キャリアアップ助成金が令和3年度から改正されます。
「キャリアアップ助成金」は、非正規雇用労働者の方の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化などの取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。令和3年度以降、以下のとおり、制度見直しに伴う内容変更を行っています。この内容は、令和3年4月1日以降に取り組みを実施した場合に適用されるものです。
✅令和3年4月1日以降変更点の概要
1. 正社員化コース
有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換、または直接雇用した場合に助成
【現行制度の概要】
■支給額(1人当たり、中小企業の場合)
① 有期→ 正規:57万円
② 有期→ 無期または
③ 無期→ 正規:28万5,000円
<①~③合わせて、1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人まで>
■各種加算措置(1人当たり、中小企業の場合)
(1) 派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用した場合 28万5,000円
(2) 母子家庭の母等または父子家庭の父を転換等した場合 95,000円
(3) 若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合 95,000円
(4) 勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を
当該雇用区分に転換または直接雇用した場合<1事業所当たり1回のみ> 95,000円
【支給要件の変更】
・現行要件
正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6か月と転換等後の6か月の賃金を比較して、以下のアまたはイのいずれかが5%以上増額していること
ア基本給および定額で支給されている諸手当(賞与を除く)を含む賃金の総額
イ基本給、定額で支給されている諸手当および賞与を含む賃金の総額(転換後の基本給および定額で支給されている諸手当の合計額を、転換前と比較して低下させていないこと。)
・新要件
正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6か月と転換等後の6か月の賃金(※)を比較して3%以上増額していること
※ 基本給および定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額であり、賞与は含めないこととします。
【加算措置の変更】
上記加算措置のうち、(3)若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合を廃止。
(4)勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換または直接雇用した場合の対象として新たに短時間正社員制度を追加します。
2.障害者正社員化コース
障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換した事業主に対して助成
【新設(障害者雇用安定助成金からの移管)】
障害者雇用安定助成金の令和2年度末での廃止に伴い、障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)の「正規・無期転換」措置を、キャリアアップ助成金の「障害者正社員化コース」に移管します。
【障害者正社員化コースの概要】
■概要
障害者の雇用促進と職場定着を図るために、次の①または②のいずれかの措置を講じた場合に助成します。
①有期雇用労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換すること
②無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換すること
■支給額
3.健康診断制度コース
有期雇用労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合に助成
【統合】
本コースは、令和3年度から諸手当制度等共通化コースに統合されます。
4.諸手当制度等共通化コース
有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設け、適用した場合、または有期雇用労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合に助成
【現行制度の概要】
■支給額(1事業所当たり、中小企業の場合)38万円<1事業所当たり1回のみ>
■各種加算措置
(1) 共通化した対象労働者(2人目以降)について、助成額を加算
・対象労働者1人当たり15,000円<上限20人まで>
(2) 同時に共通化した諸手当(2つ目以降)について、助成額を加算
・諸手当の数1つ当たり16万円<上限10手当まで>
【支給要件の変更】
令和3年度から、対象となる手当等を下記の通り変更します。
健康診断制度に関する支給要件の注意点:コース統合に伴い、定期健康診断等の受診日の前日から起算して3か月以上前の日から受診後6か月以上の期間継続して、支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等であることが必要となります。(下線部が新要件部分)
※これに伴い、支給申請期間も、健康診断制度を有期雇用労働者等に延べ4人以上実施した日を含む月以降6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内となります。
※ 有期雇用労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」および有期雇用労働者等に関する正規雇用労働者との共通の諸手当制度の規定が令和3年3月31日以前の場合は、当該規定に基づく健康診断の実施日または諸手当等の適用日が同年4月以降となる場合であっても従前の制度が適用されます。
5.選択的適用拡大導入時処遇改善コース
労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置の導入に伴い、その雇用する有期雇用労働者等について、働き方の意向を適切に把握し、被用者保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取り組みを実施し、当該措置により新たに被保険者とした場合に助成
【時限措置の延長】
令和2年度限りとしていた措置を、令和4年9月末まで延長します。
(従業員が100人を超える事業主は、一部の加算措置を除き令和3年9月末まで)
①労使合意に基づく任意適用に向けて、保険加入と働き方の見直しを進めるための取り組みを行った場合
助成金を支給
1事業所当たり19万円(中小企業の場合)
※1事業所当たり1回のみ
②措置該当日以降に対象労働者の基本給を一定の割合以上増額した場合
基本給の増額割合(2~14%)に応じて
助成額を加算
1人当たり19,000円~13万2,000円
※支給申請上限人数は45人まで
③措置該当日以降に対象労働者の生産性の向上を図るための取組を行った場合
助成額を加算
1事業所当たり10万円
【時限措置の期限】
<ご注意ください>
取り組み時点において事業主の従業員数が101人以上500人以下の場合は、上記①~③の助成の措置期限が異なります。
①⇒令和3年9月30日まで
②⇒令和4年9月30日まで
③⇒令和3年9月30日まで
6.短時間労働者労働時間延長コース
有期雇用労働者等の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合に助成
【時限措置の延長】
令和2年度限りとしていた措置を、令和4年9月末まで延長します。
・短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し新たに社会保険に適用した場合
1人当たり22万5,000円(※)←上乗せ前の額:19万円
・労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を1~4時間延長するとともに基本給を昇給し、新たに社会保険に適用させた場合(※)
1人当たり45,000円~ 18万円
<1年度1事業所当たり支給申請上限人数は45人まで(※)←従前は15人まで>
※は現時点で令和3年3月31日までの暫定措置。
※記載の内容は、令和3年度予算の成立及び雇用保険法施行規則の改正が前提のため、今後、変更される可能性があることにご注意ください。
※大企業の場合は、上記の約75%の額を助成します。
※生産性要件を満たしている場合は、上記の約125%の額を助成します。
※事前にキャリアアップ計画の提出が必要です。
※すでにキャリアアップ計画を提出している事業主の方が当初の計画とは異なるコースを利用する等の場合、事前にキャリアアップ計画変更届の提出が必要となります。
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