思い出と孤独と生きる。
どうしてこんないえにすんでいるのでしょう。
【絵本レビュー📚】
《つみきのいえ》
世界中の映画祭で20冠に輝いた短編アニメーション「つみきのいえ」の絵本バージョンです😌
特にこのような方に読んで欲しい!
●思い出を大事にしている方
●さまざまな経験をしてきた方
●心包み込むイラストを味わいたい方
🎈ゆるっと内容紹介🎈
海の上にある変わった家に1人で住んでいるおじいさんのお話。海がどんどん上がってきてしまうこの町に住み続ける人はそう多くはありません。
不便なこの町におじいさんが住み続ける理由。
それは何でしょうか。
1つ1つ積み木のように重なる家。
忘れ難い大切な思い出と共に生きる。
なんといってもこのイラストの
滲み出る優しさ。
どこか寂しくもある温もり。
繊細なタッチ。
ぜひ手に取って感じていただきたいです😌
絵本BOX🐿のココが気になる❗️
歳を重ねる毎に深く味わうことのできる絵本。
たくさんの思い出を積み重ねてきた
おじいさんの家。
これからどんなに積み重ねても、
おじいさんだけの思い出なのでしょうか。
きっと思い出す度、新しい家にも記憶として刻まれる。積み重ねる。決してバラバラではないと思います。
ただ常に思い出しているわけではないと思うんです。思い出は苦しみにもつながるから。
それでもここで生きることにしたおじいさんは素敵です。
◆◆◆
表紙のおじいさんはこんなに優しいタッチですが、ちょっとこわい表情に見えるんです。
ただ、
積み重ねた家から記憶を辿ったあとの、
最後のページのおじいさんは同じアングルからですが、とっても優しい穏やかな顔をしています。
なぜでしょうか。
◆◆◆
おじいさんは常に楽しかった思い出に
浸っているわけではなく、
寂しさの中でもここで生きることを
無意識に決めていたのかなぁと感じます。
このおじいさんも決して強い人ではないんだなぁと思ったとき、私は初めて親しみを感じました。
孤独に関してこんな言葉があります。
天地にわれ一人いて立つごとき
この寂しさを君は微笑む
“私は一人で天と地の間に立っている。
この寂しさを観音様は微笑む”
これ歌人の會津八一さんの歌です。
孤独の学者とも言われていた方です。
おじいさんがずっと孤独だと思っているわけではありません。ただ、寂しさを感じるのです。
◆◆◆
この絵本は思い出を重ねた大人にこそオススメでき、深く味わうことができるだろうと思う反面、
若い方に対しては、記憶を辿った時に
素敵な思い出だったとそう言えるような
素敵な生き方・暮らし方をしようね
そんな風に語りかけてくれている気もしました。
これから生きる何十年を、
1つ1つ丁寧に積み重ねていきたいです。
そして振り返る勇気をもちたいです。
“失っていくことも、
歳を取らなければわからなかったこと”
これは【103歳になってわかったこと】に書かれていた篠田桃紅さんの言葉です。
最後に、最近知った言葉を。
“昨日死んでいたとしたら、今日どう思うか”
ここの主語は自分でも他者でもいいんです。
私たちは明日死んでも良いように全力で生きよう、楽しく生きようと前を向きます。
そのような言葉は良く知られているから。
ただこの言葉から受ける印象は、
同じことを言っているよなぁと思うと同時に、
ちょっと感じ方が変わってきませんか。
私たちは、自分自身の死に痛みを感じません。
他者の死によってのみ苦しみます。
この時、
振り返ることしかできない。
だからこそ今を生きる。一緒に。
おくりものをするため。
思い出は常には持ち歩けない。
◇◇◇
どうしてこんないえにすんでいるのでしょう。
あなたはどう思いますか?
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