変わるものですね。ロシアに今は行くことはできないという現状です。

この情勢下前でも、実はこれはフィンランドの東側のロシアの方の国境に近いところの町の写真なんですが、ここの車は全部ロシアナンバーなんですね。
ロシアナンバーは週末になると物価が安いフィンランドにやってきて爆買いをしていくというのが週末の光景だったんですが、今はもちろんこの情景も見ることができません。

これは最新のニュースを日本語訳したものをここに載せているんですが、フィンランドの輸入エネルギーの半分はロシアから来ているので、エネルギー不足の恐れが出てきていたり、野菜とかも輸入が多いので運ぶためにもエネルギーが必要ということで、日本以上に野菜の物価の上昇がすごく恐れられています。

こういったところでも生活にどんどん影響が出始めていたり、あとは国際関係でいくとスウェーデンとフィンランドはNATOに加盟していなくて中立の立ち位置を貫いてきたんですが、この情勢を受けて3月1日の情報によりますとフィンランドはNATOに加盟するというのが初めて過半数に達したというところなんですね。

NATOに入るかどうかというのは連日フィンランドの新聞に書かれていたりして、NATOに入るとなるとロシアからも正式な声明でNATOに入るとどうなるかわからないよというような脅迫めいたものも発信されていたりします。

NATOに非加盟なんですがスウェーデンもフィンランドもウクライナに武器を提供しているという記事も出ています。実際武器を提供している様子だったり武器がどういうふうに使われているかもウクライナの写真と共にフィンランドのニュース媒体で連日報道されています。

フィンランドの人たちにお話を聞くと、連日そういったニュースが多いので暗い気分になっているけれども、わたしたちにできることは何なのかというのを毎日対話を通して考えているという話を聞いています。

気分的に落ち込むし物価が上昇して生活に日本以上に大きな影響が出始めているけれども、フィンランド人らしくすごく冷静だなと報道を見てて見受けられます。

ロシアと本当に近い、文化的にも生活の中にもロシアというのがフィンランドの中には存在しているというのを皆さんと今日共有できただけでもすごく嬉しいなと思っています。

こんな国だからこそフィンランドというのは、国として存続しないかもしれない、自分のアイデンティティとして生きていくためには幸せを追求していかなければならない、自分で自分の人生を幸せにしてあげなければいけないというのがあるというのが何となくおわかりいただけましたでしょうか。

そういった人たちだからこそ紡がれていく自分を見つめる文化・習慣というのがフィンランドの幸福度の高さを支えているのではないかとエラマプロジェクトでは考えています。

このような情勢だからこそ、エラマプロジェクトの自分を見つめる生き方、文化・習慣というのは日々需要が高まっているとものすごく肌で感じています。

こういったイベントや講座を開催させていただいたり、3月19日からフィンランドと繋いでリトリートプログラムを飛騨高山で行う予定になっています。そのほかいろいろな情報を発信させていただくというのがわたしのミッションでもありますし、今日のようにフィンランドの現状をお伝えするのがわたしのミッションだと感じています。

少し時間がオーバーしましたがフィンランドの歴史を少しは共有できましたでしょうか。今後もエラマプロジェクトを通じてフィンランドのお話はたくさん発信していく予定になっていますのでそちらでもぜひ見ていただければと思います。

朝の本当に貴重な30分をみなさんこの時間に使っていただいて本当にありがとうございました。エラマプロジェクトは3月もたくさんオンライン講座を予定していますのでぜひフィンランドの現状以外にもみなさんの豊かで幸せな生き方を考えるそんな時間を提供していきたいと思いますので今後ともよろしくお願いいたします。

ということで今日のウェビナーを終了させていただきます。ありがとうございました。

By 石原侑美(エラマプロジェクト代表)



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